子供服メーカーのKP、前倒しで再建進む ナルミヤのノウハウを共有
子供服メーカー、KPの再建が想定以上に進んでいる。再建を主導するナルミヤ・インターナショナルの仕組み、ノウハウを共有し経営が安定、初年度の5カ月(23年10月~24年2月)は前年同期比で黒字化を達成した。「当初計画よりも構造改革が前倒しで成果を上げている」(廣橋清司W&Dインベストメントデザイン代表取締役)として、今期(25年2月期)に安定黒字化を計画する。
KPは、ファッション特化型のファンド、W&Dインベストメントデザインが、ワールドインベストメントネットワークとナルミヤ、日本政策投資銀行に対してトラッキングストック(事業部門・子会社の業績に株価が連動するよう設計された株式)を割り当て調達した資金をもとに設立。23年10月に、ベビー・子供服などの企画、卸売りのニットプランナーの主要事業を譲り受けた。社長には、旧会社の上海子会社で13年間総経理だった董世軍氏が就いた。
新会社は経営企画本部、商品本部、営業本部、管理本部を設け、各本部長にナルミヤの管理者が就いた。MD不在の卸型事業モデルから小売り型に転換すべく、ナルミヤの社員がMD本部長に就き、市場に応じた商品開発を進めた。例えば、甚平やゆかたといったシーズン商品や、Tシャツなどの期中企画も対応。今秋冬からは入卒のオケージョン商品を充実する。
生産面では生産背景を共有し原価を抑制、価値と価格のバランスを実現した。来春夏物からは品質を維持しつつ販売価格を15~20%下げ、プロパー消化率を上げる。シーズン在庫はナルミヤのアウトレット店舗などで消化している。
店舗は、ナルミヤの販売員と共同で運営し効率化。週次、月次と逐次問題点をあぶり出し改善がスピーディーに進んでいる。ナルミヤ直営ECでの販売も始め新規客の獲得につなげる。今後は値頃なEC限定商品も開発、顧客を広げる。
24年2月期は、ショップ運営安定化を最優先とし減収増益。今期は新規出店、EC販売拡大を掲げる。今春は東急百貨店吉祥寺店、高崎高島屋、近鉄百貨店四日市店に出店。現在の店舗数は47で都心など「出店余地はある」(董社長)。国内立て直しに注力し、中国の店舗は年内に閉鎖する。
想定より再建が進む理由を、廣橋代表取締役は「(ナルミヤが)本気で取り組んでいるということが人員配置からも伝わってくる」と評価する。再建企業と再生ノウハウを持つパートナー企業の連携がうまくいった事例として、今後の案件にも生かしていく。
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