《めてみみ》当たり前の日常
2024.08.14 06:24
提供:繊研plus
今春、数年ぶりに台北とソウルを訪れた。行くたびに街の発展に驚かされる。折からの円安も重なり、物価の高さは日本以上。人手不足からかファストフードなどではタッチパネルを使わないと、注文さえできない店が増えた。
街の外観を見ると、アジアの主要都市と変わらないのだが、いつも日本とは違う感覚を持つ。空襲に関する備えだ。台北は通りの至るところに「防空避難」の案内がある。台湾海峡の緊張の高まりを反映してか、昨年の春に案内パネルが大きく目立つように変わったと聞く。ソウルの地下鉄は、最初から38度線の緊張を背景に防空施設として作られたもの。構内にはマスクやライトが目立つ場所に置かれている。
東西冷戦終了後、こうした地域での有事を想定することが少なくなったが、連日のように報道されるウクライナやパレスチナの空襲に見られるように、状況は再び緊迫化している。果たして人類は平和の方向に進んでいるのかという疑問さえ持つ。
79年前の夏、日本全国の都市も空襲で焼け野原になった。体験者の高齢化が進み、今や当事者から戦争の記憶を聞くこともほとんど無くなった。それでも私たちは平和の大切さを伝えていかねばならない。明日15日は「戦没者を追悼し平和を祈念する日」。今一度、当たり前の日常生活を守るために何が必要なのかを考える日にしたい。
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