

「マクロス」シリーズ屈指の人気作を再構築 2人の歌姫・三角関係・バトルシーン「劇場版マクロスF~イツワリノウタヒメ~」に見る伝統と革新

「劇場版マクロスF~イツワリノウタヒメ~」が、6月14日に配信された。同作は、ロボットアニメの金字塔「超時空要塞マクロス」(1982年、TBS系)をはじめとする「マクロス」シリーズ生誕25周年記念作品であるテレビアニメ「マクロスF」(2008年、TBS系)を新たに再構築した劇場版二部作の前編で、2009年に劇場公開された。劇場公開から15年のこのタイミングにディズニープラスで配信されたということで、“伝統”と“革新”が融合した本作の魅力を独自に解説する。(以下、ネタバレを含みます)
主人公の青年と2人のヒロインが織り成す人間模様
西暦2009年に勃発した第一次星間大戦で絶滅の危機に瀕した地球人類が、種の保存のために大規模な移民船団を作って銀河の各方面へと旅立っていった50年後の西暦2059年を舞台に、宇宙生物との戦いを軸に主人公の青年と2人のヒロインが織り成す人間模様を描く。
銀河系中心宙域を旅する銀河移民船団「マクロス・フロンティア」に、「マクロス・ギャラクシー」の人気歌手・シェリル(CV:遠藤綾、歌:May’n)のコンサートツアーがやってくる。パイロットを目指す青年・アルト(CV:中村悠一)はステージ演出のエア・アクロバットに参加し、アルトの友人で歌手を夢見る少女・ランカ(CV:中島愛)は観客としてシェリルのライブを楽しんでいると、突然重機甲生命体「バジュラ」の群れが襲来する。ライブは中断し、観客たちが逃げ惑う中、アルトはとっさにパイロットを失くした可変戦闘機「VF-25 メサイア」に乗り込み、シェリルとランカを守る。
その後、アルトは民間軍事企業「S.M.S」に入隊してバジュラとの戦いに身を投じ、ランカはアイドルを目指して下積みの仕事に励む。一方、シェリルは自分を特別扱いしないアルトに興味を持ち、次第に心を許していく。アルトとシェリルも心の距離を縮めていく中、アルトに淡い思いを抱くランカは心中穏やかでいられない。しかし、「フロンティア」でのシェリルのラストステージが近づく中、シェリルに「ギャラクシー」のスパイ疑惑が浮上。3人の間には恋愛と疑いの感情が交錯する。
シェリルのラストライブ直前、「ギャラクシー」がバジュラの総攻撃を受けたこと、「フロンティア」政府が「ギャラクシー」からの救援要請を無視したことが判明。事実を知った「S.M.S」は、救援のため急ぎ「ギャラクシー」を目指す――。
テレビアニメを新たに再構築したということで、初めからアルトとランカが知り合いだったり、シェリルの設定が違っていたりなど、テレビ版の複雑な設定を簡潔にするための若干の変更が施されており、初見の観客に寄り添いつつ、テレビ版のファンも違った世界線を楽しめる作りになっている。
テレビアニメ版から踏襲された「マクロス」の“伝統”と“革新”
そんな中で、注目すべきはテレビアニメ版から踏襲された「マクロス」の“伝統”と“革新”の部分だ。歌姫という“伝統”はそのままに、セクシーでロングヘアのお姉さん風のシェリルとショートカットで子どもっぽい清純派アイドル風のランカという、シリーズ初の2人の歌姫という“革新”で彩っていたり、主要キャラの三角関係という“伝統”を残しつつも、謎を絡めた感情の交錯でドラマ要素に“革新”を加えている。
さらに、歌という“伝統”に、歌唱シーンでのミュージカル要素を加えた“革新”で、より楽曲にメッセージ性とストーリー上での重要性を分厚くし、シリーズのコアの部分である“伝統”のバトルシーンに、圧倒的なスピード感と滑らかなカメラワークという3DCGの“革新”で迫力を倍増させている。
25周年記念作品が礎となっているため、制作陣も意識的に施しているであろう、これら“伝統”と“革新”の融合が、シリーズ随一の熱量と共に洗練された美しさをも感じさせる作品に仕上がっている。
制作陣の熱と共に込められた“伝統”と“革新”に注目しつつ、テレビアニメ版とは異なる世界線を楽しんでみてはいかがだろうか。ちょうどテレビアニメ版の「マクロスF」や、同作の完結編となる「劇場版マクロスF~サヨナラノツバサ~」、10年後に制作された「劇場版短編マクロスF ~時の迷宮~」もこのほど配信されており、気になる人は「マクロスF」漬けになれる月になりそうだ。またディズニープラスでは、2024年内にマクロスシリーズ全18タイトルの配信が予定されている。
◆文=原田健
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