付き合ってはいけない3B……バンドマンに恋したサブカル女子同士の抗争劇

付き合ってはいけない3B……バンドマンに恋したサブカル女子同士の抗争劇

2021.07.18 11:10

夢追い人がかっこよく見えるのは、25歳までの儚い魔法。

こんにちは。「見る目のなさ」には定評がある恋愛コラムニスト・ミクニシオリです。

私の見る目のなさといったら、大学生の時に付き合っていた彼氏は大学中退して海外にポーカーしに行って大借金して帰ってきたり、同棲していた元カレと別れる時は、貯金していたお金が返ってこなくなったりと、まあまあひどいものでした。

まあ、若いうちにそういう辛酸をなめまくったおかげで、今は冷静に恋愛するようになりました。今年で29歳、崖っぷちアラサー。

さて、今回はそんな私がこじらせちゃったきっかけでもある、10代の頃のイタい恋を振り返ります。

■中二病をこじらせていた高校時代

ステージの上で逆光に照らされている男性は、なぜかっこよく見えてしまうのだろう。

北関東の片田舎で育った私は、高校生の頃そういう”魔法”にかかっていたんです。

時は、ルーズソックスにつけまつげ3枚盛りギャルが、クラスのヒエラルキー上位に君臨する時代。一方私は初期iPodで音楽を聞いているタイプのJKで、いわゆる中二病をこじらせていました。

中学時代好きだった男子の影響でギターをはじめていた私は、立派なサブカル女子に成長しており、一緒にギターを練習していた男子に告白されて、はじめての彼氏ができました。

ギャル男ばかりの田舎で、古着系の私服をさらっと着こなすバンドマン男子と付き合えた。サブカルスタンプラリー、一個捺印です。

■サブカル女子、バンドマン彼氏と「ライブハウス沼」へ

バンドマン彼氏と付き合ってからは、彼と地元のライブハウスに出入りするようになりました。どんな田舎にもなぜかあるのがライブハウスというものですが、なんとなく閉鎖的な雰囲気が漂っていて、自分からは遊びに行けない場所でした。

彼はそのライブハウスで、コピーバンドとしてライブをしていました。お遊びでギターを弾いているだけの私と比べて、きちんとバンドを組んでステージに上がっているというだけで、謎の魅力で輝いて見えていたんですよね。

彼氏に連れられて、私もライブハウスに入り浸るようになりました。ライブハウスといっても、片田舎にある小さなライブハウス。地元で社会人バンドを組む人たちが音楽仲間と集まるためにイベントをしているような、ローカルコミュニティです。

出演者もお客さんも顔ぶれは毎回一緒。地元で人気のバンドや、ライブハウスにお金を落としてくれる常連さんがヒエラルキーの頂点。高校生でお金もない私は、いつも少し疎外感を感じていました。

でも彼氏が呼んでくれる時だけは、他の出演者のバンドマンたちと合法的に挨拶できました。そう、ライブハウスにいる女性で一番強いのは「バンドマンの本命彼女枠」なのです。女性の常連客はほとんど、いつも出演しているバンドマンのうち誰かに恋をしていて、彼女枠争奪戦のようなものが、水面下で行われていました。

■人気バンドマンに乗り換えを考えて……?

ライブハウスに通うようになって2年ほど経った頃、転機が訪れました。ライブハウス内で人気のあった、新進気鋭のオリジナルバンドを組む大学生男子からドライブデートに誘われたのです。

彼氏との関係にマンネリを感じていた私は、今度は憧れの大学生バンドマンに心を射抜かれてしまいました。だって、田舎のJKにとって一番強いのは、車持ちの年上彼氏だったんですから。

大学生と2回ほどドライブデートをし、私は彼氏と別れました。高校前に車を横付けして迎えにきてくれる大学生の方が、自分にとってさらに誇らしかったのです。すっかり彼の虜になり、いつ告白しようか、と悩みながらライブハウスにも通いました。でも、大変だったのはここからです。

彼のバンドは県外にライブしに行けるくらいにはやる気のあるバンドで、その分ライブハウス内でも人気がありました。だからこそライバルも多かったのです。

彼が実は女遊びが激しいクズ男子だということはあとあと知ることになるのですが、その時は付き合ってもいないのに、駐車場で人目をかいくぐってキスされたり、楽屋で急に抱きしめられたり……バンドマン特有の、刺激的な恋愛に酔いしれていました。

未成年だったからこそ安全圏だった元カレと比べると、成人している彼は周りの女性からのアプローチも多く、常にファン兼友人といったアラサー女性たちの目が光っていました。垢抜けない高校生の私が、人気バンドマンとひと目もはばからずいちゃついたことで、彼女たちの反感を買ってしまったのです。

■【悲報】女性ボスの反感を買ってしまう

そこからはもう、とにかく大変でした。2年も仲良くしていたのに、常連のボスだったアラサー女性に無視されはじめ、ライブハウス内で女性と話をしてもらえなくなりました。仕方なく男性と話していると「誰でもいいのかよ」とさらに女性の反感を買います。

大学生と正式に付き合うことさえできれば……と躍起になってアピールしましたが、結局本命にはしてもらえず、つまみ食いされて終わる始末。まだ高校生の私からすれば「世の中にこんな不条理な恋愛があるなんて」と愕然とするしかありませんでした。人生ではじめての、恋愛の辛酸だったと思います。

その後、大学内で本命彼女を作ったらしく、つまみ食いのための連絡すら来なくなりました。彼と連絡を取らなくなっても、常連のアラサー女性たちの冷ややかな態度は変わらず、結局そのライブハウスには行かなくなってしまいました。

■イタい恋から得た教訓「夢追い系男子との恋は若いうちしか無理」

それでもやっぱり、何も持っていない高校生だった私の目から見て、ステージで楽器を握って歌うバンドマンたちは、本当にかっこよく見えました。今思うとみんな前髪が長すぎて、どんな顔をしていたかはまったく覚えていません。細い腕でギター持ってるのがかっこよかったんでしょうか。魔法が解けてしまった今ではもう、その良さがどういうものなのか説明もできなくなってしまいました。

振り返ればバカバカしい、でもあの頃は本気だった……それが“イタい恋”。大人になった今は、夢追い系男子の応援をしながら、結婚する機会を伺う時間の余裕はないなあと本気で思います。あの時付き合えなかった彼は、今はバンドを辞め、実家で野菜農家を手伝っているそうです。これが現実、これぞ人生である。

(文・ミクニシオリ、イラスト・菜々子)

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