

天文学の歴史(前編)~紀元前にも地動説は存在した?~
2013.08.27 18:21
提供:マイナビウーマン
現代では、科学の進歩によって太陽や地球・月、その他の天体がどのように動いているのかは誰もが知るところとなりましたが、古代の人たちも今と同じように空を見上げながら星の動きについていろいろと考えていました。
そこで、今回はそんな天文学の歴史について見ていきたいと思います。
■哲学と宇宙観
人々が、太陽や月・星など天体の動きをつかもうと試み始めたのは、紀元前6世紀頃のエジプトやギリシアからだと考えられています。
当時の宇宙論は、日ごろの経験則に基づいた考え方であり、哲学とも密接につながっていました。
ミレトス学派に所属していた古代ギリシアの哲学者たちは、地球の大地は円盤状や半球状をしており、それが宇宙の中心であると考えていました。
■科学的な宇宙観のはじまり
紀元前4世紀頃になると、天文学者や数学者たちが地球を中心とした宇宙の構造をもっと科学的にとらえようと試み、その中からいろいろな説が生まれてきます。
円すいの体積が円柱の体積の1/3であることを証明したとしても知られている古代ギリシアの数学者「エウドクソス」は、地球を中心にしてその他の天体が周りを公転しているという説を唱えました。やがて、この考え方は「アリストテレス」へと引き継がれていきます。
また、ピタゴラス学派の1人である「エクパントス」も地球が宇宙の中心で自転しているという説を唱えました。
なお、これらに共通しているのは、いずれも地球が宇宙の中心であり、天の星々が地球の周りを動くというものです。そのため、このような考え方は「天動説(地球中心説)」と呼ばれています。
■地動説も存在した?
このように天動説が主流の時代ではありましたが、そんな中でも現代と同じように地球が太陽の周りを公転しているとする「地動説(太陽中心説)」を唱える学者も少なからず存在しました。
代表的なのが、先ほど登場したエクパントスと同じピタゴラス学派出身の「アリスタルコス」で、彼は紀元前280年頃すでに、地球やそれ以外の惑星は自転しながら太陽の周りを回っているという説を唱(とな)えた人物とされています。
■プトレマイオスの天動説
これら、さまざまな学説の中から正しいと思われるものを整理したのが、2世紀に登場した古代ギリシアの天文学者「プトレマイオス」でした。
プトレマイオスは、宇宙の中心は地球であり、それ以外の天体はすべて地球の周りを回っているという天動説を、より体系化し、そのことを著書「アルマゲスト」にまとめました。
一方で、地動説については、ここから約2000年の長きにわたって歴史の表舞台から姿を消すことになってしまいます。
もちろん、実際には天動説ではなく地動説が正しいわけです。ただ、たしかに見た目では太陽やその他の天体が地球の周りを動いていますし、当時は人類が唯一の存在で自分たちが宇宙の中心だと考えていたとすれば、天動説がこの時代の人々に支持されたことは自然な成り行きだったのかもしれませんね。
■天動説で説明しづらい現象
天動説が主流になったとはいえ、地球を中心にしてすべての星が円運動をしているという単純なモデルでは説明しづらい現象もありました。
そのもっとも代表的なものが惑星の動きでした。
惑星は他の星(恒星)たちとは異なり、時にはゆっくりと動き、さらには逆方向(日本では西から東)へと動くことがあります。このように思わぬ動きをする惑う星という意味で「惑星」と名付けられたというわけです。
それでも天動説を支持する科学者たちは、この複雑な惑星の動きを何とか説明しようと試みました。
結果的に、惑星は地球の周りを単に大きな円を描いて回っているのではなく、それと同時にその円軌道上で小さな円(周転円)を描いて回っているという、ちょっと複雑な二重軌道を考え、これによってかなりの精度で惑星の動きを説明することができました。
■まとめ
天文学の歴史は、人類の歴史そのものだということができます。
古代の人々は、地球がすべての中心であるという「天動説」を支持し、これが神の存在や宗教と深く結びついていくことになりました。これほど支持された学説ですから、やがて「地動説」が支持されていくようになったとき、人々が受けた衝撃は計り知れないものだったことでしょうね。
(文/TERA)
TERA。小さい頃から自然科学に関心があり、それが高じて科学館の展示の解説員を務めた経験も持つ。現在は、天文に関するアプリケーションの作成や、科学系を中心としたコラムを執筆している。
そこで、今回はそんな天文学の歴史について見ていきたいと思います。
■哲学と宇宙観
人々が、太陽や月・星など天体の動きをつかもうと試み始めたのは、紀元前6世紀頃のエジプトやギリシアからだと考えられています。
当時の宇宙論は、日ごろの経験則に基づいた考え方であり、哲学とも密接につながっていました。
ミレトス学派に所属していた古代ギリシアの哲学者たちは、地球の大地は円盤状や半球状をしており、それが宇宙の中心であると考えていました。
■科学的な宇宙観のはじまり
紀元前4世紀頃になると、天文学者や数学者たちが地球を中心とした宇宙の構造をもっと科学的にとらえようと試み、その中からいろいろな説が生まれてきます。
円すいの体積が円柱の体積の1/3であることを証明したとしても知られている古代ギリシアの数学者「エウドクソス」は、地球を中心にしてその他の天体が周りを公転しているという説を唱えました。やがて、この考え方は「アリストテレス」へと引き継がれていきます。
また、ピタゴラス学派の1人である「エクパントス」も地球が宇宙の中心で自転しているという説を唱えました。
なお、これらに共通しているのは、いずれも地球が宇宙の中心であり、天の星々が地球の周りを動くというものです。そのため、このような考え方は「天動説(地球中心説)」と呼ばれています。
■地動説も存在した?
このように天動説が主流の時代ではありましたが、そんな中でも現代と同じように地球が太陽の周りを公転しているとする「地動説(太陽中心説)」を唱える学者も少なからず存在しました。
代表的なのが、先ほど登場したエクパントスと同じピタゴラス学派出身の「アリスタルコス」で、彼は紀元前280年頃すでに、地球やそれ以外の惑星は自転しながら太陽の周りを回っているという説を唱(とな)えた人物とされています。
■プトレマイオスの天動説
これら、さまざまな学説の中から正しいと思われるものを整理したのが、2世紀に登場した古代ギリシアの天文学者「プトレマイオス」でした。
プトレマイオスは、宇宙の中心は地球であり、それ以外の天体はすべて地球の周りを回っているという天動説を、より体系化し、そのことを著書「アルマゲスト」にまとめました。
一方で、地動説については、ここから約2000年の長きにわたって歴史の表舞台から姿を消すことになってしまいます。
もちろん、実際には天動説ではなく地動説が正しいわけです。ただ、たしかに見た目では太陽やその他の天体が地球の周りを動いていますし、当時は人類が唯一の存在で自分たちが宇宙の中心だと考えていたとすれば、天動説がこの時代の人々に支持されたことは自然な成り行きだったのかもしれませんね。
■天動説で説明しづらい現象
天動説が主流になったとはいえ、地球を中心にしてすべての星が円運動をしているという単純なモデルでは説明しづらい現象もありました。
そのもっとも代表的なものが惑星の動きでした。
惑星は他の星(恒星)たちとは異なり、時にはゆっくりと動き、さらには逆方向(日本では西から東)へと動くことがあります。このように思わぬ動きをする惑う星という意味で「惑星」と名付けられたというわけです。
それでも天動説を支持する科学者たちは、この複雑な惑星の動きを何とか説明しようと試みました。
結果的に、惑星は地球の周りを単に大きな円を描いて回っているのではなく、それと同時にその円軌道上で小さな円(周転円)を描いて回っているという、ちょっと複雑な二重軌道を考え、これによってかなりの精度で惑星の動きを説明することができました。
■まとめ
天文学の歴史は、人類の歴史そのものだということができます。
古代の人々は、地球がすべての中心であるという「天動説」を支持し、これが神の存在や宗教と深く結びついていくことになりました。これほど支持された学説ですから、やがて「地動説」が支持されていくようになったとき、人々が受けた衝撃は計り知れないものだったことでしょうね。
(文/TERA)
TERA。小さい頃から自然科学に関心があり、それが高じて科学館の展示の解説員を務めた経験も持つ。現在は、天文に関するアプリケーションの作成や、科学系を中心としたコラムを執筆している。
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