アジャコング、デビュー40周年興行「地方のプロレス熱を全国に広げていきたい」沖縄開催のこだわり
5月16日、アジャコングがデビュー40周年記念大会を開催する。誰もが知っているビッグネームだけに記念大会を開くことは当たり前なのだが、大会告知ポスターを見ると、当たり前ではないことがいくつも見つかる。なぜ東京の大会場ではなくて、沖縄の野外会場での開催なのか? どうしてMAXとクラッシュギャルズの姿がそこにあるのか? 大会の主役にしてプロデューサーのアジャコングがたくさんの「なぜ?」について。すべてを解き明かす。
1986年、女子プロレス的な表現をすれば「(昭和)61年組」のデビュー年は、日本の女子プロレスの歴史の中でも非常に大きな意味を持つ年である。
話題を集めたドラマ『極悪女王』で描かれたクラッシュギャルズとダンプ松本の抗争で日本中が女子プロレスブームに沸いていた時代。当然、女子プロレスラーに憧れる少女たちも激増し、入団オーディションに応募が殺到。そこから厳選された8名が合格となった。
そして、この年の8発、新興団体・ジャパン女子プロレスが旗揚げ。これによりイッキに20人以上も選手が増加。毎年、数人しかデビューしないのに、この年だけは30人近い女子プロレスラーが誕生しているのだ。
それから、ちょうど40年。いまでも現役で活躍している女子プロレスラーは神取忍、尾崎魔弓、そしてアジャコングの3人だけになった。残るべくして残った3人、という印象だが、3人ともバリバリの現役で、あのころのイメージをしっかりとキープしているというのはすごい話である。
その中で先陣を切って40周年記念興行を開催するのがアジャコング。だが、ちょっとばかり違和感がある。アジャのデビュー日は9月17日。なぜ、4か月も前倒しした5月16日に開催するのか? そして、会場はなんと沖縄の豊崎美らSUNビーチ多目的大広場。どうして定番である東京での開催をチョイスしなかったのか? これはもうアジャ本人に話を聞くしかない。
「なんで沖縄? 昔から沖縄が好きだからですよ。本当は5年前の35周年のときに周年興行を計画していて、そのときから沖縄開催のプランがあったんだけど、ちょうどコロナ禍と重なってしまって開催できなくなってしまった。で、40周年でなにかやろうとなったときに、今度こそ沖縄でやりましょうか、と。まぁ、経費はかかりますよ。それこそ後楽園ホールで5回ぐらい、興行が打てるぐらいかかる(苦笑)。だったら東京でやったらいいじゃないか、と言われるかもしれないけど、ほかの人がやっているようなことをやっても面白くないでしょ? たしかに儲からないかもしれないけど、自分としては赤字にならなければいいんですよ。そのためにいろんな企業さんにお願いしてスポンサーになっていただいて。そういうことができるのも40年もプロレスを続けてきた人間だからだと思うんでね。
5月17日に開催するのも、じつは沖縄に関係していて。たしかに私のデビュー記念日は9月17日だけど、そのころってちょうど台風シーズンなのよ(苦笑)。下手したら飛行機が飛ばなくて沖縄に行けない可能性だってある。その時期を避けつつ、会場の空き状況と照らし合わせていったら5月16日ってことになった。えっ、梅雨入りのころじゃないかって? 大丈夫だよ、私、晴れ女だから(笑)。せっかく沖縄でやるんだったら、やっぱり青空の下でやりたいし、さらにビーチサイドなんて最高じゃないですか!」
ただ、沖縄で開催する理由はそれだけではなかった。
「今、フリーでいろんな団体さんに参戦させていただく中で、日本中で試合をしているんですけど、最近、特に地方のプロレス熱というのをすごく感じるんですよ。いつも待っていていただいているのは申し訳ないな、と思う一方で、なかなか地方でビッグマッチをやる機会がない、という事情もある。だったら私がやろうじゃないか、と。だから、東京でやらなかった。その代わりね、今回は沖縄でやるから、いつか沖縄のプロレスファンの方も東京とかまで試合を観に来てくださいよって。そうやって地方のプロレス熱を全国に広げていきたいんですよ。今回の大会がそのきっかけになってくれたら」
記念大会ならでの華やかさもある。ポスターにはなぜかMAXとクラッシュギャルズの姿が!
「MAXさんはずっと好きなアーティストさんで、コンサートにも通っているし、テレビ番組で共演したことがきっかけで仲良くさせていただいているんですけど、いつかこういう形でコラボしたいな、という夢が叶いました。クラッシュのおふたりはね、もともとオファーしたわけじゃないんですよ。それぞれ個別にお話しをしたら「沖縄? いいな、行きたいな!」ってことになってね。で、せっかくおふたりが揃うなら、なにかやってくださいよ、ということでスペシャルアンバサダーに就任していただきました。クラッシュギャルズに憧れて女子プロレスラーになった私としてはこんなに幸せなことないですよ」
まさにデビュー40周年を祝う盛大なフェス、である。ただ、40年を振り返るような趣向はここだけで、試合本線にはまったくその要素がない。普通は同期などを集めた試合などを組むものだが、基本は今、最前線で闘っている選手たちでカードが構成されている。
「まぁ、過去はどんなに振り返っても、変えることができないからね。だったら、今と未来をお見せしよう、と。私の世代だと(井上)京子は呼んだけど、それでも私とは絡まないカードにしたから。いやね、なんなら、私の試合は組まなくてもよかったのよ。今の女子プロレスって、こんなにキラキラした選手たちが、こんなにすごい試合やっているんだよ、と知ってもらえるカードが並べば、それでよかった。アジャコングの名前と40周年という看板は“客寄せパンダ”でいい。とにかく今の女子プロレスを観てもらえたら!」
40年の歴史を歩んできたアジャはいろいろな時代を体感してきた。クラッシュブームで沸く時代にデビューし、その後、クラッシュの引退で女子プロレス人気が低迷した時代も味わってきた。そこから東京ドームにまで到達する対抗戦ブームによるV字回復期にはチャンピオンとして時代を牽引し、その後突入した長くて辛い冬の時代もずっとその目で見つめてきた。ジャパン女子でデビューした神取や尾崎は最初の部分は体感していないわけで、そこはもうアジャの独壇場。そんな彼女だからこそ、近年、人気が急上昇している女子プロレス界に「明るい未来」を感じている。
「もう30年以上前になるんだよね、全女の東京ドーム大会。あの日のメインイベントに出場して、いまも現役を続けているのは私だけなんですけど(対戦相手は北斗晶だった)、その記録がね、何十年も更新されていないことがもどかしくて。これからどんどん女子プロレスで東京ドームをやっていって『東京ドームでメインに出場した女子プロレスラー」の数が増えていってくれたら、本当に嬉しいし、その可能性を秘めた選手たちが今回の大会にはたくさん出場しますんで。
私が見たいカード、面白いだろうなと思ったカードをズラッと並べたので、正直ね。オファーをかけた段階でいくつかの団体からNGを出されるかな、と思っていたんだけど、全カード、即答でOKだったんですよ。あぁ、これはここ数年、フリーとしていろんな団体に上がらせていただいて、そこで築いた信頼と実績の賜物だな、と。35周年のときに大会を開いていたら、このメンバーでこのカードは絶対に無理だったと思うから。それも40周年ならではだと思うので、ぜひ、会場で観ていただきたいです」
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