“当て馬”の本当の意味を知る…知られざる競走馬繁殖の裏側に読者から「泣ける。連載してほしい」の声【漫画】

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、作者の高草木こぶさんが2025年4月3日にX(旧Twitter)に投稿された『プロフェッショナルな童貞おじさん(馬)の話』をピックアップ。

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本作はマグコミに掲載中の読み切り漫画『あてうま白書』のお話。本作がX(旧Twitter)に投稿されたところ、5.9万件もの「いいね」と多くの反響コメントが寄せられた。本記事では作者の 高草木こぶさんにインタビューを行い、創作のきっかけや漫画を描く際のこだわりについて語ってもらった。

プロフェッショナルな"当て馬"のプライド

元競走馬「アカギファルコ」はプロの当て馬。大切な種牡馬(種付けをするオス馬)が問題なく繁殖できるように、牝馬(メス馬)にその気があるかどうか、本番前に確認するのが彼の仕事だ。そして彼が本番を味わうことは一生ない…。繁殖は競馬で優秀な成績を残した選ばれし牡馬のみができる仕事であり、その種付けは超高額で取引される。

たった一度、GⅡで勝ち星をあげた成績で当て馬としてのポジションを勝ち取ったアカギファルコ。GⅠを勝ちまくるスーパーエリートの種牡馬を前にして、当て馬として清々しいほどのプライドを見せる彼の姿にはほれぼれしてしまう。普段見ることのできない競走馬繁殖の裏側に読者から「知らない世界があった」「連載してほしい」「この作品に出会えてよかった」など多くの反響が寄せられている。

2025年4月からは新たな作品『ウマの言葉は理解りませんだから静かにしてください！』の連載がスタート。競走馬育成現場を描くこちらの作品にも読者から期待が寄せられている。

作者・ 高草木こぶさん「競馬はいいぞ〜！」

――『あてうま白書』を創作したきっかけや理由があればお教えください。

元々競馬を題材にして、騎手や厩務員(馬の世話をする人)の漫画を同人誌として描いていました。

そのお話を描き終えて「さぁ新しい競馬漫画を描こう！」となった時に、「もっと私らしい描き方ができるものはないか？」「馬を沢山描ける方法はないか？」と考えてプロットを作ったのが馬たちが擬人化的に会話をする『あてうま白書』の元となるお話でした。

それをマッグガーデンさんで開催された「ワンアイデア×動物まんが賞」への応募に際して少し展開を変えたものが『あてうま白書』です。

ひとことで言えば、「馬をめいっぱい描きたい！」というところから始まっています。

――本作はなかなか知ることのできない競走馬の繁殖の様子を描いていて、競馬ファンはもとより競馬を知らない方にも興味深い内容です。生産の現場を描くうえでこだわった点があればお教えください。

生産の現場で何が行われているのか言葉では知っていても、実際はどのような感じなのか、見知っている人はどうしても限られてしまうと思います。

ですので、土台の部分(馬の描写や背景描写)は実際の現場を踏襲しつつ、演出としては知らない人にもわかりやすいようにキャッチーな設定を入れたりしました。

実際の当て馬は童貞の馬は極めて少なくて、種牡馬経験のある馬だったり、サラブレッド以外の品種の馬がやっていたりするんです。

ただそこを説明で入れてしまうと、一般の読者の方にはわかりにくいだろうと判断して、プロフェッショナルな童貞のアカギファルコが誕生しました。

でも、アカギファルコのモデルの一頭となった馬は実際に種付け経験がない当て馬なんです。

あまり知られていない馬の仕事を知ってもらうために、創作になりすぎないように意識しました。

――本作の中で特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。

後半の回想後、イスカンダルの質問に答えないアカギファルコのシーンでしょうか。

なんとなくこの時に読者の方もそれぞれ自分の中の「思い出の馬」を思い出してくれる時間な気がして、自分ではお気に入りのシーンです。

――高草木こぶ先生の作品には牧場勤務のご経験が生かされていますが、漫画やイラストを描くきっかけはあったのでしょうか。

牧場勤務をしていた時は、目の前の馬たちのことに精一杯で、正直競馬を楽しむというよりは関わった馬たちの動向を追って一喜一憂してばかりでした。

牧場を退職したあと、少し競馬に対して俯瞰できるようになった時に、元々好きだった絵を通じて競馬や馬を表現したくなったのがきっかけです。

直接的に馬たちに何かをすることは出来なくなったけれど、巡り巡って誰かが馬に触れるきっかけになれたらいいな、と。

なので『あてうま白書』を通じて「競馬や馬にもっと興味を持った！」とメッセージをいただいた時は本当に嬉しかったです。

――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。

いつも読んでいただきありがとうございます！

これからも馬を沢山描いていきますので、お付き合いいただけたら嬉しいです。

競馬はいいぞ〜！