店のお客さんに一目惚れした少女…まっすぐ想いを伝える姿に「ドストレート過ぎて良い」の声【漫画】

2025.06.25 08:40

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョンマンガ部」。今回は、レーベル「カドコミ」の漫画、『メリーバッドエンド百合アンソロジー下』より『雪椿』(KADOKAWA刊)を紹介する。作者の薬師寺うつつさんが、5月7日に「人妻に一目惚れしたjkの話」と添えてX(旧Twitter)に本作を投稿したところ、5000件を超える「いいね」やコメントが多数寄せられた。本記事では、薬師寺うつつさんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。

ある言葉がきっかけに果たされた運命の出会い

飲食店で働いている木月ツバキは、窓際の席について煙草を吸っていた女性・ユキが注文したショートケーキを持って彼女のテーブルへ向かう。しかしショートケーキをテーブルに置く時、落雷と同時に店内の電気が止まってしまった。

混乱する店内でユキは動じずにライターの火を点け、「ここだけ誕生日みたいだね」とツバキに微笑みかける。すると、この日が誕生日だったツバキは、その笑顔に惹かれて突然ユキに「好きです」と告げた。

翌日、告白されたにもかかわらず店にやってきたユキを見て、彼女にふたたび想いを伝えるツバキ。しかし彼女の口から思わぬ事実が明かされ…。

この運命の出会いを描いた漫画を読んだ人たちからは、「すべてが美しすぎる」「表情がたまらん」「この笑顔には惚れるよ」「ドストレート過ぎて良い」など、多くのコメントが寄せられている。

同性同士の繊細な関係を華麗に描き切る

――本作のお話の発想の源はどこだったのでしょうか？

映画のキャロルからです。百合漫画を描いたことがなく、百合というジャンルに向き合おうとしたときに、女性同士の繊細な関係性を描いた作品として映画『キャロル』が思い浮かびました。そこから発想を広げました。

――本作では、ツバキの熱意に押されるユキが非常に印象的でした。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい！」というポイントがあればお教えください。

ツバキの「パッと明るくみえて裏に黒いものを隠しもつ所」ユキの「パッと突っぱねている様で裏はねっとりしている所」他人に見せる表の面だけでなく、この人になら見せてもいいとする裏の面を描くのをこだわりました。後、タイトルの雪椿の花言葉が「変わらない愛」なのでそこは軸において意識しつつ描きました。

――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。

この先は2年後にしましょう。〜我慢して下さいね…までのシーンです。このシーンの時ツバキはユキの事を一生愛し続けて、今後の誕生日もずっとそばにいる決意をもう持ってます。ユキの言う「大人」になる迄の2年は、ユキにとっては迷って揺れて…それはそれは大変な2年になると思います。ツバキにとってはなんて事のない2年なのかもしれません。だってユキさん、本当はもう、気づいてるんでしょ…？といった感じの重いシーンなので気に入ってます。

――ストーリーを考えるうえで気をつけていることや意識していることなどについてお教えください。

人間の暗い部分を入れるように意識しています。明るさの裏にある暗さから、人間らしさが感じられると思っているからです。気をつけているのは、お話が暗くなりすぎないようにすることです。

――薬師寺うつつさんの作品は、透明感のある絵柄が非常に美しく感じます。作画の際にこだわっていることや、特に意識していることはありますか？

透明感があると感じていただけているようで幸いです。太い線と細い線のメリハリは意識していて、髪と服の皺、目元口元は細かく線を重ねる様にしています。一方で輪郭は太くし全体の印象を引き締めてくれと願って描いております。

――今後の展望や目標をお教えください。

雪椿のように凸凹が噛み合う2人が好きなので、そんな2人がてっぺんを狙うようなスポーツ百合漫画を描きたいと思っています。スポーツは人間の光と影が凄く出やすいものだと思っていて、何十年ものの憧れ友情が、憎しみ嫉みになったりと…複雑な感情の揺らぎを沢山描けたらなと考えています。

――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします！

Xの更新頑張ります…