

ゴミ清掃芸人・マシンガンズ滝沢が目指すのは『ゴミ削減のエンタメ化』、ゴミを維持する考えで「若い世代の社会を守りたい」

ゴミ清掃芸人を自称するお笑い芸人マシンガンズの滝沢秀一。個人のSNS発信から始まった活動は、現在、“チーム滝ゴミ芸人”を結成し、企業とプロジェクト化するまでに至っている。滝沢がゴミ削減に必要だというエンタメ化と、学生世代に寄せる期待、今後二十数年で来るというゴミ飽和時代へ向けた“ゴミの維持”とは――。ライフワークだというその活動を聞いた。
現代のゴミ収集で一番危険で困るのは「リチウムイオン電池」
――ゴミ清掃芸人を自称して、SNSで様々なゴミ問題を発信しています。最近、これは気をつけてほしいと思ったゴミはありますか?
最近だとモバイルバッテリーのリチウムイオン電池(※)。これが清掃員としては一番危険で困るゴミだと思います。リチウムイオン電池はとても便利なものですが、捨て方を間違えられると僕ら清掃員はとんでもない目に遭います。カバーがプラスチックだから、取り出さないでプラ資源に出す人や、「燃えるだろ」って感覚でゴミに出す人がいます。プラ資源に混ざった場合、プラの元は石油じゃないですか。発火したらあっという間に燃え広がります。※リチウムイオン電池は使用を続けると劣化し、内部に可燃性のガスが溜まり発火する場合がある。
――電池の発火事故がニュースになるときもありますね。
自治体によってはリチウムイオン電池は回収不可で、量販店や回収できる地域でも、危険性から膨らんでいないものだけです。ハンディ扇風機も小型のモバイルバッテリーが入っていますね。買えるのに捨てられない。だから他のゴミに隠して出している人もいるんじゃないでしょうか。これ、本当に危険なのでやめてほしいですね。
――回収がない地域の場合、どう廃棄すればいいのですか?
基本は持っているしかないです。先日、スギちゃんも「どうすればいい?」ってパンパンに膨れたモバイルバッテリーの写真を発信していましたけど、僕の回答は、「頑丈な土鍋に入れてベランダに出しておく」です。それなら発火しても燃え移りませんから。でも、危険なものは家に置きたくないですよね。だからこっそり捨てる。そうするとゴミ回収車が危険になる。
これ、小さなことに思えて、けっこう大変な社会問題なんですよ。SNSでアンケートを取ってみたら、あっという間に1000件を超える回答が集まったくらいです。これを今どうにかしたいと考えていて、有識者会議を開いたり、短期的、中期的、長期的な色々な目線で取り組みを発信したいと思っています。
チーム滝ゴミ芸人で、ゴミ削減をエンタメイベントに
――滝沢さんのゴミ削減への取り組みでは、チーム滝ゴミ芸人の活動もあります。どのような経緯で発足したのでしょうか?
僕個人で伝えるには限界があるので、ゴミのことを一緒に教えていくメンバーがほしいと思って作りました。伝える、教えるというのは、つまり教育です。小さい頃からゴミ分別ができる子って、大きくなってもちゃんとしているんですよ。危険なゴミ、資源になるゴミ、そういったことを当たり前に理解しています。それはすごく大事なことなので、僕以外にも教えてくれる人がいるといいなと、興味がある芸人さんを募集しました。
――芸人だけで結成したのはなぜですか? 教育であれば有識者を募る方法もあったと思います。
教育といっても、難しい話や偉い人からの注意喚起ではダメなんですよ。広く届けるのに一番いいのって、やっぱりエンターテイメント。それにはやっぱり芸人が面白い。楽しく、仲間たちとワイワイやりたくて、例えば、5月に一か月を通して実行した「滝沢ゴミクラブ」のゴミフェスもその1つです。
ゴミフェスで見た学生世代のゴミ削減の高い意識
――今回の取材のきっかけがチーム滝ゴミ芸人に興味を持ったことで、まず5月3日のオープニングイベントに行きました。正直驚きました。学校の発表会レベルを想像していたところに、非常に規模の大きい取り込みを目の当たりにして。
東洋製罐グループさんが協力してくれて、ゴミとの触れ合いや、ゴミ削減のアイデアコンテストとか、色々できましたね。何が目を引きましたか?
――「ホテイアオイのデンプンを使って生分解性プラスチックを作る」(和歌山信愛高校)。高校生グループによるアイデアで、デンプン原料で土に還る無害なゴミ袋を開発するというもの。しかも、カンボジアですでにプロジェクト化して、大量繁茂しているホテイアオイを処理して環境回復しながら、それを現地の方の仕事にする。
確かに、これはびっくりしましたね。先生方も生徒の実行力に驚いていました。
――「化粧品を使い捨てから資源へ」(郁文館グローバル高等学校)。これも高校生たちで、プチプラコスメのプラ容器や残った中身を回収するボックスを全国の学校施設やドラッグストアに設置。容器は寄付して新たな容器へ。中身はクレヨンや絵の具を作る企業でリサイクル。これもテストケースを実施中。すごいですね。
コスメのゴミ削減って僕らからは出てこない、女子高生ならではのアイデアでしたね。
――他にも色々、この世代のゴミ削減への意識の高さはすごいと思いました。
頼もしいですよ。そういう風に自分で考えて、行動するって。僕ら昭和世代はゴミ清掃や分別って、嫌々だったじゃないですか。そうじゃなくて、社会のゴミってなんだろうと考えて、資源として見る目線を持っているんですよ。
――しかも、どれも現実的なアイデア。これ、イベント自体もですし、ゴミ削減アイデアに公費の支援をもらえないのだろうかと思いました。
そうした働きかけもしたいですね。特に学生たちはまだプレゼン能力を持っていないので、彼らのアイデアを世の中に出す手伝い、それを形にする道筋はできるだけ整えてあげたいです。僕は芸能の人間だから、それもエンタメにしてね。
ゴミ飽和時代はもうすぐ…ゴミは処理から維持する考えに
――それと関係するのだと思います。滝沢さんがゴミ削減のアイデアを積極的にビジネス化しようとしていること、「ゴミを捨てるのはタダじゃない」と言ったのが印象的でした。
これ、かなり深い話で、皆さんにしてみればゴミは出したらそこでおしまいですけど、そこから先には処理があって、清掃員が動いて、パッカー車を動かすにはガソリン代もかかります。で、燃やしますが、それでゴミが消えることはなく、灰が残ります。“最終処分場”というのは、この灰を埋める場所です。埋めてもまだ終わりではなくて、出る水をろ過する装置も必要です。
――出る水というのは?
灰を通った雨水は猛毒です。そのままでは下水に流せないのでろ過します。このろ過だってタダじゃない。ゴミ処理の1ルートで年間25億円くらいの費用。これだけの処理があることをほとんどの皆さんは知らないし、この最終処分場、切迫していて、おそらくあと25年くらいが限界。簡単にいうと、あと25年しかゴミを捨てられない。じゃあ、どうすればいいのかと言ったら、ゴミを維持する考えにならないとダメなんですよね。
――ゴミの維持とは?
要は捨て方の形です。例えばプラ容器を捨てるとき、ぎゅっと潰せばそれだけスペースが空いて、次を受け入れられるゴミになる。僕は“ゴミにはゴミの成り方”があると思っていて、それが維持するためのゴミの捨て方。灰にしなくていい捨て方をすれば、リサイクルもよりしやすい維持できるゴミになる。小さなことですけど、捨て方まで気にかけている人ってあまりいないと思います。
――イベントのコンテストでは滝沢さんは削減だけでなく、そうしたゴミ集めのアイデアもビジネス化しようとしていました。ゴミのあらゆるものをお金にする考え方だと思います。
だって、お金は必要ですよ。お金がないと人は動いてくれないですから、なるべくお金に変えないと。僕の経験上、メンタル的にも経済的にも苦しくなっていくと、意欲って落ちるんですよね。僕はそういうときにゴミに出会って、ゴミをお金にできないかと考えました。
ゴミをゴミと見ないことがお金にするアイデアを生む
――ゴミをお金にするアイデアはどんなときに生まれますか?
ゴミをゴミと見ないことですね。例えば、鉋(かんな)で日本一薄く木を削れる人がいて、その薄い木のクズってそこではゴミだけど、別の人には喜ぶものになるかもしれない。昔、“落ちないリンゴ”というのがあったのを知っています? 台風直撃でも落ちなかったリンゴが、受験生の間でゲン担ぎとして大人気になったんです。そういう発想の転換が、ゴミのビジネス化だと思います。何かをするにはお金がかかる。当たり前のことですけど、ボランティアに頼るのはもう限界です。
――オーバーツーリズムのゴミ問題もありますね。
だから事業化しないと。スポンサーを付けて滝沢ゴミ拾い大会みたいなことをやって、集まった人にはちゃんとアルバイト代を渡す。滝沢と一緒にゴミ拾いして、それがバイトになるならやろうかっていう風にしたい。ゴミでお金を作って、そのお金でプロジェクトを回して、またお金にする。これもゴミ削減の循環なわけですよ。最近、そんなことばかり考えています(笑)。
――東京23区では家庭ゴミ回収の有料化が検討されています。
地方の人は知らないかもしれませんが、23区って、ゴミを捨てるのに有料袋は必要ないんです。半透明袋ならなんでもいいですよ。税収入が桁違いとかあると思いますが、有料化にしたら不法投棄が増えるからだと思います。でも、僕は有料化には賛成ですね。今話したように、ゴミにはお金がかかる。それなのに、これから超少子化。税金でゴミを維持するって、もう無理ですよ。やっぱりそのためにはお金にする事業が必要で、捨てられるゴミ削減にもなる。あと大事なのは、昭和マインドを変えること。
昭和って、使わなければ捨てればいい、食べなければ捨てればいいって、飽和の時代だったじゃないですか。燃やせばいいと思っていたから。スーパーでも、牛乳は奥から取る、とか。手前の方が古いから損をするって考えですけど、今の若い子たちって、気にせず前から取るんです。古いのから使っていった方がいいでしょって。だから、若い子たちには期待しかないですね。教育って5年、10年かかりますけど、こうして花開くときが必ず来ます。
――この先、チーム滝ゴミ芸人で考えているイベントは何かありますか?
ゴミフェスの5月5日に、芸人たちとフードロス削減のイベントをやりました。それをもっとパワーアップさせた形で、「フードロスガストロノミー」という全国大会をやりたいと思います。フードロス食材を使った料理大会で、味にこだわるのか、見せ方にこだわるのか、アプローチはなんでもいいんです。食べる前にエンタメで楽しませ、「じゃあ、みんなで食べましょう!」って、楽しさを競うフードロスイベントを考えていて、その中の講演でフードロスを教育するとか。
――一言でゴミと言っても幅広いですね。
見方ひとつで資源になるか、ゴミになるかです。世の中には、ゴミじゃないゴミがたくさんあふれていますね。
ゴミ削減はライフワーク、マシンガンズでそのためのお笑いをしたい
――ゴミ削減イベントには相方の西堀亮さんも協力しています。マシンガンズは「ザ・セカンド」本戦出場を果たしましたが、今後の目標はあるのでしょうか?
「ザ・セカンド」は楽しいし、あれに救われた部分もあって、これからも参加はしていくと思います。でもゴミの滝沢、発明の西堀で仕事に呼ばれている部分も大きくて、2人が合体すればもっと面白いことができる。ゴミ削減の発明が生まれると思っていて、マシンガンズでそのためのお笑いができたらいいなと思っています。
――今、滝沢さんの中では全てのことがゴミに繋がっているんですね。
ライフワークです(笑)。ロケが好きなので、TOKIOの「DASH村」みたいなことをゴミ削減プロジェクトでやってみたいし、もっとゴミ削減をエンタメにしたい。そうして若い世代の社会を守りたいですね。
◆取材・文=鈴木康道
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