

番組作りのコツは“トンチとパンチ”&“忘れる力”、「料理の鉄人」小山薫堂が生んだ新料理対決番組「リモートシェフ」の発想地点

Travis Japanの吉澤閑也がMCを務める料理対決番組「リモートシェフ」(毎月第3月曜夜5:00-6:00、BSフジ)。本番組を企画したのは料理×バトルのムーブを生んだ伝説の番組「料理の鉄人」の企画者・小山薫堂、番組プロデューサーは小山と30年来の戦友である関和真史。2人が作る新しい料理対決番組「リモートシェフ」の発想地点、クリエイティブなものを生み出す“思考のコツ”を聞いた。
“料理人が傷つかない対決番組”として企画した「リモートシェフ」
「リモートシェフ」は、有名レストランのシェフが指示役となり、実際に料理する人(クッカー)はタレントが担う。おいしい料理は毎回2⼈のシェフがそれぞれ、1⼈のクッカーにモニター越しで指⽰。制限時間30分で料理を作り上げ、その出来映えを競い合う料理対決企画。包丁を握らず、⾷材を触らずに、「⼈に伝える⼒」だけで美味しい料理を作り出し、料理を作る楽しさ、おいしさを伝えることができるシェフこそ、次世代に必要とされる…というコンセプトのユニークな料理番組だ。
――番組のアイデアは10年前からあったと伺っています。発想のスタート地点はなんだったのでしょうか?
関和:まずそもそもの話として、「リモートシェフ」は小山さんが長年温めていた企画で、アメリカの放送局に売り込んだこともあるそうです。そのときはダメだったけど、後々その話を僕が聞いて、面白そうだったので現実的にどうできるかを小山さんと話し合いはじめました。僕の役目はそうしたアイデアを番組化するための整備することなので…発想のスタート地点は小山さんからどうぞ(笑)。
小山:僕は以前「料理の鉄人」(1993-1999)を企画しました。そのとき番組の面白さはあっても、料理人と料理に勝ち負けをつけることに申し訳ない思いがありました。それで「負けても料理人が傷つかない料理対決はどういうものだろう?」「自分で調理するのでなければどうだろう?」と考えを深めていき、出てきたのが「リモートシェフ」でした。
負けたとしても「作り手の能力」や「伝える力」といった複数の要因が絡み合うため、シェフとしての誇りにダメージは受けないのではと考えたのです。でもいざ始めてみると「料理の鉄人」のとき以上に悔しがっていて、「あれ?」と…。
関和:だいぶダメージを受けていますよね(笑)。
パイロット版で分かったバラエティー乗りのミスマッチ
――実際に始まってみて番組の感触はどうですか?
関和:アイデアのタネからここまで、良く育ってくれたと思いますね。番組制作はパイロット版を作るところから始まりますが、「リモートシェフ」は「小山薫堂 東京会議」(BSフジ)の中で企画を揉んでパイロット版を作りました。それをそのまま放送して、レギュラー化したのが今の番組です。
何分間の対決がいいのか、シェフの対決構図をどうすれば面白くなるか、ということをけっこう煮詰めてきました。シーズン3まで続いてくれたのは、感慨深いものがありますね。
小山:僕は、こんなにおいしい料理ができるんだということに驚いている(笑)。クッカー(料理人の指示で調理を担当するゲスト)はなにを作るのかも知らない状況でキッチンに立って、30分で完成させないといけない。10分で食材を切って、残り20分で仕上げるわけですよ。それでこんなにおいしいんだというのは発見でした。「料理の鉄人」のときは1時間でプロのシェフに助手も2人付けたのですが、今回は素人のクッカーが1人でやっていますからね。
――クッカーの選定には、料理の腕前は考慮されているのでしょうか?
小山:そこは大事ですね。でも最初は下手な人の失敗も含めて面白くなるかもと思ったんですよ。わーきゃー言いながら挑戦するのも面白さの1つかな、と。
でもパイロット版を作ってみて、そうした方向に行かない方が良いという結論に達しました。1回こっきりのバラエティーならそれもいいですが、真剣な料理対決に求められる面白さはそっちではない。それに30分しかない中でドタバタしていると、「早く作れよ」「もっとテキパキ動けないの?」と見ている側にフラストレーションが溜まっていくんです。そういうバラエティーなノリではなく、おいしいものをちゃんと作れることが番組の軸になると判断して、クッカーはある程度料理に慣れている方にオファーしています。
どんな場合もプロジェクトの船頭は1人だけ
――お2人は30年来の付き合いとのことですが、お互いから見た相手のよさはどんなところにあるのでしょうか?
関和:小山さんは幅広い経験と知識をアイデアや企画に変える術に長けていて、かつ柔軟な考え方もできる方ですね。会議をしていても、1つの企画に対していろいろな角度からアイデアを出してきてくれる。非常に柔軟だなと。僕はどちらかというと、「うんうん、そうだね。じゃあこうしてみようか」と物事を運ぶタイプなのでとても勉強になりますね。
小山:プロデューサーにもいろいろタイプの人がいますが、大別すると「自分の意見で先導していく人」「共感しながらチームを引っ張っていく人」になります。関和さんはまさに後者で、会議もめちゃくちゃ早い。そしてパッパッパと物事を運んでいく。皆から意見を引き出すのがうまいからなんですが、それでいて適度に緩いんですよ。
カチっとまとめるのではなくて、みんなを好きに泳がせながらときどき紐を引っ張って集めていくような…。1つアイデアを固めたらまた適当に泳がせてくれるので、すごく仕事がしやすいプロデューサーですね。
――関和さんは、泳がせている自覚はあるのですか?
関和:僕はプロジェクトの船頭は1人だと思っているんですよ。プロデューサーだろうがディレクターだろうが、引っ張っていく船頭は1人。そうでないとどっちに向かえばいいのか、場が混乱するだけです。
「リモートシェフ」は小山さんの企画で始まった番組なので、小山さんに船頭をお任せしています。これがまた違うプロジェクトになると、僕ももっと前に出る場合がありますね。あとお互いの共通点として、けっこう飽きっぽい(笑)。
小山:それはそう(笑)。
関和:もう30年以上の付き合いだから、飽き時がわかってくる(笑)。それも面白いとこですね。
小山:ただ「リモートシェフ」まだまだ大丈夫です。全く飽きてませんからね!
いい番組を生むのは“トンチとパンチ”と“忘れる力”
――小山さんの新しいことを考える発想力は、飽きっぽいことも関係されているのでしょうか?
小山:「飽きっぽい」というのは、別の言い方をすると「忘れっぽい」になります。忘れっぽいから、常に新鮮な思考を維持できる。この「忘れる力」って、1つの特技だと思っています。
「失敗は成功の元」という格言がありますが、テレビ業界では未来に繋がらない失敗がけっこう起こりがちです。たとえば番組会議をやっていても、「その企画、昔やったけどダメだったんだよね」とはじめから否定されることもけっこう多い。そうすると一度の失敗で「これはダメな企画」という記憶ができてしまいます。
ただ僕の場合、忘れているので(笑)。過去の失敗をリセットした形でもう一度考えているから、アイデアに行き詰まらないんだと思います。
――企画のプロとして、企画、制作といったクリエイティブ分野で働く人にアドバイスをするとしたらどんな言葉を贈りますか?
関和:まず、船頭は1人がいいということが1つ。ほかに僕の信念として「トンチとパンチ」というものがあります。トンチって頭を使うんですよね。そしてパンチを出すのにもひねった考えが必要です。そのバランスが取れると面白い番組になるので、「トンチとパンチ」は常に意識するといいと思います。
小山:いつもうちのスタッフに言っていることですが、一流と二流の差って実はそれほど大きくない。一流と二流の差は、「磨けるかどうか」です。さらに面白くするための努力を怠らないでいる人だけが一流になれる。
それこそ料理と同じですね。「塩をあとひと摘まみ入れるかどうか」で、味は劇的に変わるものです。これで十分と止まるのではなくて、最後の最後まで磨き上げることに貪欲なタイプであってほしいなと思います。
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