写真でしか知らない許嫁…実際会ってみると癖が強かった話に「リアルなキツさがある」の声【漫画】

2025.06.05 08:40

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョンマンガ部」。今回は、「カドコミ」で連載中の漫画、『アザミヤコを好きになる』(KADOKAWA刊)の1話を紹介する。原作のユニティコングさんが、4月23日に「許嫁の子が渡された写真と全然違うもさもさで松ぼっくりみたいですごい早口で爆裂変な女の子」と添えてX(旧Twitter)に本作を投稿したところ、1.5万件を超える「いいね」やコメントが多数寄せられた。本記事では、原作のユニティコングさんと漫画のツノニガウさんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。

両親を亡くし、許嫁を頼りに転校した少年が見たもの

裕福な家庭に生まれたが、両親を亡くしたことをきっかけに生活が一変してしまった「サンノミヤマコト」。彼は、許嫁の縁を頼りに、写真でしか見たことがない許嫁相手の通う学校に転校する。

許嫁である「アザミヤコ」と同じクラス、隣の席になったサンノミヤは早速彼女に声をかけに行く。しかしそこにいたのは、5年前の写真の面影すら感じない風貌、絶えない独り言…と癖の強い少女だった。

思わず「この子じゃないよね？」と考えるサンノミヤ。ところが、渡されたプロフィール帳や名前などを確認すると、どうやら彼女が「アザミヤコ」のようで…。

この衝撃が衝撃を呼ぶ許嫁との漫画を読んだ人たちからは、「癖が強すぎる」「とっても良い子なんだけども」「リアルなキツさがある」「かわいいとキツいが交互に来る」など、多くのコメントが寄せられている。

キツさとおかしさ、それと同じくらいの愛らしさ

●原作・ユニティコングさん

――本作のお話の発想の源はどこだったのでしょうか？

個性的で周囲から浮いてる女の子が好きで…、なんか人から避けられてる感じの子が好きなんです…。さらにそういった人に、主役としてのスポットライトがちゃんと当たる話を描きたいなと、うっすらとずっと思っていました。なので、自分のそういった好きな人の趣味と、主役として描きたいという気持ちがこの作品の発想の源になってる気はします。

――本作では、ヤコの癖の強さとそれに向き合おうとするマコトの組み合わせが非常に印象的でした。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい！」というポイントがあればお教えください。

こだわった点はやっぱりヤコの癖の部分かなとは思います。この漫画のコンセプト自体が好きになりたいけどなれない！というものなので、ヤコにどういった「変さ」をプラスしようかなとはずっと考えてます。キモさのラインを越えないようにするのが結構難しいので、これがいわばこだわってる点になってる気はします。

――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。

5話の、ヤコが自分の作ってる動画をひと通り紹介した後、再生回数10回くらいだけど寂しい人たちに届けばいいなと思ってやってるという旨を話すシーンが個人的に好きです。癖しか見えなくて何考えてるか分かんなかったヤコの、ちょっとした信条と優しさが描けたので嬉しかったのがあって気に入ってます。

――今後の展望や目標をお教えください。

ヤコのキツさとおかしさはわりとたっぷり描けたので、ヤコのかわいいところをちゃんと描いてあげたいなという目標があります。皆に好きになって欲しいのと、マコトがドキドキしてる表情を描きたいので!!

――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします！

5話まで読んでもらって、ヤコの「変さ」に耐えられたら今後もっと面白い味がしてくると思うので、暇な時間などありましたら追って読んでもらえれば原作者としてとっても嬉しいです！みんなヤコの変さについてきてくれ!!

●漫画・ツノニガウさん

――本作はシーンによって勢いが異なりますが、作画の際にこだわっていることや、特に意識していることはありますか？

まず、基本的にユニティコング先生がネームまで描いて、それを私が作画する流れなのですが、ネームの時点でページを捲るたびに落差があるんです。もう正解が用意されている状態です。何されて何言われて(ほぼサンノミヤですが)こんな温度感になってしまったのか、作画する前にキャラそれぞれの立場になって一旦考えています。そこから、ネームから読み取れる部分を頑張って自分なりに出力している感じです。描いてて思うのが、表情がコロコロ変わるなっていう印象が強いのが意外とサンノミヤで、そこまで差がないのがヤコなんです。ヤコはずっとようすおかしいので。なので、ずっとようすのおかしいヤコを場面ごとに差をつけるなら…ということで、根本的な部分である絵柄の矯正をしました。くしゃくしゃになったヤコのパワーがより伝わるよう、ユニティコング先生の絵柄の1部を自分の絵柄の1部として扱えるよう、ひたすら見真似して描いています。サンノミヤの方は私の素の絵柄で描き切ってしまうことが多いので、もっと取り入れられる部分ないかと勉強中です！

――ヤコのかわいさとクセの強さが交互に飛び込んでくるようすが印象に残っています。印象に残る場面を描くうえで大切にしていることはありますか？

読んでいるこちらにダメージがない時は小動物みたいな愛くるしい存在として考えて描いています。だからこそ、「ずっと喋ってくる、めっちゃ距離近い、なんかよく分からないけど過去を思い出してきた!!」「でもそんなだけど、こっちまで苦しくなるけど、それでも放って置けない…」が成立すると思っています。もうその時点で読んでいる側もきっとヤコからは離れられなくなっているので、後からやってくるヤコの凄まじいコミュニケーションも安心して全力を出して今持っている作画力全てを注ぎ込むことができます。ずっと作画に全力を出すと読んでいたら疲れ果ててしまうと思うので、緩急をつけるのってとても大事ですね。

――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。

5話でサンノミヤの問いに対しヤコが自分の趣味について語るシーンです。ヤコほど多趣味ではないですが学生時代は趣味と呼べるものがお絵描きだけで、それ1点でやり続けていたのでSNSで活動するようになってからはお絵描きを続けて何になるんだろう、って少なからず思うところはありました。同じ趣味を持つ友達が少なかったっていうのもあるんですが…。ただ、SNSで素敵なイラストを見つけて感銘を受け、いつかこんなイラストが描けたら…！と、向上心だけ上げてここまで描き続けてこられたんだってヤコのセリフを読んで思い出しました。ヤコの言葉って創作をする人に向けても響くんですよね。私の絵が誰かの支えになれたらいいなって思えるようになりました。

――今後の展望や目標をお教えください。

すでに沢山の方に読んでいただけている作品ですが、より多くの方に読んでいただけるよう、作画担当としてより魅力的な漫画が描けるよう全力を尽くしたいです。

――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします！

私がやれることは全力を尽くしてこの作品に注ぎ込みたいと思っているので、作画面も注目してもらえるととても嬉しいです！サンノミヤとヤコも、これから増えていくキャラクター達も、みんな丸々好きになってもらえるよう頑張ります！