武田梨奈

武田梨奈が語る、役作りへの情熱「役が経験しているものはできる限り体験するように」<MADDER>

2025.06.03 18:10
武田梨奈

犯罪の世界に惹かれていく天才高校生・茜(五百城茉央)が、校内で小さな事件を起こした。最初こそかわいい騒動だったが、殺人事件が起きたあたりから状況が変わっていき、やがて日本を震撼させるほどの連続殺人事件へと発展していく…。

4月10日にスタートしたドラマ「MADDER その事件、ワタシが犯人です」(毎週木曜深夜カンテレ0:15-0:45/フジテレビ2:15-2:45/FOD・TVerほかにて配信)は、驚きの展開で視聴者を引き込む本格ミステリー。そんな本作で、物語の根幹となる事件を捜査している刑事・梶谷美和を演じるのが武田梨奈だ。今回のインタビューでは、撮影現場のことや芝居のことなど、本作について語ってもらった。

しっかりと人物像を理解して、深みのあるキャラクターに

――梶谷は第1話から登場していましたが、後輩刑事・森野(濱正悟)とのやりとりが面白かったです。

ありがとうございます。台本を読んだときから、コミカルだなと思っていました(笑)。ただ捜査をしているシーンではあるので、監督からは「コミカルに振りすぎて、コントのようなテンポ感にならないでほしい」という言葉がありました。森野とはあのシーンが初対面だから、テンポが良すぎて“慣れている感”が出るのも違いますし。だからこそ、間やトーンはかなり意識しましたね。

――梶谷については、どんな人物だと感じましたか?

すごく真面目で、プライドを持って事件を捜査している優秀な刑事だと捉えています。また、監督からは「決してエリートではない」「努力で今の位置まで登ってきた人物」と聞きました。そういう人物像だと、森野のような軽いノリの人をあまり良く思わない気がしますが、会話の中でちゃんとツッコミを入れてあげているので、それなりに優しさはある人なんだなと解釈しています。劇中でバックボーンがあまり描かれないぶん、私がしっかりと人物像を理解して、深みのあるキャラクターにできればいいなと思っていました。

「五百城さんはすごくしっかりされていて、周りを見ている方」

――捜査本部での撮影が多かったようですが、現場の雰囲気はどうでしたか?

1日かけて何話分かまとめて撮ることもあったので、スケジュール自体はハードでしたけど、雰囲気はすごく良かったです。濱さんや監督をはじめ、気さくな方が多かったからだと思いますが、いろんな話をしやすい空気でした。

――主演・五百城さんとのシーンはありましたか?

はい。2人のシーンがありました。五百城さん、まだ10代ですけれどすごくしっかりされていて、周りを見ている方なんです。「私が年上だから、お姉さんっぽくしなきゃ」という意識がどこかにあったんですけど、そんな必要はなかったですね。同じ目線でお話できたのも心地よかったですし、楽しかったです。

あと、撮影を終えてから「あー緊張した…。大丈夫でしたかね?」と言っていたのを見て、すごく重いものを抱えていたんだろうなと感じました。本番前や撮影中には、そんな素振りを一切見せなかったんですけれど、プレッシャーは相当あったんだと思います。

――また、山村隆太さんとはクランクアップ後の上映会で初めて会ったとか。

そうなんです。初めて喋るのに、同日に行なったドラマ告知のインスタライブでもご一緒して、緊張しました(笑)。山村さんは、言葉選びがとても素敵な方ですね。普段、歌詞を書いたり音楽を作ったりされている方だから、自分が持っている感情をこんなにきれいに言語化できるんだ!と驚きました。

「明日、メキシコに行こう」で行き当たりばったりの一人旅へ

――五百城さんと同じく、武田さんも10代のときに映画「ハイキック・ガール!」で初主演を経験しています。当時、主演としての心構えはどのくらい持っていましたか?

いや、全然持っていなかったです!自分が真ん中に立って作品を作ることの重大さを、理解できていませんでした。だから余計に、五百城さんはすごいなと思っています。

――主演としての振る舞いを意識するようになったのは、いつ頃ですか?

ドラマ「ワカコ酒」(BSテレ東)でシーズンを重ねていくにつれ、だんだんと芽生えていったように思います。「ワカコ酒」がはじまった10年前は、キャスト・スタッフ全員のなかで私が最年少だったんです。だけど、だんだんと年下のキャストやスタッフさんが増えてきて、「いつまでもみなさんに頼ってばかりではだめだ」という気持ちになりました。

――意識が変わったんですね。

私はすごく不器用なので、普段は現場で作品や役に集中してしまうタイプなんですが、主演作の現場に関しては特に周りを見られる人間にならなきゃいけないな、とそのとき思いました。それ以降は、どんなに余裕がなくても周りをちゃんと見るようにしています。年下の子が困っていたら声をかけるなどして、少しでもみんなが居やすい環境を作れるよう心がけていますね。

――ほかにも、自身の成長を感じるところはありますか?

30代になってから、役の年齢が自分寄りになったんです。20代までは先輩や上司の下につく若手の役が多かったんですが、今はこのドラマみたいに先輩刑事役もやるし、子どもが居る役もやる。すると、自分の人生経験が足りていないなと思うことが増えてきたんです。濃い人生を歩んでいる役なのに、私がやるとどこか軽くなってしまうんじゃないかと。

そう感じてからは、役が経験しているものはできる限り体験するようにしています。フィリピンの映画に出演したときは、現地でナイトクラブを経営している役だったので、実際にフィリピンまで行って、ナイトクラブにも足を運びました。拳銃を扱う殺し屋役をやったときは、拳銃さばきを教わるためにも練習に行っています。あと、役とは直接関係なくても、海外で一人旅をしたり、短期留学をしたりして経験値を上げるようにしていますね。

――そうして、自分の中で役を“リアル”にしているんですね。

そうですね。役のことを理解して、役に近い感情を持って、リアルにすることが大事だと思っています。

それに、理解することが難しい考え方を持つ役にも出会うこともありますが「そういう人もいるんだな」と、その役の思考や価値観を理解する柔軟性も必要。私はもともと生真面目なお硬い人間で柔軟性がまるでなかったんですが、留学して海外の方と話すことでいろんな価値観に触れることができて。だんだん柔軟に考えられるようになってきましたね。

――あらためて、すごい行動力です。

この前メキシコに行ったんですけど、そのときは「明日、メキシコに行こう!」と急遽決めました(笑)。で、現地に着いてからホテルを探す行き当たりばったりの旅をしたのが楽しかったです。この調子で、世界中のいろんな国に行ってみたいですね!

構成・文=松本まゆげ

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