

倍速視聴について『さらばのこの本ダレが書いとんねん!』/テレビお久しぶり#154

長らくテレビを見ていなかったライター・城戸さんが、TVerで見た番組を独特な視点で語る連載です。今回は『さらばのこの本ダレが書いとんねん!』(テレビ大阪)をチョイス。
倍速視聴について『さらばのこの本ダレが書いとんねん!』
さらば青春の光のふたりが、ひとクセある本の著者を招き、気になることを聞きまくるトークバラエティ、『さらばのこの本ダレが書いとんねん!』。今回は『映画を早送りで見る人たち』の著者、稲田豊史をゲストに迎え、バチバチと応酬を交わしていく。この稲田氏がずいぶん喋れる人なので、形式ばったインタビューというわけではなく、非常に活気のあるコミュニケーションが持続する回だ。番組側が『神回』と銘打つのもよく分かる。
映画・ドラマの倍速視聴は、まさに令和を象徴する現象だ。もちろん、令和以前から倍速で見る人はたくさんいただろうけれど、ここまで「当たり前」になったのは、やはり”タイパ”を重んじるZ世代たちによるものだろう。Z世代でない私は(かつてWikipediaでは「1996年生まれから」と定義されていたのだが、いつの間にか「1997年度生まれから」と修正されていた。96年1月生まれの私は、その修正により、Z世代ではなくなったのだ)、映画・ドラマを倍速で見るということはしないが、供給過多なコンテンツに取り囲まれている時代であるのは事実だし、たとえば皆が知っている流行りのドラマを倍速で見たりといった、あくまでコミュニケーションのために流行りの文化を効率よく消費しておくという動機が不誠実なものだとも思わない。しょせん映画、しょせんドラマである。見ても見なくても何も変わらない。コミュニケーションのほうがよほど大事なのだからね。
「観客がどう消費しようが勝手だろ」という正論に言い返すことができない以上、倍速視聴の是非を問うのはそれこそ無駄な気がしていて(著者の稲田氏も、自分は静観をするだけだと言っている)、私はどちらかというと、映画・ドラマにおける「理解」とは何か?というところに興味がある。たとえば、倍速視聴への批判として、「内容をちゃんと理解できない」という意見がよく見られるが、「内容を理解する」とは、具体的に何を指しているのだろう。
まあ、物語に違いない。物語の起承転結を理解すれば、「内容をちゃんと理解した」とジャッジされるのだろう。しかし、映画は「見る」メディアである。物語を理解すればそれでOKというならば、映画を「見る」必要はない。脚本を読めばそれで済む話だ。倍速視聴の是非を問うとき、多くの場合に「それで物語を理解できるか」というテーマに固定されるのが、ちょっと寂しい。たとえ物語が理解できなくたって好きになる映画はあるし、物語を気に入ったうえで嫌いな映画だってある。そもそも、あらゆる表現において、消費者たる我々は、それを「理解」するのがゴールなのか?
何が言いたいのかというと、映画を1.5倍速で再生すると、その是非はともかくとして、そこに、新しく”見るべき対象”が現れる、ということだ。たとえば音楽を倍速視聴する場合、時短を狙ってというよりは、”倍速にしたバージョンを聞く”という感覚があるのではないか。むしろ0.5倍速にして聞くことだってあるかもしれない。それと同じように、映画を1.5倍速にしたのなら、それによって現れる映像に真摯に目を向けるべきではないかと思うのだ。これをベースとした議論ならば楽しいだろう。「『タイタニック』は1倍速で見るより1.34倍で見るほうが凄い」みたいなね。
■文/城戸
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