東京TTT問題『さらば青春の光の東ブクロとデビュー作』／テレビお久しぶり#153

2025.05.23 19:00

長らくテレビを見ていなかったライター・城戸さんが、TVerで見た番組を独特な視点で語る連載です。今回は『さらば青春の光の東ブクロとデビュー作』(テレビ大阪)をチョイス。

東京TTT問題『さらば青春の光の東ブクロとデビュー作』

新米ディレクターが、さらば青春の光・東ブクロを使ってやりたい企画を演出する番組、『さらば青春の光の東ブクロとデビュー作』。収録場所の近辺に喫煙所が無いことで困っているさらばと製作陣が、六本木の街に繰り出し、オアシスを探すという、超こぢんまりとしたミニマルな番組だ。さらばのふたりも、ごく自然体でいるように見える。

実際、切実な話である。東京は喫煙所がどんどん減ってきている。六本木のような繁華街で煙草を吸いたいと思っても、諦めざるを得ない状況は多い。渋谷も少なくなったよね。スクランブル交差点のところはとにかく混むから、宮益坂のビックカメラの向かいのほうに私は行く。ちょっと狭いんだけどね。ハチ公前の喫煙所がいきなり無くなったのを覚えているけど、あれって2016年かー。イヤだね、時間が経つのが早くて。このまま、あっという間に死ぬのだろう。煙草を吸っているからなおさらだ。

私はTTT問題と呼んでいるのだが、東京は喫煙所だけでなく、トイレとゴミ箱も少ない。タバコ、トイレ、トラッシュの頭文字を取ってTTTだ。私が造って私しか使っていない言葉なので、よそで不用意に使って恥をかかぬよう注意してほしいのだが、この問題にウンザリしている人も多いはず。特にゴミ箱はマジでない。「ペットボトルを捨てたい」と思っただけでも数分歩き回ることになるし、可燃ゴミを捨てられる場所はいくら探しても見つからない。都心だと、コンビニもゴミ箱やトイレを閉鎖していることがほとんどなのだ。東京人は皆、小便を我慢しながら、片手にゴミを持ったまま、喫煙所を探している。

さて、最後に。番組内で森田が、煙草との馴れ初めを語る中で「昔、付き合っていた彼女が台所で咥え煙草をしているのがイヤだった」という話をするのだけど、これには驚いた。台所で咥え煙草をしている恋人ほど魅力的なものはないというのは、映画における煙草に憧れて吸い始めた私のごく個人的な嗜好であるとしても、同じ喫煙者として、ここまで感性が食い違うものかと。人種だって、性別だって、国籍だって、血液型だって、イデオロギーだって、なにひとつ同じ人はいない。みんな、それぞれ違うものを持っている。あらゆる違いを認め合い、あらゆる存在を尊重しあうべきであるが、喫煙者の肺の汚れ方は同じだ。同じ肺の汚れ方をしているのだから同じ考え方をするだろう、と適当に考えていた。そんなハズはないのだ。

■文／城戸