＜ドラマアカデミー賞＞最優秀作品賞は「御上先生」飯田和孝P「『分かりやすくする』という作業を必要最低限に」

2025.05.23 12:20

2025年1～3月放送ドラマを対象に開催した第123回ザテレビジョン・ドラマアカデミー賞の受賞作・受賞者を発表中。最優秀作品賞は、松坂桃李主演の日曜劇場「御上先生」(TBS系)が受賞した。

官僚が高校教師に…斬新なストーリーの「御上先生」が受賞

文科省の官僚・御上孝(松坂)が高校教師となり、生徒たちを導きながら権力に立ち向かう姿を描いた学園ドラマ。個人の抱える生きづらさは政治の問題という“パーソナル・イズ・ポリティカル”を軸に、教科書検定やヤングケアラー、生理の貧困といった問題を描きながら、隣徳学院と政治の闇に踏み込む斬新なストーリーが高く評価された。

また、同作からは松坂桃李が主演男優賞、宮崎陽平D・嶋田広野D・小牧桜Dが監督賞、ONE OK ROCKによる主題歌「Puppets Can’t Control You」がドラマソング賞を受賞している。

飯田和孝P「全員で喜べる賞なので本当にうれしい」

受賞を受けて同作を手掛けた飯田和孝プロデューサーは、「作品賞は、いろんなセクションの人たちが一丸となって作り上げた“総合力”への評価。全員で喜べる賞なので、本当にうれしいですね。フルパフォーマンスを出してくれたみんなに感謝します」と喜んだ。

また、放送1年前から参加したという中西真央プロデューサーは、「『官僚が高校に派遣される』という設定が、画期的だなと感じました。教育問題、社会問題などを扱い、簡単なテーマではないのですが、人と人との対話を通じて誰かの心が動いていく。その瞬間を見てもらうことに本作の意義があったと思います」と振り返った。

「なぜ学校教育が変われないのかということに踏み込みたかった」

さらに飯田Pは、「このドラマは5年前から脚本の詩森ろばさんと一緒に、松坂桃李さんを主演として構想し、2023年から本格的に始動しました。『ドラゴン桜』(第2シリーズ／2021年、TBS系)で偏差値を重視し受験戦争をさせる教育に疑問を投げ掛けましたが、4年たった今でも、なぜ学校教育が変われないのかということに踏み込みたかった」と作品に込めた思いを口にした。

教科書検定、生理の貧困、格差など描く内容も挑戦的だった同作。飯田Pは「日曜夜に家族みんなで見られるドラマという枠ではあるものの、『分かりやすくする』という作業を必要最低限にとどめました」と明かし、「それは視聴者の皆さまの、物語を理解する力が格段に上がってきたことへの信頼からです。今回、皆さんの求めるものが確実に変わってきていることを改めて実感しました」と大きな反響を受けた同作の手応えを語った。