詐欺って最悪『怪しいURLクリックしてみた』／テレビお久しぶり#152

2025.05.16 19:00

長らくテレビを見ていなかったライター・城戸さんが、TVerで見た番組を独特な視点で語る連載です。今回は『怪しいURLクリックしてみた』(CBCテレビ)をチョイス。

詐欺って最悪！『怪しいURLクリックしてみた』

知人から金を持ち逃げされた経験のあるディレクターが、世にはびこる詐欺を体当たりで調査していく詐欺撲滅バラエティ番組、『怪しいURLクリックしてみた』。その様子を見守るのは相席スタート・山添寛。手を変え品を変えあらゆる手口でこちらを騙してくる詐欺師にわざと引っかかり、その実態を暴いていく。『地面師たち』の原作者である新庄耕が登場し、自身の詐欺被害について赤裸々に語るのも見どころだ。

番組内で紹介されるのは、主にインターネット上での詐欺。今も昔も、インターネットは詐欺の温床だ。2024年のアクション映画『ビーキーパー』でも、悪役はネット詐欺グループ(彼らとよく似た手口の詐欺が番組内でも紹介されていた)であったし、日本に限らず、スマホが普及したことでより深刻化した現代の社会問題なのだろう。私も小中学生の頃は、架空請求に恐れをなして枕を濡らしたことがあった。焦りすぎて、会ったことも話したこともないニコ生主にメッセージで相談したことを覚えている。返事は返ってこなかったが、それ以来、ネットとあらば何事も疑うということを覚えたのはいいことだ。

そんな私でも、佐川急便を装ったショートメッセージには騙されかけた。荷物を届けた際に不在だったため再配達の手続きをしてくださいとURLが貼られていたのだ。何も考えずにURLをクリックし、佐川のトップページに飛んで再配達の項目を探していると、バナーに貼られていた織田裕二に違和感を覚えた。なぜかは分からない。ただ、なんとなく、知っている織田裕二ではない気がした。胸騒ぎのとおり、このページは巧妙に偽装されたハリボテサイトだったのだ。再配達手続きのページだけは生きていて、個人情報の入力フォームが用意されていた。ぞっとした。織田裕二に違和感さえ覚えなければ、私は間違いなく、個人情報を入力していただろう。ネットリテラシーにはそれなりの自信を持っていた為、ショックだったのと同時に、多数の被害者を生むことが容易に想像できた。

実際の佐川のホームページと見比べてみた。瓜二つだ。バナーの織田裕二もまったく同じだった。じゃあ、あの違和感は何だったのか？きっと彼が、詐欺の毒牙にかかろうとしている私を救ってくれたのだろう。もしくは私が単に失礼だっただけか。真相は闇の中である。

■文／城戸