インスタ・コミュニケーション『あざとくて何が悪いの？』／テレビお久しぶり#150

2025.05.02 19:00

長らくテレビを見ていなかったライター・城戸さんが、TVerで見た番組を独特な視点で語る連載です。今回は『あざとくて何が悪いの？』(テレビ朝日)をチョイス。

インスタ・コミュニケーション『あざとくて何が悪いの？』

鈴木愛理と山里亮太をMCに、あざとい男女のリアルな実態を探るトークバラエティ、『あざとくて何が悪いの？』。さや香・新山と、あのちゃんをゲストに迎え、Instagramでのあざとテクを徹底考察していく。

その”あざとテク”とは、目からウロコのものばかりだ。カフェの店員へアプローチするために店名をメンションするなんて序の口、ストーリーズやアンケート機能を駆使して、男を手中に収めていく。恋愛的なアプローチというわけではないが、一番感心したのが、鈴木愛理の言っていた、芸能人・インフルエンサーへのあざとテク。メンションを画面外に隠して投稿するというものだ。他人からはメンションが見えず、ごく個人的なつぶやきに見えながらも、実際には対象の相手に通知が行っているという……。よく考えるよね、これ。あらゆるストーリーズには、画面外に隠されたメンションが存在する可能性が出てきたね。他人の投稿を見て、「もしかして、俺に向けて言ってるのか……？」なんて自意識過剰さを発揮したことくらい、私にはある。でも、そのとき、画面外はどうなっていたんだろう？

私には、SNSを駆使して恋愛をする、というような経験があまりない。ガッツリSNS世代ではあるものの、私が青春を過ごしたのはモバゲーやGREEだし、その頃はスカしていたから、特にそういった事態にならなかった。前略プロフィールで恋愛はできないし、デコログもやっていない。二十歳を越えてからインスタなど現代SNSに登録したものの、そういった事態は無かった。だから番組を見てて羨ましかった。私もなんか、メンションや位置情報の駆け引きとか、「親しい友達」の優越など、味わいたかったなあ。

さて、最近Instagramには、位置情報の共有機能が追加されましたね。意図せずONにしていると自分の位置情報を全国に公開することとなり危険であるとして、SNSで多くの注意喚起がなされていたのは記憶に新しいけれど、私、あれ、大喜び。Zenlyなき今、位置情報共有アプリとしての役目をインスタが担ってくれるのならばありがたい。今、ごく数人の知人のみに、私の位置情報を共有しているところだ。「俺がどこにいるかを知っていてほしい」という欲求が、私にはある。たとえ会っていなくても私たちは生活を通じて繋がっているんですよ、という事実に安心したいのだろう。もちろん友人の位置も知りたいから、私にだけ公開してくれとお願いするのだけども、皆リテラシーが高く、位置情報の共有には後ろ向きだ。用心深くていいことなんだろうが、私としてはつまらない。なので、今は、私だけが位置情報を公開している状態。日本地図にポツンと私のピンだけが刺さっている状態は、さながら、この世で生きているのは私だけかのようだ…。

■文／城戸