当時16歳、車椅子の青年・山本耕史“文也”がきょうだい愛に涙＜ひとつ屋根の下＞

2025.05.02 17:30

江口洋介主演の「ひとつ屋根の下」(1993年、フジテレビ系)が、現在FOD・TVerで配信中だ。放送されたのは今から32年前で、フジテレビ系歴代最高視聴率37.8％を記録して社会現象にもなり、1997年には続編が放送された超人気シリーズ作である。今回紹介する第9・10話では、バイク事故により車椅子生活を送る四男・文也(山本耕史)が自身の未来を憂いて踏切内に侵入するというショッキングな描写があった。(以下、ネタバレが含まれます)

小雪が実の母親に会う…しかしさらに寂しい思いをする

「ひとつ屋根の下」は両親を交通事故で亡くしたきょうだいたちが協力しながら暮らす物語。長男の柏木達也(江口)を中心とし、二男で医大生の雅也(福山雅治)、しっかり者の長女・小雪(酒井法子)、やんちゃな三男・和也(いしだ壱成)、高校生の二女・小梅(大路恵美)、そして四男・文也たちが明るいながらもそれぞれの問題に立ち向かっていく。

第9話。家を出て行った小雪の行方が分からない。雅也も家に帰ってこず、柏木家は暗い雰囲気だ。そんなある日、小雪から達也に電話があった。母親・京子(風吹ジュン)の住所を教えてくれという。達也は、「戻ってこい。ひとつ屋根の下で暮らそう」と言ったが、小雪は「ごめんなさい」とあやまるだけ。

先日、京子が上京したのは金策のためで小雪に会いに来たのではなかった。そのことを正直に小雪に言ってなかった達也は、もしこのまま彼女が母親をたずねるといやな思いをするのではないかと考えた。そこで先回りして京子をたずね、「小雪が来たら嘘でもいいから優しくして」と頼むことにしたが、すでに小雪と会っていた京子は、実の娘であるということに気付かない失態をおかす。

文也に絵の勉強をさせたい達也が五郎に頼み込む

続く第10話。文也が踏切内に侵入し電車が迫るところ、間一髪で雅也が救う。柏木家に、文也の気持ちをもてあそんだ芸術家志望のルミ子(河合美智子)の義兄・五郎(小木茂光)がやってきた。ルミ子が文也にひどいことを言って、傷つけたことを謝りに来たのだ。しかし、文也は五郎に会おうとしない。

達也は、文也に絵の勉強をさせたい。美大へ出かけ、五郎に会い「絵を教えてやって下さい」と頼む。しかし五郎は「才能がなければムリだ」と断わる。日が変わって、小梅の誕生日。小梅に内緒にパーティーを開くことになった。そこへ五郎がやってきて、文也に「絵を教えたい」と申し出る。文也も「お願いします！僕に絵を教えてください！お願いします！」と本気で頭を下げ、その様子にきょうだいたちも涙ぐんだ。

第1話では、言葉も発さないほど心を閉ざしていた文也が、回を重ねるごとにきょうだいたちの愛で感情を表にするようになった。特技である絵の分野に打ち込んでほしいと考える達也が、五郎に「ありがとうございます！よろしくお願いします！」と頭を下げる姿は感動的だ。

当時、16歳という若者だった山本耕史が、あどけない顔と存在感で一躍有名になったドラマ。今見返した視聴者はSNSで「ひとつ屋根の下の山本耕史ホントかわいい」、「山本耕史が文也だったって今知ったんだけど」といった声を上げている。感動回のラストに描かれるのが、誕生日を迎えた小梅の悲劇。ショッキングな展開を経て物語はクライマックスへと向かっていく。