内野聖陽、心を鬼にする教官役に「ちょっと嫌われているかもしれません」厳しさの裏側を吐露＜PJ ～航空救難団～＞

内野聖陽が主演を務める4月期木曜ドラマ「PJ ～航空救難団～」(毎週木曜夜9:00-9:54、テレビ朝日系)が4月24日(木)より放送スタートする(初回は夜9:00-10:00の拡大スペシャル）。15年ぶりにテレ朝で連ドラ主演を務める内野は、航空自衛隊航空救難団の救難員・通称PJ(パラレスキュージャンパー)の主任教官・宇佐美誠司を演じる。

• 【写真】「嫌われているかもしれません」と言いつつ優しくほほ笑む内野聖陽
• 【写真】内野聖陽、キリリとした眼差しはまさに頼れる“教官”
• 【写真】仁科教官(濱田岳)の指導の下、ロープ1本で体を支えて下降する訓練生たち

同作は、自衛隊の中でも精鋭だけが所属できる航空救難団の救難員・PJを育てる救難教育隊の物語。PJの隊員を目指して超難関の選抜試験を突破してきた訓練生たちが、宇佐美の指導の下、成長していく姿が描かれる。

実際にPJの視察も行い役作りに励んだという内野に、過酷な現場の舞台裏について撮影エピソードなどを語ってもらった。

“宇佐美誠司”は訓練生を育てるために全生命力を投入しているような人

――まずは今回の宇佐美誠司という役柄を演じる上で、どのようなことを意識されていますか？

暑苦しいくらいの情熱はある人なんですけど、まだつかみきれてなくて監督とセッションをしながらやっています。登場の仕方も変わっているし、コロッケにソースをいっぱいかけて、「俺はコロッケを食っているんじゃない。ソースを食っているんだ」みたいなせりふを言ったりするような一風変わった人なんですよね。

でも訓練生を育てるために全生命力を投入しているような役なんです。テレビドラマの中のこういうキャラクターは、どこかしら誇張気味でスーパーキャラクターっぽい部分があるんですけど、そこを何とかナチュラルに皆さんの心に届くように奮闘中です。

――つかみづらいと思う役を演じていて、ご自身としてはいかがですか？

不安ですね(笑)。監督と「こういう役ですよね」ってぶつかり合いながら、原作もない中での教官役なので探りながらなんですけど、きっと面白いキャラクターになるのではないかなという期待感を持っています。昔の「スチュワーデス物語」に出てくる教官もかなりうっとうしかったと思うんですけど…ちなみに風間杜夫さん大好きですが(笑)、あれに近い情熱まっしぐらみたいな感じはありますね。

――ご自身と役柄との似ている部分や共感できるところはありますか？

僕の役は若者たちの夢に火をつけてたくましく育てて卒業させるっていう人だと思っているので、夢を見たからには夢で終わらせるんじゃねえぞ、みたいな部分は自分を振り返っても思いますし、言い訳しないでやれというところは共感できますね。

「教官たちの厳しさの中に愛がある」

――航空救難団を視察されたそうですが、どのような印象を受けましたか？

非常に厳しい中で鍛えられている彼らを見て、厳しさの中で夢をつかんでいく姿みたいなものがとても大事だなと感じました。しかも、チームで動く方々なので、個を主張するような人がいないんですよ。きちんと他者に敬意を払いながらやっていくんですよね。礼儀礼節を重んじながら、厳しい訓練の中で自身を向上させるために頑張る姿は心打たれました。

あと教官たちの厳しさの中に愛があるなって。その裏には過酷な現場に出た時に厳しくされていないと、いざという時に心が折れてしまうんですよね。だから、彼らが巣立ったときにたくましく生き残れるように厳しくしていく。これはどの世界にも当てはまるような気がして、映像としてやる価値があるんじゃないかなってすごく思いました。

本気の姿がドラマの中で見えないとダメなので、心を鬼にしています

――訓練生との距離感やセッションはどのようにされていますか？

訓練生たちはヘリから降りたり潜水したり、いろんなことやらなくちゃいけないんですけど、自分の限界を超えて頑張る若者たちの姿がとてもキーになってくる物語なので、撮影前に準備運動するように指示を出して、かなり心拍数が上がったところで撮影が始まるようにしていますね。なので、ちょっと嫌われているかもしれません(笑)。

ただ、航空救難団には限界を超えていくことの大事さがあって、そのためには本気の姿がドラマの中で見えないとダメなので、心を鬼にしていますね。選抜試験を通過した非常に身体能力の高い人たちの少数精鋭部隊の物語なので、意識も高く持ってもらうために事あるごとに圧をかけるようにしています。

――過酷な撮影に挑む訓練生たちの姿を見てどのようなことを感じましたか？

やっぱり感動します。若い子たちのエネルギーといいますか、これから自分は航空救難団の救難団になっていくんだっていう気持ちは、イコール役者として大きくなっていきたいという思いと被りますから。20代の俳優さんたちがこれから自分の未来を開拓していくというパワーは、やっぱり僕としては感動するし、もっとこういう姿をお客さんに感じ取っていただきたいなと思います。

「厳しさの中からつかみ取るものが確実にある」

――多様な訓練があるそうですが、特に厳しかった訓練はなんでしょうか？

学生たちは、やっぱり水の怖さを口にしますね。水中で訓練をするので水に対する恐怖心があるみたいです。あとは高さですね。11メートルの訓練塔からロープ1本で降りたりする訓練は、慣れてくるまでは恐怖を感じます。そういう厳しさと戦いながら、若人たちは日夜頑張っております。

――最後にドラマの見どころを教えてください。

訓練生たちが教官の愛のしごきに耐えて育っていく姿が見る方々の元気のもとになったらいいな、みたいな気持ちでやっておりますので、彼らの輝く魂をお見せできるように頑張りたいと思います。

私は主演ですが、主役は青年たちです。今の時代でも厳しさの中からつかみ取るものが確実にあるというメッセージが重要だと思っているので、卵を巣立たせ、大きな空に羽ばたいていく過程をしっかり見せられたらと思っています。

取材・文・撮影：永田正雄