

香川照之が主演作で6役「6人を演じ分ける中で、一つ共通する“視点”を入れました」新たなスタンスのドラマに自信

香川照之主演、4月6日(日)にスタートするサイコ・サスペンス「連続ドラマW 災」(毎週日曜夜10:00-11:00、WOWOW)。香川は口調や顔つきまで変えて全くの別人となり、人に災いをもたらす「ある男」を演じる。全6話からなる本作は、現代を生きる6人とそこに近づく「ある男」の物語。香川演じる「ある男」にまつわる事件を追う刑事を中村アン、竹原ピストルと宮近海斗が演じる他、各話ゲストに松田龍平、じろう(シソンヌ)、中島セナ、内田慈、藤原季節、坂井真紀らが登場する。
今回は香川に「ある男」を演じる上でこだわった点や「災」というタイトルを聞いてどう感じたのかなどを語ってもらった。
「6役それぞれに僕の中でモデルがいます」
――映画「宮松と山下」でもタッグを組まれた監督集団・5月の関友太郎監督と平瀬謙太朗監督の作品ですが、最初にこの話を聞いたときの感想を教えてください。
信頼している監督なので、お声がけを頂きうれしかったです。それも僕のすごく食指が動く奇妙な話しで(笑)。ありがたかったです。
――「災」というどこか意味深なタイトルですがどう感じましたか?
5月のタイトルはいつもこれでいいのかな?と思うんですよ。前回も「宮松と山下」と65点みたいなタイトルだったので、今回もこういう感じかと(笑)。「ある男」とは本当に災いなのかを含めて、もう一つ昇華したタイトルがあってもいいような感じもしましたが、まぁ今回はこれで(笑)。いろんなタイトルが付けられるお話だと思います。
――今回は人に“災い”をもたらす「ある男」という役ですが、監督とはどのような話をされたのですか?
今回は6人を演じていますが、役作りは僕に任せてくれる部分が多かったと思います。職業や大体のタイプについては書かれてあったのですが、それを僕がどう形にするかは楽しまれていたような気もして。とはいえ演じ分けるといっても人間なんて大体同じようなものなんで、ちょっと早口で話したり、丁寧な人にしたり、低温で話したり…とそのようなことはこちらから提示して現場で作っていった感じです。書いたときにどれくらいこの6人を分けていたのか改めて監督に聞いてみたくなりました。
――一つの作品で6役を演じ分けるのはいかがでしたか?
ほぼ順撮りだったこともあって、今日はこの役…と新鮮にできました。そして、全然違う自分を見て、「昨日までの人とは全然違いますね」とみんなが喜んでくれたのがうれしかったです。服装やメークを含めて、いろんな方が考えてくださったのも楽しかったです。演じることに関しては、そこまで出番も多くないのであまり自分では分からないですね。記号的に演じていた部分もあります。
――演じ分ける上で気を付けたことはありますか?
実はそれぞれの役に僕の中でモデルがいます。これは現場では発表しているんですが、この役だったらこう言いたいと当てはまる人を引っ張り出してきたら6人すぐに埋まりました。そして、その人の物まねをして…。でも、第1話は似ていなかったな~(笑)。僕の台本の横には、その人たちの名前を書き込んでいました。
――別人にも見えるし1人が変装しているように見える「ある男」ですが、演じる上でこだわった点を教えてください。
6つの役の橋渡しを1本通しました。共通する視点というか。これは第1話で演じていて僕がふと思いついて入れていただきました。映像的に顕在化しているわけではないですが、見ていて何か気になってもらえるといいなと思って、不協和音を入れていただきました。
この作品は殺人シーンもなく残虐な行動に怯えているシーンもないので、殺意そのものも分からず物語が進んでいくんですよ。その中でトリガーを引く瞬間を少しでも映せたらと思い、全部カットしてもいいので現場で入れてもらいました。最終的にはうまい具合に残してくれたので、それに気付いていただけるとうれしいです。
もちろん必ず同じ動作をして「ある男」のスイッチが入る瞬間を明確にすることもできたのですが、分かりやすいのもあれなので、どこか違和感として引っかかってくれたら。サラッと見ていると絶対に分からないと思いますが、6話まで見ていたらこれは!と気付くと思います。
――そのトリガーのような演出は香川さんが提案され、俳優の方々にはどのように伝えたのですか?
僕が伝えました。役者同士の方が早いと思って。今回、毎話出演者が違うのですが、それぞれゲストの方にはその話の台本しか渡していなかったんですよ。なので、犯人は誰ですか?と言ってこられる方もいましたね。そういう方にも伝わりやすいように役者の言葉で僕が事前に説明し、こういう力点を作りますのでどう反応してくださってもいいですし、反応しなくてもいいです、好きに楽しんでくださいと提示しました。
――共演者の方々の演技もかなり印象的でした。
皆さんが持ってきているものがとても上質で。それは年齢に関係なく、10代の中島セナさん(第1話で登場)も本当に素晴らしかったです。この組の空気感をすごく分かられていたのが印象的でした。皆さん楽しまれていたと思います。
災いは偶然ではなく必然
――1話完結としても楽しめますが、全話見れば見るほど「ある男」がどういう人物なのか見えなくなっていく不思議な物語でした。
「ある男」は本当に同じ人なのか?という疑問は、本作を見た第一歩として持つと思います。そして、考えれば考えるほど同一のような気もするし違うような気がしていく。もっと考えれば、この存在自体が本当にいるのかいないのか、災いが起きる人だけに見えている存在で他の人には見えていないとも考えられるんですよ。でも、一応の落ち着き方としてあの人たちはみんな「ある男」で。実在性が100%クリアな人物ではないので、自分なりにいろいろ考えて見ていただきたいです。
――関友太郎監督と平瀬謙太朗監督の印象はいかがでしたか?
映画「宮松と山下」のときは佐藤雅彦監督という東京藝術大学の教授がいて、5月は佐藤さんがいて成り立っているユニットだったのでいらっしゃらないのはぽっかり穴が空くような感じでしたが、それでも十分楽しくできました。5月は佐藤さんが飛行機の機体で関さんはパイロット、平瀬さんはコパイロットだと思うんです。なので、今回はスケルトンの飛行機で飛んでいた感じでした。今回は今回で新しいものが見られたと思います。
――名作映画のオマージュもたくさん入っていましたね。
さまざまな映画をオマージュしたカットなどをふんだんに入れてみました。あの映画のあのカットを引きで撮ってみようなど、現場で話ながら作っていけたのは楽しかったです。監督を含めてみんな映画オタクですから。今回のドラマは映画ファンに訴えるところがあるような気がします。
――殺意や犯人が明確にならず、視聴者に委ねるのも映画的な一面を感じました。
今回、解決しない上にスカッともしないという新しいスタンスを提示しているので改めて関監督と平瀬監督はすごいと思いました。本作を見て、さっぱり分からんと言う人もいれば、「あの男」は僕だと肉薄する方もいたり…。どうとでも感じ取れるのですが、それでいいというか。ドラマの新しい形で面白い提示の一例のような気がします。この新しいスタンスを勇猛果敢に提示するのは勇気がありますよ。さすがです。
――そんな監督から事前に言われたことはありますか?
これは「宮松と山下」のときに言われたのですが、顔の筋肉をあまり動かさず普通にしてくださいと。僕は普通にしていても眉間にしっかりとしわが入っているくらい顔の筋肉を動かす癖があるんですよ。そこをあえて普通に普通にと思いながら演じたことを覚えています。そして、今回も同じ轍を踏まないようにと動かさないことを意識して演じています。ただ第6話のあるシーンでだけあえて稼働させたんですが、それを見て2人は大喜びしてくれました(笑)。これまで動かしていないだけにあのシーンは際立っていたと思います。
――本作を通じて、“災”に対してどう感じましたか?
記憶を消されてこの世界に誕生し、精神と物質だと非常に物質に偏った生き方をして、生を全うしてまた見えないところに帰っていくという流れの中で、肉体という物質の中にいる我々にとって最大の悲劇は死であり病気であり、それこそ災いなんですよ。
実際は我々が目に見えないことに9割以上は支配されていると思っています。それこそ宇宙の遙か何億光年向こうの惑星の消滅が色濃く影響していたりと全てが複雑に絡み合っていて、その影響を僕らは否応なく受けていると思うんですよ。
その目に見えない領域の一つの表れとして「ある男」がいて。「ある男」が悪いわけでも偉大なものではなく、そういうものに人間は支配されているのではないかと僕は考えています。人間が人間に災いを起こすけど、それは偶然ではなく必然であり、だからこそいろんなことを受け入れていかなきゃいけないと僕は受け止めました。第6話で「ある男」が“災”について語るシーンがあるので、見た方がそこでどう感じ取ってもらえるか気になるところです。
◆取材・文=玉置晴子
■ストーリー
現代を生きる罪なき6人の主人公たちの人生を描く群像劇。しかし、気が付くと、それぞれの物語にはあるひとりの“男”(香川照之)が紛れ込んでいる。そして、それぞれの人生には無慈悲にも“災い”が訪れる…。
“男”は何者なのか。“災い”とは何なのか。いつ、誰に“災い”が降りかかるのか。
多くの謎が鑑賞者の心理を揺さぶり、“男”の存在がこれまでにない恐怖をもたらす。
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