

“テレ東の漫画家”真船佳奈を生んだのは、名物P・佐久間宜行 副業にオープンなテレ東の歴史

副業が当たり前になりつつある現代。しかしまだまだ大々的に許可を出している会社は多くないのも事実で、会社に隠れてこっそりとおこなっている人も多い。そんななか、「テレ東の漫画家」と名乗ってX(旧Twitter)で作品を公開しているのが真船佳奈さん。『令和妊婦、孤高のさけび! 頼りになるのはスマホだけ?!』や、『正しいお母さんって何ですか!?〜「ちゃんとしなきゃ」が止まらない!今日も子育て迷走中〜』などのコミックも刊行しつつ、テレ東の社員として働いているという真船さんに副業と本業についてのお話をたっぷりと伺った。テレビ局職員が漫画家になった理由や、昨今の表現者につきまとう炎上問題、そして、働く母親に向けたメッセージなど、短期連載でお届けする。
"テレ東の漫画家”が生まれたきっかけ
――真船さんはどのタイミングから漫画を描き始められたのでしょうか?
2017年の10月に『オンエアできない!』という漫画でデビューをしました。この作品はテレ東でADをやってた時代のお話をモチーフにエッセイ漫画化した作品です。
元々、絵を描くのはすごく好きでしたが、漫画家になるとは夢にも思っていませんでした。漫画を描くきっかけになったのは、「メモ帳」です。テレビ局の制作の人は番組作りのきっかけみたいなアイデアをメモに取ってることが多くて。とにかく「メモ魔」の人が多い印象です。
2014年にバラエティ制作の部署に配属されたときに、衝撃的なことがたくさんありました。一緒に働く人たちも任される仕事内容もみんな変わっているというか、ぶっ飛んでて(笑)。そこで「テレビの現場は色々とやばすぎる、こんな変な日々を忘れてたまるか」という気持ちで私もメモを取り始めたのがきっかけです。ただ文字を書くのではなく、絵が好きなのでちょっとした漫画みたいなものにして書き溜めることが増えていきました。それが漫画を描き始めたきっかけの一つです。
1番大きな機転となったのは、ペンタブを買ったこと。テレビ番組の中で番組内にイメージイラストを入れたりしますよね。それを基本的には美術さんに発注することが多かったんですが、頭の中でお互いに描いているイメージのやり取りに意外と時間がかかってしまうことも。そして何と言ってもあまりお金のないテレ東。(笑)
「ちょっとしたイラストだったら、自分で描いちゃった方が早いかもな」と思い立って、ペンタブを買ったんですよ。購入したペンタブには漫画をかけるソフトが内蔵されていたので「これ面白そうだからやってみよう」と思って、原稿用紙に枠線を引くような、ちょっと本格的な漫画を描くようになりました。が、家族だけに見せて盛り上がるような、甥っ子の成長記録漫画を趣味の範囲で描いていました。
単行本デビューのきっかけになったのは、佐久間宣行さんのSNS投稿です。当時テレ東でプロデューサーをやっていた佐久間さんとご飯をご一緒したとき、私がSNSに甥っ子の漫画を載せていることを知って、「甥っ子の漫画じゃなくてADの漫画を描いた方が人気がでるんじゃないの?」と言われ。
そのとき「日記がわりにメモ書きしていたものはあるな…」と思って「そういえばこんなの描いてました!」と佐久間さんに描きかけの漫画の画像を送ったんです。そうしたら佐久間さんがそれをご自身のTwitter(現:X)に投稿してくださって、それを見た朝日新聞出版の編集者さんからお声がけいただきました。
「ぜひ書き溜めているAD漫画を見てみたい」と連絡があり、急いで適当に描いたメモ書きの未完漫画を大学ノートに書き写し、持ち込みして、すぐにデビューが決まりました。
オープンな社風は先達のおかげ
――真船さんはテレ東の社員のまま、「テレ東の漫画家」と名乗って作品を描かれていらっしゃいます。デビューなども含め、全て会社公認でやれているということなのでしょうか?
そうですね。私が漫画家デビューをしたときには、すでに佐久間さんをはじめ本業を超えた活動をしている先輩が何人かいたんです。
本を出した人もいましたが、いわゆる「会社の仕事術」や番組関連の本が中心で、漫画を描く人はいませんでした。そのためまずは上司や、社業を超えて活動している先輩などあらゆる人に相談して…。当時は時代的にも副業をいまほどは「どんどんやりなよ!」という雰囲気になってはいませんでしたし、「本当に漫画を出すなんてできるのかな?」という気持ちも強かったです。
でも実際は、「面白いからやってみたらいいんじゃない?」という反応をもらえて、拍子抜けしました。7年経ったいまもテレ東も副業に関してかなりオープンな企業だと感じますが、数多くの先輩の社外での活動が「会社にとってプラスだ」と思ってもらえる土壌ができていたことなのかもしれません。
――実際に副業としてやりたいと話をしたとき、会社の中で抵抗はあったのでしょうか。
社内の反応は前述した通り暖かく応援してくれる声が多かったのですが…別の問題が出てきました。当時はディレクターやADしかやったことのない、漫画の描き方に関してはド素人。原稿用紙に枠線も引けないようなど素人が、テレビの制作現場というハードな仕事と並行して本を出すことができるのか?とかなり不安でした。
あとは、心理的なハードルです。
今はだいぶ世間的なイメージも向上しましたが、漫画を描くっていう行為自体に、仕事というよりも「遊んでる」イメージを持つ人も多いと感じます。授業中に漫画を描いていたら怒られるじゃないですか。本業で結果を出せなかったときに「あいつ漫画ばっか描いて遊んでるから!」と言われたらどうしよう、という恐怖感が常にありましたね。
会社の制度的にもオッケーはもらえたし、当時の上司の人も「面白いじゃん」と応援してくれて。環境的にはすごく恵まれていたんですけど、精神的には「本業も絶対おろそかにしちゃいけない…!」とプレッシャーでした。
本業とリンクする副業
――いまは漫画家として活動されている真船さんですが、テレ東のなかではどのような業務を担当されているのでしょうか?
今はプロモーション部という部署で、テレ東の番組をもっとみていただけるように宣伝するお仕事をしています。番組でいうと、「出没!アド街ック天国」とか「モヤモヤさまぁ〜ず2」や、音楽系の特番やホラーモキュメンタリーの宣伝担当などをしています。
今は番宣の方法も多様化しているのでオーソドックスなPR映像(番組のCMのようなもの)の管理に加え、SNS更新はもちろん、街頭広告や新聞広告、SNSキャンペーンを企画したりと多岐に渡ります。先日は「テレ東系SDGsウイーク」のPRの一環として、「こねこフィルム」(ショートドラマを手がけるアーティスト集団)とコラボして、「モヤさまSDGs」のPRショートドラマを企画したりしました。最近だと、キンタロー。さんにテレ東の番組のモノマネをしてもらう「テレトロー。」というアカウントを立ち上げたりもしています。とにかくいろいろな手段で「会社の良いイメージを広げていこう」と試行錯誤しています。
異動前は編成の仕事など「テレ東での仕事内容」と「副業の仕事内容」があまりリンクしませんでしたが、「いつか漫画の仕事を、テレ東の仕事に結び付けられたらいいなあ」という思いはあって。
産後番組をプロモーションする部署に来てからは、「漫画で培った知識を絶対本業に還元したい」と思っていたんです。
なので、今はドラマの撮影現場に行ってルポ漫画を描いて番組宣伝をしたり、現場が宣伝に活かせるようなデザインの社内勉強会を企画したり…など、今は本業の中にも漫画が生きてきているなというような感じになってきました。
――PRに活きそうなイメージですし、宣伝部みたいな所にいらっしゃるという方がしっくりきます。
漫画家業は今やSNSと切っては切り離せない関係で、7年間の副業生活ではSNSの運用もかなり学び、現在個人アカウントの総フォロワーも16万人を超えました。この運用経験は本業にも密接につながっています。
番組の宣伝もSNSで日常的に投稿していくなかで、より広く見てもらえるためのアルゴリズムの研究をしているんですね。そこに「こういう風に投稿した方が今は表示されやすいですよ」と知識共有ができるところも、副業の副産物と感じていますね。私は社内で1番Twitter(現X)廃人で、死ぬほどやってるので!自信を持って「ツイ廃です」という特技も活かせた形でしょうか。
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