東京サンシャインボーイズの復活公演「蒙古が襲来 Mongolia is coming」が開幕を迎えた

東京サンシャインボーイズ復活公演が開幕三谷幸喜「パワーもバイタリティーも減ってはいるかもしれないけど経験がある」

2025.02.10 10:42

パルコ・プロデュース2025 東京サンシャインボーイズ復活公演「蒙古が襲来 Mongolia is coming」が2月9日、東京・PARCO劇場で開幕。トークセッションが行われ、三谷幸喜が作品への思いを語った他、キャスト陣から初日に向けたコメントが届いた。

長い沈黙を破り、待望の書き下ろし新作舞台を製作

三谷幸喜を中心に、1983年に旗揚げした東京サンシャインボーイズ。「12人の優しい日本人」「ショウ・マスト・ゴー・オン～幕をおろすな」「彦馬がゆく」など、良質な喜劇を上演してきたが、1994年の「東京サンシャインボーイズの『罠』」を最後に“30年の充電”を発表。

2009年にホームグラウンドだった東京・劇場シアタートップスの閉館イベントで「returns」を12日間だけ上演した後、再び長い沈黙を続けていた。

そんな東京サンシャインボーイズが劇団復活公演「蒙古が襲来」の製作を発表してから約7カ月、演劇ファン待望の書き下ろし新作舞台が開幕を迎えた。

「蒙古が襲来」は鎌倉時代、蒙古がやって来る直前の九州のとある漁村を舞台にしたコメディー。東京サンシャインボーイズのメンバー・相島一之、阿南健治、伊藤俊人、小原雅人、梶原善、甲本雅裕、小林隆、近藤芳正、谷川清美、西田薫、西村まさ彦、野仲イサオ、宮地雅子、そして劇団研究生の吉田羊が出演している。

なお、「蒙古が襲来 Mongolia is coming」は3月2日(日)までPARCO劇場で上演された後、3月7日(金)～5月5日(月)には「『蒙古が襲来』 JAPAN TOUR 2025」と題して岡山、京都、長野、宮城、北海道、大阪、愛知、福岡、沖縄を巡る。

三谷幸喜コメント

30年ぶりの復活にあたって、昔僕たちがやっていたようなコメディを上演することや、過去の公演をリメイクすることも考えました。けれど、せっかく集まるなら、新しいことをやりたいと思いました。

30年経って、みんな老化が如実に出て、稽古開始の声が聞こえても移動は遅いし、関係ない話もするし、実際に開始するまでに15分はかかるんです。若いころのようなパワーもバイタリティーも減ってはいるかもしれないけど、みんなにはこれまでに培ってきた経験がある。

今できる芝居は何か。今の僕らがやることを考えた結果、対馬の漁村を舞台に、何でもない日の朝の日常を描きました。ただ1つ、いつもと違うのは「蒙古が襲来する」という事件が起こる日であること。

本作の見どころの1つはこのメンバーです。30年、よく現役の俳優として頑張って生きていてくれました。残念なことに伊藤俊人さんは約20年前に亡くなったけれど、今回昔の舞台の声を使って声だけ出演いたします。吉田羊さんも2009年の「returns」に出演してもらったことをきっかけに、研究生として今回も出演していただくことになりました。

もう1つの見どころは、甲本ヒロトさんが作ってくれたテーマ曲「どんちゃんの歌」です。甲本雅裕さんのお兄さんでもありますが、当時からずっとサンシャインボーイズを見てきてくれた方です。東京サンシャインボーイズをイメージして作ってくれました。この曲を最後に全員で歌います。

今作は我々にとって冒険にはなりますが、楽しんでいただけると思います。ぜひ劇場にお越しください。

キャスト陣からのコメント

●相島一之

毎日がすごく楽しいです。顔合わせから1カ月、稽古場は笑いにあふれていました。確かに僕らは歳をとった。あちこちにガタが来て、みんな何かを抱えながら稽古に臨んでいる。でも何だろう、この心地良さは。

みんなが必死に役と向き合い全力で芝居を作ろうとしている。演劇はみんなで作るものなんだね。そんな当たり前のことを噛み締めています。劇団って良いもんだな。お芝居って楽しい！　そう思ってもらえるよう全力を尽くします！

●阿南健治

私の役は、きれいな派手めの着物を着て、いろいろと楽しんでいて、より深く人間をとも思いつつ、30年ぶりの新たな大舞台を大きく意気込んで、大きなワンステップとして何かを刻みたいとも思っています。

お客さんたちへは、蒙古が襲来したことを楽しみながらで、感じることができるかもで、13人の俳優をそれぞれいろいろと細かく見て、楽しんでくださいませ。

●小原雅人

与えられた自分の役割をしっかりと熟し、内に秘めた情熱はしっかり燃やし、千秋楽までの日々に努めたいと思います。大丈夫。スクラムはガッチリ組まれてます。

全国ツアーで30年ぶりの思いを、劇場までわざわざ足を運んでいただいた皆さま、お1人1人にお届けしたいと思います。どうぞお楽しみください。

●梶原善

30年の時を経て、僕たちの舞台の稽古が新年早々から始まった。稽古場の雰囲気はみんな年を食ったせいかとても穏やかで、何だかお互いいたわりの空気が流れていた。笑い声もよく聞こえたように思う。

そんな中、日々コツコツと稽古は続いた。コツコツと、しかしウチの芝居はほぼ出づっぱりということはずーっと稽古。「じゃ―頭から」と演出の声…「アタマからか…」と僕。コツコツと築き上げた30年ぶりぶりの僕たちの芝居、楽しんでいただけると幸いです。

●甲本雅裕

30年の時を経て、この劇団の一員として舞台に立てる喜びを噛み締めつつ、稽古に通う毎日。稽古場に着くと、そこは戦場。苦しみ、もがき、ヘトヘトになりながら稽古に励んでいます。でも、不思議とみんなの顔は笑ってる

三谷さんの脚本、演出、劇団員と今しかできない舞台を作るため、ほぼ60オーバーたちが全力でぶっ飛ばして参ります！　ご覧になられる、お久しぶりや初めましての皆さん、30年ぶりに東京サンシャインボーイズはじめました。

●小林隆

復活公演開幕に向けて出演者一同、渾身の力を振り絞って稽古に励んで参りました。いよいよ幕が上がります。ご声援の程、よろしくお願いいたします。

●近藤芳正

稽古は、連日発見がある日々でした。懐かしい瞬間があったり、新しい刺激だったり、ほっとしたりワクワクしたり、成長を感じたり、変わらなさに笑ったり、歳いって身体が動かなくなった分、お互いを労わる気持ちもあったり。

何だろう、この感覚は初めてだし、もう2度と味わえないないであろう貴重な貴重な、愛おしい日々でした。さてさて本番では、どんな発見が？　長～い航海に出る気分です。

●谷川清美

このメンバーで、この空間で、今ここにいる全ての人たちと過ごす、2度とない時間を心に刻みつけ、味わい尽くしたいと思います。

東京サンシャインボーイズの復活公演を、楽しみに待っていてくださった皆さんとつくる「蒙古が襲来」。どんな作品になるのかわくわくします。心震える舞台を届けられるよう頑張ります。ご来場、お待ちしてます。

●西田薫

稽古場にいる時間が幸福で、このままずっと稽古をし続けたいと思いましたが、この先にはもっと面白いことが待っているはずだと、本番に向かいます。

30年分の充電放出作品。楽しんでいただけたらうれしいです。今という時を大切に、勇気うたう人になりたい。新たな一歩を踏み出そう。

●西村まさ彦

30年ぶりに劇団のメンバーと一緒に演劇ができること、とても興奮しています。

見てくれはあのころとずいぶん変わってしまいましたが、舞台に立つときは、あのころと同じ思いで舞台に挑みます。

●野仲イサオ

えー、30年ぶりってことですからね。そりゃあまあ、自然と意気込みますな。意気込みといえば研究生のころ、シェイクスピアの「恋の骨折り損」のビローンという役をやることになっんですが、結構長いせりふがありましてね。

それで、あるイギリスの大スターが貧乏なころ、ひどい空腹で舞台に立ったところ、演技に思いもかけないすごみが出たと書いていましたから、私もまねして腹ペコで臨みました。すごい芝居を見せてやろうと。結果は腹に力がはいらず、ヘナヘナ。すごみどころかシオシオノパー。これを教訓に45年間、意気込み方を模索中であります。

●宮地雅子

稽古場のあちこちから、「どっこいしょっ」が聞こえてきます（笑）。30年経って、パワーやスピード、骨密度は衰えました。でも、違う何かは増えました。

間違いなく、今のみんなが最強です。私自身が、心から楽しみにしています。劇場にて、お待ちしております！

●吉田羊

15年ぶりの稽古場では、ブランクを感じさせないスピードでみるみると舞台が立ち上がっていき、三谷さんの1に10で応える猛者たちが見せるサンシャインワールドに、研究生の私はただただ口を開けて見入る毎日でした。

しかし、楽しんでばかりもいられない。いよいよ開幕だ。お客さまが入れば、さらに進化していくであろう先輩たちとのお芝居は、間違いなく毎日が一期一会となりそうです。舞台と客席が一体となる瞬間が、今から楽しみでなりません。皆さま、劇場でお待ちしています！