お互いご破算にすると決めたお見合いで、唯一の理解者に出会う話に「まさしく運命の相手」「認めてくれる人は大切」の声【作者インタビュー】

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョンマンガ部」。今回は、少女向け漫画雑誌『LaLa』にて連載中の『推したいしております。』(白泉社刊)を紹介する。作者のしちみさんが、11月16日にX(旧Twitter)に本作を投稿したところ、3万件を超える「いいね」やコメントが多数寄せられた。本記事では、しちみさんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。

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相手に幻滅させるため、自分の“好き”を隠さず伝えることに

この日、あるお見合いが始まった。金融業界トップである岩瀬グループの坊ちゃん岩瀬太陽と、IT業界のトップ、忍ノ戸グループのお嬢様忍ノ戸理子は、互いにある思いを持ってその場に臨んでいた。それは、「このお見合いを絶対にご破算にする」という驚くべきもの。

太陽は母や姉からの圧力が強い環境で育ち、また家の金に目がくらんだ女たちからアピールされ続けた結果重度の女性恐怖症を持つ。一方理子はゲームの中のキャラクターを殿と呼び、二次元の殿に真剣に思いを寄せる夢女子。互いに恋をしたくないと強い意思を持つ2人は、図らずも同じ目的でその場にやってきていた。

そんな太陽と理子は相手に幻滅されるような物言いや行動をしてみせる。太陽は不誠実な態度を取り、“刺青風刺繍インナー”や手製の犬のぬいぐるみを見せてメルヘンで恐ろしい印象を与えた。対する理子は殿への“推し活”を隠さず見せ、夢女子であることをアピール。ご破算にするための行動を取る2人だったが、思わぬ事態が起きる――。

これまでに周囲にいた人物とは異なり、互いに相手の“好き”を否定せず尊重する2人。心の内を明け距離が縮まろうとしたとき、互いの両親がやって来る。太陽と理子の“好き”を理解しない両親は、それを表に出してしまっている姿を見て見合いは失敗だと肩を落とす。“好き”を否定し、強引に理子を連れて帰ろうとする理子の父に、太陽は「このままの理子さんがいいんですっ」と言葉にして引き留める。これをきっかけに理子は太陽にある提案をする…。

この“好き”を尊重する相手と出会う漫画を読んだ人たちからは、「まさしく運命の相手だなあ」「どっちも報われてほしい」「太陽が男前でよかった」「認めてくれる人は大切」「好きに全力な人は素敵」など、多くのコメントが寄せられている。

“好き”を否定せず、認めるからこそ近づくことができたお見合い

――本作は現在薄れてきているお見合い文化と現代的な推し活が融合されている斬新なストーリーでした。発想の源になるような出来事などがあるのでしょうか？

連載案に悩んでいた時、友達が『好きなものを題材にしたらどう？』と提案してくれたことがきっかけでした。それから好きな推し活や、友達のキャラの一部を入れていきました。お見合いを選んだ訳は、恋愛に否定的な2人を会わせる為でした。

――本作では、お見合いを破談にするために自分の印象を下げるシーンが非常に印象的でした。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい！」というポイントがあればお教えください。

とにかくこの2人は相手の『好き』を否定しません。周りで何が起きても、『好き』を大事にする2人を是非ご注目くださいませ。

――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。

懐からアクリルスタンドを出すシーンです。友達に相談している際、『この主人公好き!!』となった瞬間でした(笑

――しちみさんが考えるお見合いへのイメージについてお教えください。

以前はお堅いイメージでしたが、今は出会いの1つだと思っています。

――着物のデザインや庭園の風景などが非常に繊細に描かれていて引き込まれました。作画の際にこだわっていることや、特に意識していることはありますか？

主人公達の好きなもの達です。実際に乙女ゲームをしてみたり、ぬいぐるみを作っている友達の作り方を拝見したり、できる限りではありますが実物や写真を見て参考にしました。

――今後の展望や目標をお教えください。

とても勉強になった作品でしたので、糧にしていきたいです。目標は続きが見たい!!と思わせられるお話を描いていく事です。1話1話が勝負だと思って精進していきますっ！

――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします！

とにかく自分にとっての『好き』を大事にして欲しいと思います。この話の2人から、少しでもそう思って頂けたら幸いです。漫画はまだまだ未熟で力及ばない自分ですが、絶対また成長していきます！暖かい目でよろしくお願いいたします。