僕が見たかった青空・岩本理瑚がSASUKEアイドル予選会で涙「この日に懸けてきた」
今月25日、TBSにて放送された『SASUKE2024』。参加者100名の中には、10月に開催された「アイドル予選会」で敢闘賞を受賞した岩本理瑚(17)の名があった。アイドルグループ「僕が見たかった青空」のメンバーだ。彼女の奮闘はスタッフの心を打ち、「予選会」では6位に終わったものの、本選への出場権が与えられることになった。そこで、彼女に「予選会」を振り返ってもらった。
もしあの日に戻れるならば、もう一度やり直したい。誰もがそんな空想をしたことがあるはずだ。「僕が見たかった青空」(僕青)の岩本理瑚は、2024年10月7日の夜に時を戻したいと考えている。
その日、彼女は「SASUKEアイドル予選会」に臨んでいた。それは、AKB48、私立恵比寿中学など名だたるアイドルグループ12組から体力自慢が1名ずつ集い、その優勝者が12月25日に放送されたTBSの人気番組「SASUKE」に出場できる枠を勝ち取れるという大会だった。僕青からは代表して岩本が出場していた。
岩本は運動神経抜群だ。アイドルになる前は器械体操歴6年、水泳歴6年、軟式テニス歴3年の経験があった。バック宙も余裕でこなす。軟式テニスでは東京都大会(団体戦)春夏4連覇、関東大会(個人戦)では2年連続5位という実績の持ち主だ。50m走は「7秒19がベストです」と胸を張る。
そんな岩本が参加した「予選会」の動画が、SASUKEの公式アカウントから次々とアップされると、僕青のみならず、他のアイドルグループのファンからも絶賛の声が集まった。
岩本「反響はすごく大きかったです。公式ブログのコメントもいつもの4倍ありました『全力で挑んでいる姿が心に刺さりました』という声がほとんどで、嬉しかったです」
第1種目はビーチフラッグス。岩本は2回戦で結城りな(ukka)に敗れた。
岩本「私は単距離が得意なので、1位を狙っていました。本当は最終種目まで体力を温存する作戦だったけど、いざ競技が始まると全種目で1位になりたいと思ってしまったんです。ビーチフラッグスで結城りなさんに負けて、ここで心が折れました。結城さんの走る速さに驚いて、上には上がいるなと思ってしまったんです。伏せた状態から起き上がるスピードでも勝てませんでした」
第2種目は地獄のシャトルラン。一番遅かった者から一人ずつ脱落していく。
岩本「この競技が始まる直前まで心が折れたままでした。でも、応援メンバーとして駆けつけてくれた八木仁愛ちゃんやファンの方々が『頑張れー!』と声援を送ってくださって、その声が力になったんです。私が変わったのはシャトルランのスタートの瞬間でした」
岩本は練習をして、「予選会」に臨んでいた。その特訓にはメンバーが力を貸してくれた。
岩本「元陸上部の山口結杏ちゃんが練習に誘ってくれて、レッスンからの帰り道、公園でシャトルランをしました。伊藤ゆずちゃんと青木宙帆ちゃんがストップウォッチ係をしてくれました。練習の時点ではインターバルが何秒かわからなかったので、20秒を想定していました」
ところが、「予選会」でのインターバルは45秒。これが功を奏した。インターバル中に呼吸を整え、体力が回復した岩本は1位に輝いた。
岩本「1位でゴールした瞬間は、気持ちよかったです(笑)。でも、想定外だったのは、靴が滑ったことです。体育館の床があんなに滑るとは思っていませんでした。この日のためにいい靴を買ったのに、体育館と相性が悪かったですね。でも、最後の1本は滑ることを予想して、折り返しました」
この時点で岩本は総合2位に浮上した。第3種目は無限ジャンプ。回転するバーを両足でジャンプする競技だ。片足で跳んだり、足がバーに引っ掛かったりすると失格になる。岩本はこの競技への準備も怠っていなかった。
岩本「縄跳びをバーの代わりにして、ジャンプを繰り返す練習をしていました。私はジャンプが苦手です。練習でシャトルランを走ってから無限ジャンプをしてみたら30回くらいしか跳べなくて。しかも、膝の高さまでジャンプしないといけないから体力を消耗するんです」
岩本はトップバッターとして挑んだ。「100回は超えたいです」と宣言してからスタートすると、目標の100回を超えた。観客が回数をコールする。その声は129まで続いた。岩本はその場に倒れこんだ。すると、すぐさま八木が駆け寄り、無情にも回転を続けるバーを止めた。岩本には温かい拍手が送られた。
岩本「トップバッターだったから129回跳べたのかもしれません。最後だったら基準がわかるけど、私の場合、ジャンプしながら自分と闘い続けるしかありませんでした。でも、精いっぱいの力を出せたから悔いはありませんでした。そう、なぜだかわからないけど、115回のあたりから涙が出そうになってきました。多分ですけど、回転するバーを見続けていたから催眠術にかかったのかも(笑)」
無限ジャンプで岩本は3位に入った。総合で2位につけた。1位の風見和香(私立恵比寿中学)とは5ポイント差。逆転はあり得る。
最終種目はSASUKEタイムレース。ハードルを5台くぐり、平均台を渡ってから、SASUKE名物の「そり立つ壁」の縮小版を登り、そのタイムを競う。岩本の出番は8番目。トップの記録は16秒台だ。
岩本「タイムレースは自信がありました。小学校のときから四つん這いで走るのは超得意でした。平均台の上で走る練習も公園でしていました。そり立つ壁は、以前レギュラー番組で挑戦したら、1回でクリアできました。日頃から懸垂をしているから腕力はあります。この競技に懸けていたし、楽しみで仕方ありませんでした」
スタートの合図が鳴る。岩本は肉食動物のようなスピードでハードルをくぐっていく。他の出場者とはレベルが違った。勢い余ったまま平均台にたどり着いた。並走している八木は「慎重に!」と声をかける。
岩本「平均台では落ち着こうとは思っていました。あそこで落ちなければイケるはずでしたから。でも、ハードルくぐりで勢いがつきすぎて、平均台にぶつかってしまいました。そこで焦ってしまって。平均台に乗ったけど、前しか見ていないんです。下は見ていませんでした」
平均台に乗り、小走りを始める。その4歩目の右足は平均台からわずかに外れる。大きくバランスを崩した岩本は床に倒れた。岩本の優勝は消えた。
岩本「悔しかったです。ずっと引きずっています。引きずりまくりです。私は優勝したかったです。多分、疲れていたんだと思います。疲れた筋肉は言うことを聞いてくれませんでした」
全種目が終わった。12選手が整列し、3位から1位の発表があった。岩本の名前は呼ばれなかった。1位が呼ばれる前、堪えていたものが溢れ出た。
岩本「なんでやっちゃったんだろう……。最後の種目を獲っておけば……。1位じゃなくても総合で1位になれたのに……。そんなことばかり考えていました。涙が爆発したのは、授賞式が終わって、裏に戻ってきた瞬間です。マネージャーさんや仁愛ちゃんが『頑張ったね』と言ってくれたんです。その言葉で泣けてきました。いくら頑張ったって結果が出ないと意味がない。私は自分を責めていました」
岩本はしばらく泣き続けた。なぜ自分を責めたのか。それは、グループを背負っていたからだった。
岩本「私はグループに加入してから、自分がやるべきことって何だろうと考えてきました。でも、その答えは見つかっていないままでした。この予選会に出場できることになって、私は僕青を知っていただくために出場しようと思いました。今までグループに貢献できなかった分、ここで私がグループの力になりたかったんです。私が1位になれば、自然とグループ名も少しは知れ渡ります。それができなかった悔しさがあったんです」
岩本は自分ではなく、グループを知ってもらうことを優先していた。アイドルなのだから、個人として知ってもらいたい欲があってもいい。なのに、岩本にはそれがない。For the teamに貫かれている。
そのためにこの日に懸けてきた。朝は可能な限り3㎞走ってきた。移動の際は歩きながら握力をつけようとハンドグリップを握っていた。そんなJK、聞いたことがない。
12月25日の『SASUKE2024』(TBS系列)にて、岩本はSASUKE本選に出場する運びとなった。
岩本「参加した日、誓ったんです。次も絶対出るって(笑)。憧れのセットを目の前にしただけでワクワクしたし、やってみて超楽しかったです」
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