ハリウッドザコシショウ、松本人志不在の寂しさとお笑い界の変化「僕的にはいてくれた方がいい」
2016年度『R-1ぐらんぷり』の覇者にして、独自の笑いを突き詰めてきたハリウッドザコシショウ。そんな唯一無二の芸人は2024年激動の芸能界をどう見ているのだろうか。重鎮・松本人志が表舞台からいなくなった影響や、現代のコンプライアンスについても話を聞いた。(前後編の後編)>>前編は下の関連記事からご覧ください。
お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志が、今年1月から活動を休止。ザコシショウは寂しさを抱えつつ、注目して見ていたことを明かす。
「お笑い界がどうなるのかなって気にして見ていました。変化はやっぱりありますよ。千鳥や粗品が先頭に立つ機会が増えているし、世代交代は感じる。27時間テレビもそうですよね。全体的に若返っているんじゃないですか」
テレビから松本の姿が消えても多くの番組は続いている。『水曜日のダウンタウン』や『酒のツマミになる話』などは番組コンセプトの強さも際立つが、ザコシショウとしては松本の復帰を願っていると素直な言葉を口にする。
「松本さんがいると、やっぱり場が締まります。松本さんがいる現場は笑わせたいからいつもより“かかっちゃった”りするけど、今年はいなかったので……。僕的には、いてくれたほうがいいです。『IPPONグランプリ』も松本さんが見ている前で『面白いな』と言ってもらって優勝するのが芸人としてひとつの目標になっていますから」
一方で、昨年末の『M-1グランプリ』では令和ロマンが芸歴最年少で優勝。今夏の27時間テレビでは霜降り明星やハナコといった“お笑い第7世代”が中心となるなど、若き芸人も次々と脚光を浴びている。ザコシショウが特に目を細めているのが粗品の活躍だ。
「あいつがYouTubeでやっている『一人賛否』は見ちゃうし、楽しみのひとつになっている。どうオチをつけるかとか、そこまで言うんかとか、やっぱりおもろい。お笑いの感覚が研ぎ澄まされているし、ええ感覚ですわ。ライブの映像を見てもビジョン使ってやっていたりしておもろい。R-1に優勝するだけあって、魂入ってツッコんでいるし、僕のまわりのR-1芸人も見習ってほしいです」
芸について確かな熱量を持つザコシショウは2021年から『R-1グランプリ』の審査員を務める。本人としては「オファーを受けたら芸人としてのランクが上に行く」と目論見、飛びついたと明かすが、審査といえば今年の『キングオブコント』が注目を集めたのは記憶に新しい。審査員が上位何組かに同じ点数をつけたことで、1位から4位までがわずか2点差に。惜しくもファーストステージ4位で敗退したや団や、審査員を務めたバイキングの小峠(英二)とは旧知の仲。ザコシショウが裏話を明かす。
「大会が終わった後、や団と会って『惜しかったな』と話しました。あいつら小峠とも飲んだらしくて、『お前らが一番面白かったよ』と言われたんですって。でも点数を見たら、小峠はや団の他に2組同じ点数をつけている(笑)。オレがR-1グランプリで意識しているのは、一番面白いと思ったやつを最高点にするということ。団子状態にはしない。3組くらい同じ点数になることはあるんですけど、1位は1個上にしています」
また、2024年を振り返る上で厳しいコンプライアンスは芸人にとって看過できない問題となっている。もちろん、他人への中傷などは許されざる問題であるが、当事者間で解決していても、なかなか地上波に復帰することが難しいという場合は往々にしてある。ザコシショウは「厳しさは感じます」と認めつつ、道を決して踏み外すことのないある種の強さも感じさせる。
「例えば、僕が不倫していて世間にバレずにテレビに出ているとするじゃないですか。でも、僕の場合は性格上どっちつかずになるんです。だからもし不倫OKという世界になったとしても、やらないと思います。面白くないのが想像できるから。そっちだけになっちゃう気がする(笑)。プロとしてだめだなと思います。車の運転にしてもそう。僕は脇見運転しちゃうタイプだと思うし、もし運転中にネタを思いついてもメモできない。運転ってそういう邪念なしに集中しないといけないものじゃないですか。だから、車が便利なのはそりゃそうだけど、運転はしないんです」
自分の“クズな部分”を出しながら売れていく芸人もいる中で、ザコシショウはただひたすらストイックに我が道を突き進む。だからといって「他の人にあかんでとは思わない。クズ芸人でフィーチャーされて儲けていれば立派なキャラだから」と否定する意識もない。他人への温かい目線も持ちながら、オンリーワンの道を歩み続けるザコシショウの姿はこれからも長く見守ることできそうだ。
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