デビュー10周年・森戸知沙希のモーニング娘。卒業後の気づき「結局、全部が繋がっている」
カントリー・ガールズやモーニング娘。のメンバーとして活躍、海外での留学期間を経て、今再び活動を活発化させている森戸知沙希。ラジオ番組の新レギュラーが決まったことに加え、11月5日には6冊目となる写真集『Co10r Moment』(カラー モーメント/ワニブックス)も発売した彼女に、これまでのキャリアを総括しつつ、今後のビジョンについても前向きに語ってもらった。(前後編の後編)
今年でカントリー・ガールズ結成から10周年を迎える。カントリー・ガールズは14年11月に結成され、翌15年3月には『愛おしくってごめんね/恋泥棒』でメジャーデビュー。華麗にスタートダッシュを切り、アイドル界のメインストリートを疾走した。
「もともとモーニング娘。に憧れていたんですよ。単純に曲がカッコよかったから、こういう曲を自分も歌いたいと思っていました。それでオーディションを受けたんですけど、結果は残念ながら不合格。でも、カントリー・ガールズでデビューできるという話になりまして。私にとっては大きなチャンスだったので、『ぜひ!』という感じで加入することになりました」
だが、驚くことも多かったという。
「アイドルって大変だなって思いました。メディアの方から取材なんてされることはほとんど初めてだったし、大規模なホールのステージに立てることも珍しかったですし……。毎日、緊張していたし、戸惑っていました」
順風満帆だったカントリー・ガールズに大きな転機が訪れたのは17年のことだった。圧倒的な中心メンバーだった“ももち”こと嗣永桃子がグループを卒業。卒業ライブでは残されたメンバーがボロ泣きする中、1人だけ気丈に涙を見せなかったのが森戸だった。
「薄情だとは思われたくはないんですけどね(笑)。ももち先輩は『アイドルは人に笑顔を届けるお仕事。だから自分も笑顔でいるべき』という考えだったんですよ。最後だからこそ、私はその教えを絶対に守りたかった。
それはのちにモーニング娘。に入ってからカルチャーショックを受けたところでもあります。モーニングはむしろ感情を露にする子が多い。グループごとにアイドル観の違いみたいなものを感じました」
憧れのグループでもあったモーニング娘。に兼任メンバーとして加入したのが17年で、カントリー・ガールズの活動休止によって専任となったのが19年。始めはMCの進め方や場ミリの細かさなど、適応するのに時間はかかったという。
それでもモーニング娘。としての人生を走り抜け、卒業して海外留学へ。森戸は自身のキャリアを「わりと紆余曲折なアイドル人生だったかも」と述懐する。
「結局、全部が繋がっているんでしょうね。英語を勉強したいと思ったのは、モーニング娘。で海外公演をしたことが大きかったですし、モーニング娘。に入ったのは、カントリー・ガールズでの活動があったから。
でもオーディションで合格してモーニング娘。としてデビューしていたら、海外留学しようという発想になったかは自分でもわからないです。逆にカントリーだけやっていたら、今、ここで芸能のお仕事をやっていない可能性もありますし」
今後の目標としては、「お洋服が好きなので、衣装も含めてファッションについて発信や表現をしていきたい」というのがひとつ。そのためにもSNSはさらに力を入れていくと言葉に力を込める。
「あとは最近、ラジオのレギュラーが増えたんです。3時間の生放送番組『60TRY部』(ラジオ日本系)で、私は隔週の水曜レギュラーを務めさせていただくことになりました。あとは『MUSIC BAR MIRAI 亭』(tbcラジオなど)という番組でも、パーソナリティーをやっています。こちらはコンセプトがバーになっていて、私がマスターとして様々なゲストのお客様とおしゃべりするんですよ。
昔から私を知っている人なら、『あの森戸知沙希が!?』と驚くかもしれませんね。そももそも話すことが苦手だった私がラジオをやっていること自体、自分でも驚きですけどね(笑)」
そんな森戸が11月5日に6冊目の写真集『Co10r Moment』(カラー・モーメント/ワニブックス)を発売する。意外なことに海外での撮影は初めてとのこと。撮影場所のタイにはコンサートやプライベートでも行ったことがなかったため、おのずとテンションが上がったと振り返る。しかし、海外ならではのアクシデントにも見舞われたという。
「水上マーケットで船に乗って写真を撮ったんですけど、なんと“迷子”になってしまったんですよ。小さいボートの上に乗っているのは、漕ぎ手の現地の方と私の2人だけ。引きの画が欲しかったので、カメラマンさんは少し離れた岸から撮る流れでした。
だけど途中からカメラマンさんもスタッフさんも姿が見えなくなって、これはさすがにおかしいんじゃないかと。最初は撮影が終わったらスタート地点に戻るという話だったんですけど、水上マーケットの構造上、どうも1周しないと戻れなかったらしいんですね」
撮影中だから携帯電話など持っていない。船を漕ぐ高齢のタイ人女性との会話は通じない。いつまで経ってもスタッフが待機している場所にボートは着かない。一方、撮影スタッフ側としても森戸と連絡を取る手段がなく、まさか事件に巻き込まれてはいないだろかと気が気でなかったという。
結局、30分後くらいに両者は合流できたそうだが、「私にできることといえば、水の上にぷかぷか浮かんでいるだけ……。あんな心細い経験、二度としたくありませんよ!」と森戸は冗談めかして語った。
「5冊目の写真集を出したのは、まだ私が現役アイドルだった2年前。久しぶりに森戸知沙希を見るという方も多いと思うんですね。さすがに表情とか雰囲気は大人っぽく変化した部分もあるんじゃないかな。応援してくださる方が今回の『Co10r Moment』を見てどう感じるのか、ぜひお会いしたときに感想をお聞きしたいです!」
様々な人生経験を経て、ビジュアル面は大人っぽく洗練された森戸。だが、はにかむようにして語りながら耳を真っ赤にさせる様子は、あの頃のままだった。
(取材・文/小野田衛)
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