櫻井海音＆齊藤なぎさ「【推しの子】」実写化には「最大限原作に寄り添って」原作リスペクトで作り込んだキャラクター表現

2024.11.18 08:30

Amazon Original ドラマ「【推しの子】」が11月28日(木)夜９時からPrime Videoで世界独占配信、映画「【推しの子】-The Final Act-」が12月20日(金)から東映配給にて全国公開される。原作を軸にしたストーリーで、ドラマ全8話の続きは映画で描かれる。物語を動かす主人公・アクアを演じるのは櫻井海音、アクアの双子の妹・ルビー役は元＝LOVEの齊藤なぎさが務める。注目度の高い本作だけに、櫻井、齊藤に寄せられる期待は大きいが、2人はそこにどのように挑んだのか。原作を徹底的に研究したという役作りへの挑戦を聞いた。

他の誰にも渡したくなかったアクア役

――今作は最近の実写化作品の中でも特に反響が大きく、ファン心理として高い原作再現が求められています。

櫻井：それはもちろん実感しています。だからこそ原作に対する愛情、リスペクトは僕たちキャストだけではなく、この作品に携わっている全ての人たちが当たり前のように常に持っています。どうやって世界観を拡張して実写に落とし込めるか、生身の人間が演じたときにどういうふうに見てもらえるか、どういうふうに表現できるかというのを、撮影中は一丸となって模索しながら戦っていましたね。

――特に2人にかけられる期待は群を抜いて大きいと思います。

櫻井：プレッシャーは当然ありますが、それよりもオファーを受けて真っ先に思ったのは、「この役を誰か他の人に取られたくない。ここから逃げたら絶対に後悔する」という気持ちでした。もともと原作から読んでいて、アニメも見ている大好きな作品だったからこそ、アクアは絶対に自分がやりたいと強く思いました。

齊藤：私もプレッシャーはありつつ、でもオファーをいただけてすごくうれしかったです。ルビーちゃんは自分との共通点が多いですし、ファンの方からも「(実写化するなら)ルビーちゃんをやってほしい」という声を頂いていたというのもあります。期待の大きさは感じていますが、できることは全てやりながら最大限原作に寄り添って、世界観を大切にしてみんなで作り上げたと思います。

原作、アニメを研究して作り込んだキャラクター表現

――キャラクター表現、役作りはどのように取り組みましたか？

齊藤：一番は原作を読んで、アニメを繰り返し見たことですね。ルビーちゃんと言えば天真爛漫さが一番の魅力なので、周りを巻き込んでいく元気さや身振り手振りの表現とか、そういうところから一から研究しました。

櫻井：僕も同じく原作、アニメの研究です。撮影前には必ずそこと同じシーンを原作、アニメで確認して、声色、ビジュアルも含めてしっかり作り込んでいきました。このときのアクアはどういう立ち方をしているのか、もしくは座っているのか。ポケットに手は入っているのか、いないのか。どんな表情しているのか。そうした細かいところまで原作を意識して、監督に確認して微調整を行いながら作り込んでいきました。

――原作ではアクアのように計算して演技をするタイプ、有馬かなのように奔放な演技で引き込むタイプなど、役者による演技タイプの違いが語られます。2人は自分の演技タイプをどう分析しますか？

齊藤：私は演じていない時間も役に引きずられるタイプだと思います。その役作りが現実世界にも影響して、期間中、プライベートでもずっと私の中に入っているんですよね。だから、ルビーちゃんはだいぶ大変でした。基本、すごく明るいんですけど、落ち込むとずーんとなります。なかなかでしたね(笑)。

櫻井：僕はどうだろうな。計算して、周りの芝居に適応していくタイプじゃないかと思います。役を離れた場面で引きずられたこともないですし、自分の芝居を常に客観視していて、今どんな表情が必要とされているか、どういう表現をしたら視聴者に分かりやすく伝わるかというのを考えながら作り込んでいます。

同じ俳優、アイドルだからこそ高まる感情移入

――俳優、アイドルとして作品に共感を覚えるポイントや、アクア、ルビーに対しての感情移入などはありますか？

齊藤：私は小さいころからアイドルになりたくて、アイドルに憧れて生きてきたので、同じ夢を持ってアイドルになったルビーちゃんにはものすごく共感が強いです。どの場面でも、どのせりふにも気持ちが入るというか。ルビーちゃんは転生前のさりなちゃん時代からずっとアイドルに憧れて生きてきた子ですし、感情移入はなおさらです。

アイドルではないですけど、あかねにも共感する部分はやっぱりあって、特に刺さったのはSNSでの誹謗中傷です。あのエピソードは過去の私と重なる部分あって、そこでぐっと引き込まれていきました。私もネットの誹謗中傷に心を傷つけられたことがあって、あのときのあかねの苦しい気持ちは痛いほどよく分かります。

櫻井：ここまで芸能界に切り込んで、そこに身を置く人間がリアリティーを感じるテーマを丁寧にエンタメ化しているのは本当にすごいと思います。アクアは原作を読んでいるときから自分とリンクする部分が多くて、信念の強さや演技のスタイル、キャリア的なことも近くて、あちこちの場面で感情移入をしていく役でした。

――原作の赤坂アカさん、横槍メンゴさんとはどんなお話をされましたか？

齊藤：お2人ともすごく優しかったですね。

櫻井：とてもフレンドリーで、気さくに話しかけてくださって。見学にいらしたのがB小町のライブシーンの撮影のときで、みんなガチガチに緊張して、立ち尽くしてしまって(笑)。

齊藤：本当に緊張しすぎて(笑)。でも、「気負わなくていいよ」って。「実写化だからって気にしないでね」と言ってくださったのにはほっとしました。

櫻井：僕はアクアに骨格が似ているって。そのひと言がうれしかったです。

――役作りについてアドバイスを頂いたりは？

櫻井：ないですね。それを言うとこっちがプレッシャーに感じてしまうと分かっていたからだと思います。

齊藤：アドバイスではないですけど、ライブシーンは「3人ともB小町にしか見えなかったよ」と言っていただけて、それで自信が持てた面はありますね。