掃除で発見した数十年前の図書券、その有効期限に衝撃走る 「知らなかった…」とネット民驚愕
家の掃除の最中に発見した、数十年前の図書券が話題に。試しに書店で使用したところ、驚きの結果が待ち受けていた。
大掃除をすると、思いもよらなかった物を発見するのはよくある話。「賞味期限」や「有効期限」を超過した、年代物と再会を果たすケースも珍しくない。
以前X上では、掃除の際に発見された「懐かしすぎる図書券」が話題になっていたのをご存知だろうか。
この金券、懐かしすぎる...!
注目を集めていたのは、作家・Hkさんが投稿した1件のポスト。
「この いにしえの金券、もう紙クズかな...と恐る恐る『まだ使えますか...?』と出したら『まだイケますよ!』って使えた」と、意味深な1文が綴られた投稿には、令和の現代では滅多に見かけなくなった「図書券」の写真が添えられていたのだ。
こちらの図書券には、紫式部といった平安時代の女流作家を連想させる、非常に趣のあるイラストが描かれている。
「20年ぶりに見た」と驚きの声
図書券の役割は「図書カード」へとバトンタッチされたが、30代半ばの記者にとっては同イラストの図書券こそ、最も思い出深い存在である。
やはり、同様の思いを抱くXユーザーが多かったようで、件のポストが投稿からわずか数日で8,000件近くものリポストを記録。
「懐かしい、今見ても趣がある絵ですよね」「私もこの世代でした!」「祖母からもらって、嬉しかった思い出」「20年ぶりくらいに見た...!」「懐かしすぎる、もうお目にかかれないと思ってた」「まだ使えるの知らなかった」など、驚きの声が多数寄せられていた。
ポスト投稿主・Hkさんに発見時の様子を尋ねたところ、こちらは家の掃除中に発見したもので、子供時代にもらった図書券だという。
ちょうど我が子に漫画を買ってあげようと考えていたHkさん。書店にて、恐る恐る「使えますかね...」と尋ねたところ、店員は「おっ!」「まだイケますよ」と、ノリノリで会計をしてくれたそう。
当時の心境について、Hkさんは「若い店員さんでしたが、やはり書店員さんは図書券についてしっかりご存知なのだなと思いました」と、振り返っている。
そこで今回は、懐かしの図書券の詳細と、その有効期限について、発行元の「日本図書普及」に詳しい話を聞いてみることに。取材の結果、驚きの事実が多数明らかになったのだ...。
「発行時期」を聞いて驚き
https://twitter.com/Hk1228_0528/status/1845702997332156590
今回話題となった図書券(正式名:全国共通図書券)の正体について、日本図書普及の担当者は「1986年(昭和61)年12月から、1998年(平成10年)7月の間に発行されていた500円券です」と、説明する。
多くの人が「今見ても素晴らしい!」と絶賛するイラストに関しては、「これ以前の図書券は洋風のデザインだったので、イメージを変えるため、和風のデザインを模索いたしました」「最終的に、平安時代の女流作家をモチーフにした絵を職人さんに描いてもらい、採用いたしました」との回答が得られた。
ちなみに、98年7月から2005年(平成17年)9月の期間は、同デザインにホログラムが入ったタイプの図書券が発行されており、アラサー世代にはこちらのモデルの方が、馴染み深いかもしれない。
気になる有効期限について、担当者は「過去に発行された図書券、および磁気式図書カードには有効期限は記載されていません。現在は図書カードNEXTに変わっていますが、旧タイプの図書券や磁気式図書カードも、まだご使用頂けます」と説明しており、依然として「現役」であることが明らかになった。
なお、現在発行している「図書カードNEXT」には有効期限が記載されているが、購入時点で「10年以上の期限」がある状態で販売しているそう。
こちらの事情に関しては、「将来的に技術環境などの変化により、カードの読み取り方式の変更などが必要となる場合も想定し、スムーズな移行ができるよう、有効期限を設けさせて頂きました」との回答が得られている。
図書券が「生まれた理由」に納得
いつの時代も大人から子供、そして本を愛する全ての人への贈り物として活躍してきた図書券、および図書カード。
これらが誕生した経緯について、日本図書普及の担当者は「図書券は1960年(昭和35年)、出版物の市場拡大と読書普及を旗印に、出版業界が共同して創設した本の商品券です」と説明する。
それ以前は、多くの人々が「本を贈り物にしたい」と思いながらも、嗜好性が高く、個人の好みが強い「本そのもの」を贈り物にするのは、なかなかハードルが高かったそうだ。
そうした背景を踏まえ、担当者は「図書券の登場により、好きな本が選べるというメリットを兼ね備えながら『本の贈り物』が実現されたことで、多くの人々にご利用頂けるようになりました」と、その影響力の大きさを語ってくれた。
現代の我々からすると「当たり前」の存在である図書券、図書カードだが、じつは非常に革命的な発明だったのだ。
より便利な「図書カードNEXT」に
今回、多くの人々が「懐かしの図書券」に注目した件について、日本図書普及の担当者は「多くの方々が図書券を贈り物として手にされ、一度ならず書店へと足を運ばれ、本を選ぶ楽しみや、かけがえのない1冊と巡り合った経験をお持ちなのだと思います」と、目を細める。
続けて、「現在では図書カードNEXTへと形は変わっていますが、ぜひ当時の本を選ぶワクワクするような気持ちや、感動を思い出し、大切な方への贈り物として、引き続きご活用頂けたらと願っています」とのコメントを寄せてくれた。
日本図書普及のこうした真摯な思いは、多くの人々の胸に届いていることだろう。
実際、懐かしの図書券を発見したHkさんからも「図書券は、子供の頃にもらって嬉しかった物の一つです。図書券をもらうと、ウキウキして本屋に行っていました。今回改めて、図書券や図書カードは子供たちへのプレゼントにとても良いなと感じました。これからの子供たちにも、たくさん本を読んでもらいたいと思います」とのコメントが得られているのだ。
図書券は図書カードへ、そして図書カードNEXTへ進化。その結果、現代では「楽天ブックス」といったオンライン書店でも使用可能となり、より便利で身近な存在になっている。
懐かしの図書券に思いを馳せるのも良いが、ぜひ現代の図書カードNEXTもチェックしてみてほしい。
執筆者プロフィール
秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。
新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。
X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテ、ハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。
(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ)
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