『おむすび』で朝ドラデビューの兒玉遥、女優転身のきっかけは「うつ病になって調子を崩して」
HKT48の第1期生メンバーとしてキャリアをスタートさせた兒玉遥。デビュー時からセンターポジションを務め、2016年には第8回AKB48選抜総選挙で自信最高位となる第9位に輝くなど、グループの中心的存在として活躍した。HKT48卒業後は俳優としての活動を本格化させ、現在放映中の「おむすび」で朝ドラデビューを果たした。なぜ彼女はアイドルから俳優へと転身したのかに迫る。
ーー「おむすび」の出演オファーがあったときのお気持ちからお聞かせください。
兒玉 朝ドラに出るのを大きな目標に俳優業を始めましたし、「おむすび」は地元・福岡が舞台になっているのもあって、すごくうれしかったです。いつ呼ばれても大丈夫なように、常に心の準備はしていましたけどね(笑)。
ーー撮影もゆかりのある場所ばかりだったんですか?
兒玉 天神の親不孝通りや中州など、私が小さい頃から過ごしてきた場所です。
ーー兒玉さんが演じる川合紗香は交番で地域の安全を守る警察官です。
兒玉 過去にも『改竄・熱海殺人事件 モンテカルロ・イリュージョン』という舞台で警察官を演じたことがありますし、舞台『私に会いに来て』では新聞記者を演じたこともあって。正義感が強い役は自分的にも好きですし、やりがいがあるなと感じていました。今回、警察官役に選んでくださったのも、そういう役が似合うと思ってくれたのかなと(笑)。
ーー川合紗香はどういうキャラクターですか。
兒玉 意志が強くて、逞しさもありつつ、橋本環奈さんが演じる主人公の米田結を始め、地元のギャルの子たちを優しく見守るので、優しい部分と強い部分が両方ある女性です。
――撮影ではどんなことが印象に残っていますか。
兒玉 私が撮影した時期はまだ寒かったので、肌寒さを感じながら、追われるように撮影していたんですが、一つひとつを丁寧に、時間をかけて撮っている印象で、みんなで集中して頑張りました。
――ドラマの舞台は2004年と、兒玉さんが小学生の頃です。
兒玉 当時のギャル文化を知らないので、ギャルのみんなが着ている衣装やつけ爪、ヘアメイクなどが新鮮で、見ていて楽しかったです。ただ私も幼かったなりに経験している時代ではあるので、そこまで時代の変化を意識しなくても演じられた部分が大きかったです。――お芝居に興味を持ったのはいつ頃からですか?
兒玉 アイドル時代からお芝居をやってみたかったんですが、アイドルと女優の両立は難しいなと肌で感じていて。アイドルは自分を押し出して、自分を良く見せる、自分のことを応援してもらうという職業じゃないですか。でもお芝居は役柄にもよりますが、まずは自分を消して、役に入らなきゃいけないという作業がアイドル時代は難しかったです。
――お芝居の楽しさややりがいは早くから感じていたんですか。
兒玉 いただいたセリフを覚えて役を演じるという作業は楽しかったです。ただアイドルをやりながらのお芝居には自信が持てなくて……。だけどHKT48時代はアイドルとしての高みを目指していたので、そこまで女優でやっていこうという気持ちもなくて。そのままアイドルをやり切りたかったけど、うつ病になって調子を崩して、2017年から活動を休止することになってしまって。休養期間中に女優転身を決意したんです。それが2019年のことです。
――なぜ女優を選んだのでしょうか。
兒玉 あまり良い表現ではないかもしれませんが、“消極的転身”というか。人前に立つことも、カメラの被写体でいるのも大好きだし、楽しいし、自分に向いているなという感覚はあったんですが、病気明けで、前のように上手く芸能活動できる自信がなかったんです。グループ卒業後に何の仕事ができるのかは分からなかったけど、自分のルーツを見詰め直したときに、やっぱり芸能界から退くのは違うかもしれない。
もうひと踏ん張り、自分のできるところまで頑張ってみようと思ったのが、今に繋がっているんです。だから最初から、「絶対に女優でやりたい!」というのはなくて、いろいろな活動をしていく中で、「楽しいし向いているかも」「もっと頑張ろう」と思えたのがお芝居だったんです。
――失った自信を取り戻したのはいつぐらいですか?
兒玉 転身したタイミングでコロナになっちゃったので、最初は女優業も不完全燃焼でした。徐々にドラマや映画の撮影、舞台が再開されて、たくさんチャレンジさせていただく機会をいただけるようになったので、女優に転身して3年目ぐらいですね。
――コロナ禍にモチベーションは落ちなかったんですか。
兒玉 お仕事自体は定期的にいただいていましたし、おそらく復帰したタイミングではバリバリやりきれなかったと思うので、自分的にはそのペースがちょうどよかったんです。結果的に周りも足を止めている状況で、ゆっくりと進んでいけたのが良かったと思います。
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