日曜劇場「アンチヒーロー」最終回より

<アンチヒーロー>飯田和孝Pが長谷川博己ら俳優陣の功労称える「唯一無二な俳優」 最終回目前に役名の“色”に隠された意図も判明

2024.06.15 10:00
日曜劇場「アンチヒーロー」最終回より

長谷川博己主演の日曜劇場「アンチヒーロー」(毎週日曜夜9:00-9:54※最終回は夜9:00-10:19、TBS系)の最終回が6月16日(日)に放送される。同ドラマは、長谷川が7年ぶりに日曜劇場で主演を務める、日本の司法組織を舞台とした“逆転パラドックスエンターテインメント”。「正義の反対は、本当に悪なのだろうか」ということを視聴者に問い掛け、スピーディーな展開で次々と常識を覆していく。

長谷川は「殺人犯をも無罪にしてしまう」“アンチ”な弁護士・明墨正樹を演じ、明墨と同じ法律事務所で働く同僚弁護士・赤峰柊斗役の北村匠海、同じく同僚弁護士・紫ノ宮飛鳥役の堀田真由、パラリーガル・白木凛役の大島優子、東京地方検察庁の検察官・緑川歩佳役の木村佳乃、検事正・伊達原泰輔役の野村萬斎らが脇を固める。

ほか、冤罪で死刑囚になっている志水裕策役の緒形直人、志水の娘・牧野紗耶役の近藤華、殺人容疑で起訴されたが明墨の手によって無罪となった緋山啓太役の岩田剛典、紫ノ宮の父であり千葉県警刑事部長・倉田功役の藤木直人、明墨の検察時代の同僚・桃瀬礼子役の吹石一恵らが出演。

このたび、WEBザテレビジョンでは、最終回を目前に、同ドラマのプロデューサーを務める飯田和孝氏にインタビューを実施。キャラクターの名前に隠された思いやドラマ制作のこだわり、最終回の注目ポイントなどを聞いた。

「頑張った結果をとにかく見てほしい」

――すべての撮影を終えて、今率直に感じていることを教えてください。

充実感とかそういったところはまだ実感がなくて、とにかく最終回を見ていただきたいという思いが強いです。世の中に出すものなので恥ずかしくないものをつくらないといけないですし、それを頑張るのは当然なのですが、スタッフ、キャスト、関わった人が頑張った結果をとにかく見てほしい。見て判断してほしいし、理想を言えば、第9話までをU-NEXT ParaviコーナーでもTVerでもNetflixでも全部振り返ってもらって、最終回をリアルタイムで見てほしいです。

――ここまで見事に主演を演じ切った長谷川博己さんへの思いをお聞かせください。

2023年の3月にオファーしてからなので、もうかれこれ1年と3カ月ぐらい、「アンチヒーロー」の明墨と併走してきてくださり、本当に“お疲れ様でした”とお伝えしたいです。

改めて、唯一無二な俳優さんだと思いましたし、作品に向き合う姿勢が本当に素晴らしく、キャラクターをつくっていく作業を一緒にやっていく中で、明墨というキャラクターを良くしようというだけでなく、ドラマ全体を面白いものにしようという熱意と、周りを巻き込む力をすごく感じました。本当に尊敬しています。

――ここまでの明墨と伊達原の対決についてはいかがですか?

伊達原の役に関していうと、いわゆる日曜劇場の勧善懲悪像で倒される敵というよりは、もっと人間味があって悲哀のある感じをこの役に込めたかったんです。萬斎さんにはその物悲しさみたいなものを表現していただけるのではないかと思い、キャスティングさせていただきました。

そこに、長谷川さんとの関係性がプラスされて、うまくシンクロしていったように思います。2人のコミュニケーションを見ていると、言葉数多く語らうわけではないのですが、意思疎通というか、何かを感じ取っているような掛け合いがあって、そういった2人の実際の関係性が演技にも影響しているのではないかと思っています。

SNS上での反響も実感「そこからいろいろな課題が見つかったりする」

――第9話のラストシーンで白木の裏切りが明るみになり、視聴者の考察も盛り上がっていますね。

大島さんのインタビュー記事を拝見したら、「私にもついに来た」というようなことを仰っていましたね。もちろん、白木の第9話の一連の流れも最初から想定していたことです。

皆さんが「これは絶対に作戦だと信じたい」と、裏を読んで議論してくれているのが面白くて、信じたいということは、“仲間であってほしい”とキャラクターに対する愛着を持ってくれているということではないかといった発見もありました。

白木は時々意味深な感じを出してきましたが、実際に赤峰や紫ノ宮に嫉妬心が芽生えてきているというのも事実なので、そこが最終回でどうつながっていくのかというところにも注目していただきたいです。

――SNS上で考察などが盛り上がる様子を見てどう感じていらっしゃいますか?

“しめしめ”な部分ももちろんあるのですが、実はそこからいろいろな課題が見つかったりするんですよね。途中からは、「これだとこう感じる」「ここはもっと繊細にやらなくてはいけない」といった投稿の方が目について、そういう目の肥えた方の意見はとても貴重なので、勉強として捉えさせていただいています。

非常に難しいなと思ったのは、一つの事柄がつながってくると、閉じられた世界のすごく狭い範囲の話としてご都合主義に映ってしまったり、僕もよくいろいろなドラマを見ていて思うのですが、「それってもっと前から気付いてたでしょ?」というツッコミが出てきたり。

そこは、パズルの埋め方の難しさを感じつつ、非常に面白がりながらやったところで、ほころびが出ないように細心の注意を払いながらつくっていきました。4人の脚本家がいて良かったです。

“白か黒か”をはっきりさせる世界で「色で遊べると面白いのではないか」

――キャラクターの名前はどのように決められたのでしょうか?

明墨という主人公の名前がまず決まって、最初の企画書の段階から他のキャラクターの名前にも色を入れるという案がありました。その中で、統一したコンセプトに変えていったというのはあります。

例えば、緋山は元々檜山という字だったのを緋色に変えたり、珠城りょうさん演じる沢原麻希の麻を亜麻色にしたり。桃瀬も元々は百瀬という字でしたが、脚本を作る段階で変更されていきました。

「白か黒かをはっきりさせる」というのが法律ではよく形容されるので、色で遊べると面白いのではないかと、脚本の福田哲平さんと共に考えました。

――それぞれの色が持つ意味について教えてください。

明墨の“墨”は、分かりやすく黒と白の中間の曖昧な感じを表現しています。赤峰の“赤”は、非常にエネルギーのある熱量の高い人間ということ、紫ノ宮の“紫”は、赤に少し冷静さを足しつつも内にみなぎるようなものがあるということを含んでいます。それこそ、この3人の色を掛け合わせるとドラマのテーマカラーの至極色になっていて、そこは一つの狙いだったりもします。

白木の“白”は、純粋さ。いろいろと含んでいそうですが、もしかしたら彼女が一番真っすぐな思いを持っているのではないかと思っています。青山の“青”は、実は僕もまだつかみかねていて…。すごく爽やかな青なのか、藍色に近い深い青なのか、スカイブルーなのか。僕は個人的に青が一番好きな色なのですが、どれを青と言うかは人それぞれで、いろいろなものに化けられる感じが青にはあると思って付けました。

緑川の“緑”は、ナチュラルなイメージです。緑ってすごく調和される色というか、どこにいてもそこが一体化してくような感じがありますよね。主張しすぎないけど、そこに存在することがすごく意味を持つというか、そんなような意味合いです。

桃瀬の“桃”は、このドラマの中での愛の象徴です。なんだかんだで、このドラマの中心には愛というものがあると思っています。人間が何かを働きかけようとするときのほとんどは愛情が動機になっていると思うので、そういった意味で、もしかしたら桃瀬がこのドラマの軸になっているのではないかなと、改めて第9、10話を見て感じています。

――緑川にも色が付いているので、「絶対仲間だ」というような声も上がっていますが…。

そうですね。皆さん、「緑川が寝返るのではないか」という考察をしてくれているので、そこは最終回を見て楽しんでいただければと思います。

「より成熟したキャラクターにしてから撮りたいと思っていた」

――これまでの放送回で特に印象的だったシーンを教えてください。

第2話の最後で、殺人の証拠である緋山のジャンパーが赤峰の目の前で廃棄場に捨てられて、そのあと赤峰が事務所に戻ってきて明墨と対峙するシーンがありました。あそこには本当に思い入れがあります。

というのは、撮影の順番として、どうしてもその対峙シーンを廃棄場のシーンを撮影した後に撮りたかったんですよ。赤峰が廃棄場でどんな感情を抱いて、明墨の前にどう立つかというのが大事だと思っていたので。ですが、廃棄場での撮影が何回か延期になって、対峙シーンも1カ月ぐらい先延ばしになっているんですよね。

そんな中で撮ったシーンが、やはりすごく濃いものになっていて。当然1カ月あると他のシーンの撮影もしているので、それぞれのキャラクター性も固まってきているし、赤峰は、実はあそこでジャンパーを拾っているということも踏まえた感情の中で明墨の前に立っているので、すごく印象に残っています。

第1話冒頭の接見室のシーンも、実は、撮影を2カ月ぐらいやった後に撮ると決めていて。理由としては、あのシーンが第8話とつながるというのもありますが、視聴者の方が初めて見る明墨を、より成熟したキャラクターにしてから撮りたいと思っていたんです。それもあって、あのシーンにも強い思い入れがあります。

――回を重ねるごとに赤峰が明墨に似ていくといった声も上がっていますが、赤峰の成長や変化はどのように想定されていたのですか?

正直に言うと、僕らは本を作っている段階では、北村くんがこうやって演じるということは想像できていなくて。なので、これはもう完全に北村匠海という俳優のプランニングが全てだったなと思いました。そこは本当に見事というか、僕らが想像していたものの何十倍にもなっているという実感があります。

本来はこちらが演出しなくてはいけないのに、途中から赤峰と完全に同化していて、赤峰の変化の過程をすごく緻密に計画しながら演技をしてくれました。緋山にジャンパーを見せるところぐらいから、もはや赤峰が怖くなってきたくらいです。ゾクゾクしました。

「明墨の贖罪の気持ちが、“ごめんね”という歌詞に乗っかっている」

――miletさんが歌う主題歌「hanataba」も話題になっています。

「hanataba」は、最初の“大嫌い、嘘じゃない”という歌い出しがすごくはまったなと思っています。元々オーダーとしては、ドラマでは描かれない明墨から紗耶への思いを歌にしてほしいというものだったんです。

第1話では過去のことをまだ明かしてない段階で、「伝えたいけど伝えられない思い」というところと、「小さな希望」という僕の言葉をヒントにしたと仰ってくれていたのですが、その中で、明墨の贖罪の気持ちが、“ごめんね”という歌詞に乗っかっているのだなと思っています。

miletさんの曲もそうだし、梶浦由記さんや寺田志保さんの楽曲もそうだし、セリフ、主題歌、音楽、効果音、このドラマの中で鳴っているすべての音をひっくるめてこのドラマが完成するという思いでつくっていたので、主題歌に求める意味合いがすごく大きかったかなと思います。

視聴者の方も、毎回どこで主題歌がかかるかということに注目してくれているので、そこはすごくうれしいなと思います。最終回もどこで流すかすごく議論したので、ぜひ注目してください。

――続編への意欲はいかがでしょうか?

特にまだ予定はないですし、そこについては僕らが議論する感じでもないのですが、ストーリーを作るという観点でいくと、やれるのであればやりたいという思いはあります。キャストの皆さんもいい関係性が出来上がったという印象を持たれていて、実はそういう妄想も最後の方ではしていました。木村佳乃さんが「私、ラブ路線はないのかしら?」というようなことを仰っていたり(笑)。

“父の日”に放送される最終回「それぞれの感覚や感情に注目して」

――最終回の注目ポイントを教えてください。

奇しくも最終回では、志水と紗耶、倉田と紫ノ宮、それから伊達原とその娘という、3つの父と娘の関係が描かれています。自分自身にとって何が大切かというそれぞれの感覚や感情にぜひ注目してほしいなと思っています。特に16日は父の日ですしね。

また、最終回では法廷シーンが長くて、放送時間を調べたら38分38秒もありました。ただ、法律ドラマである以上、最後の勝負は法廷にすべきだという思いがあったので、そこは見てほしいです。

プチ注目ポイントでいくと、青山さんの奥さんが出てきます。青山さんの家庭のシーンにもぜひ注目してください。

――最後に、視聴者へのメッセージをお願いします。

最終回の緋山の結末が僕は本当に好きで、第1話冒頭の明墨のセリフとリンクしてくるそのシーンが、結局このドラマで言いたかったことのすべてだったりします。悲しい現実はあるという、世の中のリアルをちゃんと描きたかったので、そういった意味でもとても好きなシーンです。

全伏線を回収することが目的というよりは、視聴者の皆さんにすっきりしてほしいなという思いがまずあって、その上で、皆さんが想像しているものを上回りたいなと思っています。

最終回はいろいろなところにツッコみが入ることも覚悟していますが、そのツッコミをちゃんと返していける構成になっていると思います。第9話で、明墨がこれまでやってきたすべての行動の理由となるもの、根源が見えたところがあって、最終回で明墨のすべての動機が回収されるのですが、はたして、それが本当に最終目的だったのか、どう締めくくるのか、というところに注目してほしいです。

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