主演・赤澤遼太郎×演出・山本一慶で描くカード異能バトル開幕!『HIGH CARD the STAGE – CRACK A HAND』ゲネプロレポート

2024.01.19 21:00
提供:2.5ジゲン!!

「必要なのはマナーと気品、そして命を張れる覚悟」そんな劇中の言葉が思い浮かぶほど、愛情深く真摯に作られたことが伝わってくる『HIGH CARD the STAGE – CRACK A HAND』が、1月19日(金)に幕を開けた。

2.5ジゲン!!では、初日を前に実施されたゲネプロ及び囲み会見の様子をレポート。ネタバレはなしで、本作の魅力や見どころをお届けする。

赤澤遼太郎をはじめ2.5次元界を牽引する役者陣が揃い、さらに演出は本作が2.5次元作品初演出となる山本一慶が担当する。その顔ぶれを見ただけで心躍ったファンも多いことだろう。

その期待を、作品の持つ勢いを味方に、クリスの身のこなしよろしく華麗にひょいっと越えてくる約2時間15分となった。

原作は、ポーカーをモチーフにトランプ×異能バトルを描くメディアミックスプロジェクト。アニメ2期が2024年1月から放送中だが、それ以外にもコミカライズや小説化など各メディアでも盛り上がりを見せている。

そこに新たに舞台版が加わった。本作はいわゆる異能バトル要素が魅力の1つ。舞台というリアルな空間に、人智を超えた能力をどう生み出していくのか。演出家・山本の頭の中の景色の一端を共有してもらえるのも本作の見どころといえるだろう。

▲舞台ならではの歌唱シーンにも注目を

序盤はスピーディーに、孤児院育ちの主人公フィン・オールドマン(演:赤澤遼太郎)が「エクスプレイングカード」回収任務にあたる国王直属のスパイ組織に加入して、慣れない任務をこなしていく姿が描かれる。ジャジーな音楽に誘われ、気づくと個性豊かな愛すべきハイカードのプレーヤーたちが次はどんな騒動と活躍を見せてくれるのかとワクワクするに違いない。

物語は次第にシリアスへと舵を切り、フィンとクリス・レッドグレイヴ(演:丘山晴己)のバディとしての関係性に惹き込まれていく。

▲フィン・オールドマン(演:赤澤遼太郎)とクリス・レッドグレイヴ(演:丘山晴己)の出会い

一生懸命で元気いっぱい、根っこの部分がピュアな役は赤澤の十八番と言ってもいいだろう。身体全体を使って喜怒哀楽を表現する小型犬のような愛くるしさが漂いながらも、複雑な出自のフィンならではの苦悩を丁寧に表現していた。

丘山はクリスの軽さをノリノリで表現、胸焼けしそうなプレイボーイな言動も不自然さを感じさせないのはさすがの一言に尽きる。その軽さが、後半の重い芝居をいっそう際立たせていた。

気位とプライドの高さと幼さが絶妙に混ざり合う石橋弘毅が演じるレオ・コンスタンティン・ピノクル、佇まいからそのバックボーンに思いを馳せずにいられないほどの色香を放つ松田岳が演じるヴィジャイ・クマール・シン、キャラの持つ二面性を振り切った芝居で楽しませてくれる七木奏音が演じるウェンディ・サトー。さらに心地よい低音ボイスでハイカードのメンバーをつなぎ、ストーリーテラーとしても活躍するバーナード・シモンズ(演:萩野崇)が加わり、舞台ならではのピノクル社を生み出していた。

▲最年少にして支店長のレオ・コンスタンティン・ピノクル(演:石橋弘毅)

▲マイペースなヴィジャイ・クマール・シン(演:松田岳)

以前のインタビューで、多くの兼役を演じると話してくれたのは久保田秀敏だ。具体的にどの役を演じるのかは、ぜひ劇場でその目で確認してもらいたいのだが、1つの舞台でこれだけ様々な芝居を観られることもそうそうないだろう。改めて役者・久保田秀敏の積み重ねてきた経験を感じられる時間となった。本役であるノーマン・キングスタットについては、実に楽しそうという言葉に尽きる。初日以降、どんな遊び心を挟んできてくれるのかぜひ注目を。

▲ゲネプロでも自由に暴れたノーマン・キングスタット(演:久保田秀敏)

▲クロンダイクファミリーのボビー・ボール(演:里中将道)

原作で、バーナードがクリスに「マイスイートホームは1つである必要はありません」と語るシーンがある。観客にとっても、この『HIGH CARD the STAGE – CRACK A HAND』が何度も帰りたくなる“マイスイートホーム”になるのではないだろうか。この作品には、それだけの愛と温かさが詰まっていた。

『HIGH CARD the STAGE – CRACK A HAND』は1月29日(月)まで東京・シアター1010にて上演される。

オフィシャル会見レポート

会見にはフィン役の赤澤遼太郎、クリス役の丘山晴己、レオ役の石橋弘毅ウェンディ役の七木奏音、ヴィジャイ役の松田岳の5人が登壇した。

初日を迎える心境については、丘山が「すごくワクワクするようなスリリングな作品になったんじゃないかなと思います。ここからお客さんが入り、千秋楽に向けてどんどん右肩上がっちゃう♪そんな作品にしたいなと思っております」とチャーミングにコメント。「右肩上がり」なリアクションをみんなで真似して、序盤から盛り上がりを見せた。

少し緊張しているとこぼした石橋は「物語はもちろんですが、原作さんのこだわり抜いた部分を形にした衣裳や小道具、映像」も見どころとしてアピール。主演を務める赤澤は「舞台ならではの歌やダンスのシーンもあって、キャラクターが3次元に出現している感が味わえてすごく楽しいんじゃないかなと思います」と見どころを挙げた。

稽古場でのエピソードでは、演出家・山本一慶に話題が集中。松田は「みんなをまとめる統率力とユーモア、そして役者が気持ちよく演技できるように進めてくださる」点を素晴らしいとべた褒め。「一慶ブラボー! 一慶ブラボー!」と喝采を送ると、赤澤が「きっと今どこかでニヤニヤしてますね」といたずらっ子のような笑みをこぼした。

赤澤は「一慶くん以外のエピソードで…」と、ハイカードの5人で中華料理屋に油淋鶏を食べにいったエピソードを披露。演出家・山本からの「もっと仲良くなってください」の言葉がきっかけで、食事会の翌日の稽古では「めちゃくちゃ仲良くなったね」と言ってもらえたのだと嬉しそうに語った。

最後に意気込みを聞かれ、松田は「お客さまがすごくハッピーな気持ちで帰路につけるよう、頑張って魂に届けたい」、七木は「このカンパニーが集まるとこんなに明るくて楽しい空間になるんだってことをすごく実感しています。そういう私達の力も、皆さまに届けられることを本当に幸せに思っています」、石橋はアニメ2期が始まったことに触れ「皆さんに口コミで面白いと広めてもらえるような作品を届けるので、そこから舞台2期もやろうという声が上がるよう、志を持って頑張りたい」とコメント。

丘山は「皆さまがハイカードロスになる将来を僕はもう見越しています」と自信を覗かせる。「皆さまに病みつきになってもらえるような作品に絶対になります。なんで私(チケットを)買ってなかったんだろう、となることは目に見えていますので、ぜひぜひ1回、2回、3回、必ず来てください」と、しっかり笑いも取りながら作品をアピールした。

赤澤は本番前に、丘山とともに原作声優と対談する機会があったことを紹介。そこで赤澤は、フィン役の佐藤元から、実際にお守りとして持っていたスペードの2のカードを「フィンは託すから」とバトンとして受け取ったそう。赤澤は胸ポケットからそのカードを取り出すと「一緒にハイカードを盛り上げていこうという温かさを感じた」「よりハイカードの輪が広がるような、そんな舞台にできればなと思っています」と熱く意気込みを語り、会見を締めくくった。

取材・文・撮影:双海しお

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