須賀健太×加藤憲史郎、今までもこれからも色々な人が楽しめる作品に 劇団「ハイキュー!!」始動
2021年に終幕したハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」。
シリーズ完結後もファンからの支持が絶えない作品だが、2023年8月には劇団「ハイキュー!!」の旗揚げ公演が上演される。新たに発足したカンパニーはどんな「ハイキュー!!」の世界を見せてくれるのか…。
2.5ジゲン!!では、ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」シリーズで日向翔陽を演じ、今作で自身初の演出を手掛ける須賀健太と、今作で主人公・日向翔陽を演じる加藤憲史郎にインタビューを実施。
公演への意気込みや役作り、原作についての想いをたっぷりと語ってもらった。
――「ハイキュー!!」が新たな舞台作品になって帰って来るというお話をいただいたときのお気持ちはいかがでしたか。
須賀:ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」というシリーズは、2021年に完結しました。コロナ禍ということもあり、全公演をきれいに終えることができなかったんです。僕は(最終作に)出演していたわけではなかったのですが、過去に関わらせていただいたこともあり、悔しい思いもありました。
そんな中で、「ハイキュー!!」を舞台作品としてこれから先にも残していきたいという話をプロデューサーさんから聞きました。どうにか僕もそこに参加したい気持ちがありましたが、日向を演じるには年齢や他にもいろんな課題があり、演出をさせていただくことになったんです。
いまだに「夢なんじゃないかな?」と思うこともありますし、不安でいっぱいなんですけど、もともと「演出をやってみたい」という気持ちもありましたので、このうえない機会をいただけたことが本当にうれしいです。
加藤:この作品に関われることになったとき、本当にうれしく思う反面、僕でいいのかという不安もありました。日が経てば経つ程に不安は大きくなりますが、わからないことをわからないままにせず、須賀さんや周りの方と前に前に進んでいきたいと思います。
――加藤さんは、もともと原作は読まれていましたか?
加藤:漫画とアニメに触れていて、もちろん舞台も拝見していました。物語がすごく深く、バレーボールを知らなくてもバレーボールを好きになれる作品だと思いました。
――須賀さんの頭の中には、すでに演出プランがありますか?
須賀:これ、演出家がよく聞かれるやつですね(笑)。まだ、話し合いの最中ではあります。今まで演劇「ハイキュー!!」の中で培われたメソッドを取り入れつつも、新しいことに挑戦していきたいなとも思います。
僕が演出をする“エモさ”を取り入れたいとは思いますが、使いどころを間違えず、押しつけがましくならないようにしたいと思います。大前提として作品を届けることが大切ですし、過去を前に出し過ぎないよう、本質を見極めつつやっていきたいです。あとは泥臭くしていきたいですね。
演出プランについては、……内緒です(笑)。
ウォーリー木下さんは、クリエイティブな発想を役者に持ってほしいという方でした。稽古が始まって皆でスーパーレシーブやジャンプサーブを考えるという時間もありましたし、今回も(それは)取り入れたいです。皆で模索していきたいですね。
――加藤さんは(日向の)お手本が演出をされるにあたって、期待することはありますか?
加藤:須賀さんは日向翔陽というキャラクターの教科書だと思っているので、わからないことがあれば一緒に考えたいですし、教えてほしいです。須賀さんを信じてついていきたいと思っています。
――演出や演じる際に、楽しみなシーンはありますか?
須賀:演じたいところ、ある?
加藤:1番の不安で1番の楽しみは、日向が「飛ぶ」シーンです。僕は彼みたいに脚力がないので、頑張ってトレーニングをして飛べるようになりたいなと思っています。
須賀:僕は全部楽しみですが、烏野が舞台上に集まった時の姿を早く見たいですね。もちろん演出家なので感傷に浸っている場合ではないんですけど、僕は演じる側も演出側もどちらの側面も知っているので、彼らの姿を見たときにどう感じるか楽しみです。
――ビジュアル撮影はすでに終えられているとお伺いしています。実際に衣装を着てみていかがでしたか?
加藤:衣装を着た時点でこのうえなく幸せだと思えて、本当にはしゃいでいました(笑)。
須賀:僕らのときと、ユニフォームの素材が違うんですよ。よりスポーティーになっていて、少し不思議な感覚がありましたね。僕の関わり方も演じてくれるキャストも全員違うので、いい意味で別の視点で見ることができていると思います。
僕は今回オーディションにも携わらせていただいたので、キャスト全員と面識はあるんですが、ビジュアル撮影だと個別になるじゃないですか。全員集まった姿を見るのが楽しみですね。
――オーディションをされるときに、須賀さんが重要視していたポイントはどこでしょうか。加藤さんを日向に選んだ決め手を教えてください。
須賀:2.5次元(作品)はキャラクターがいるので、それと合っているかどうかというのが大前提ですが、そこに役者さんが持ってくるものってそれぞれ違うと思うので、「今作にフィットするか」という点で見ていました。
あとはフィジカルですね。「ハイキュー!!」は動きも多いですし、感情をどれだけ体に乗せられるかという点も合わせて見ていました。
(加藤くんの)決め手として、1つは年齢があります。僕が日向をしたときは20歳か21歳くらいでした。舞台は、年齢を厳密に再現するわけではないですが、高校生の彼らが成長していく物語というのが大前提にあるので、リアルな年代の子たちがそれを演じる説得力・リアリティを求めました。
――加藤さんは、オーディションに参加された時はいかがでしたか?
須賀:めちゃくちゃ緊張していたよね。このまま倒れるんじゃないかってくらい(笑)。だから1回呼んで、「緊張しなくていいよ」って言いました。
加藤:はじめから終わりまで、ずっと緊張していましたね。「大丈夫だよ」って声を掛けていただいたんですけど、ずっと緊張した状態でオーディションを受けました。
――緊張しっぱなしのオーディションだったとのことですが、手応えはありましたか?
加藤:なかったですね。ご縁をいただいた時は、驚き100%、喜び200%っていう感じでした(笑)。
――お2人とも、子役から活躍してきたという共通点がありますね。お互いの第一印象や、今の段階での印象はいかがでしょうか。
須賀:プライベートで会話をするっていう機会が、まだ意外とないんです。でも僕は、笑顔が素敵だなって最初に思いました。本人的には「ネガティブで緊張しい、本番前にはお腹が痛くなる」そうでして。日向とは真逆なのかもしれないですけど、笑顔だったり特有の人懐こさだったり、あとは見た目が似ているんです。僕初演のとき全然似てなくて(笑)、だから安心しました。
身長は同じくらいなんですけど、高校1年生だからまだ伸びていきそうですね。僕とは全然違う役者人生を歩んでいくと思います(笑)。本人はネガティブって言ってますけど、負けん気みたいなのはあるんじゃないかなと思います。そういうところを引き出していきたいですね。
加藤:初めてお会いしたときからすごく気さくで、お兄ちゃんみたいな方だと思いました。僕が緊張しているときに「大丈夫」って言ってくれたり、ビジュアル撮影のときも声を掛けてくださったり、本当に優しい方です。
わからないことがあったら、安心して聞きやすいと思います。こういうときはどういう動きをする方がいいのかなど、アドバイスをいただいてたくさん吸収していけると思っています。
――では、お2人が考える、「日向翔陽」の魅力はどんなところですか?
加藤:僕の性格とは真逆になるんですけど、日向はポジティブで、前へ前へ進んでいく姿が魅力だと思います。僕は仕事の前に緊張してお腹をくだすのですが、そこは翔陽も一緒ですね。共通点として演じやすいところかなと思います。
須賀:好きが原動力になっているところだと思います。3年半演じさせていただきましたが、すべての行動のもとを辿ると「バレーボールが好き」「もっと試合に出ていたい」など原動力のすべてが好きから始まっていて、気持ちに素直に向き合っているところが魅力的です。表現していく途中で日向が持つエネルギーに負けてしまいそうになるくらい、太陽のような人だと思っています。
彼を3年半演じていたからこそ、素の僕の人格も変わったと思います。
21歳の年から演じさせてもらっていましたが、明るくなったかもしれない。物事に対して斜に構えなくなりました。好きなことに対して全身全霊で向き合うってすごくいいことだって彼を通して思うようになったので、演じられてよかったですし、今も1番の魅力だと思っています。
――加藤さんは、今作で日向を演じるにあたって、どんな風に役作りをしていきたいですか?
加藤:まずは、ネガティブなところを直していけたらと思っています。日向は好きからすべてが始まるような人なので、物事に対してどれくらい関心を持っていけるかが大切だと思います。僕は今高校1年生なんですけど、高校生活を通して日向の毎日を体感していけたらと思っています。日向みたいに諦めずに最後まで取り組めるよう、頑張っていきたいです。
――須賀さんから、演出家としてアドバイスやメッセージはございますか?
須賀:僕が前日向を演じていたとき、演出のウォーリーさんが「各々の役を1番理解しているのは役者自身なので、それを持って来てください」と言ってくださって。すごく心強く、怖い言葉でもありました。今回僕はそれを踏襲するというか、同じ気持ちでいたいと思っています。
演出家は役者を縛り付けるのではなく、信頼するのも仕事だと思っています。信頼をキャストの皆さんに託して、かつ役者だからこそわかる組み立て方や悩みは手助けできたらと思います。僕は日向を演じていたので加藤くんとの関係性を注目されがちだし、熱量が高くなりがちですが、すべての役に対してフラットに向き合っていきたいと思います。これから僕自身に課したい課題ですね。
加藤くんは本当にけがに気を付けて、たくさん食べて、頑張ってほしいですね。困ったことがあったら何でも聞いてほしいです。演出家としては初めてですが、役を作り上げていく過程で僕は力になれるかと思います。たくさん頼ってください。
――最後に、意気込みとメッセージをお願いします。
加藤:がむしゃらに、全力で日向翔陽を演じていきます。楽しみにしていてください!
須賀:今まで演劇「ハイキュー!!」を応援してくださっていた皆さん、今回から知ってくださる皆さん、いろんな方に楽しんでもらえる作品にしたいと思います。何より原作の持つ力が素晴らしいので、そこをお伝えできるように頑張っていきます。いたらぬ点は多々あるかと思いますが、ぜひ劇場でお待ちしております。よろしくお願いします。
取材・文:水川ひかる/撮影:ケイヒカル/須賀健太・加藤憲史郎 ヘアメイク:山崎はつみ/須賀健太 スタイリスト:立山功/加藤憲史郎 スタイリスト:浅井直樹(Vigroo)
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