

「道案内で隣のホームにまで」山口女流二段が語る、藤井五冠・羽生九段の棋士としての魅力
藤井聡太五冠と羽生善治九段という、将棋ファンならずとも名前を知る天才棋士同士のタイトル戦が1月8日から開幕する。この歴史的一戦を見届けたい将棋初心者に向けて、『将棋フォーカス』(NHK)でMCを務めるほか自身のYouTubeチャンネルで将棋普及に力を入れる山口恵梨子女流二段に、注目ポイントや普段の2人のエピソードを聞いた。
──昨今「観る将」という将棋の楽しみ方もありますが、初心者の人がプロ棋士の対局を見る際、観戦のポイントなどはありますか。
山口 昔の将棋のテレビ番組ではどっちが勝っているか、ぱっと見では分からなかったじゃないですか。でも今はAIの進化により、画面に評価値が出るので、形勢が分かりやすくなったと思います。例外はありますが、プロ同士の対局だと70対30になると、ほとんど70の方が勝ちます。自分の応援している棋士の数字を見るだけでも楽しめるんじゃないでしょうか? あとは対局者の表情ですね。評価値で見ると負けている時でも自信があるような表情をする棋士もいます。その場合は、本人に勝ち筋が見えている場合もあります。
──表情と評価値で形勢判断できるんですね。
山口 それと、将棋の序盤と終盤にも注目ですね。序盤のゆったりした、まだ形勢に差がつかない時間帯と、終盤のどちらかが確実に形勢がいいという時間帯で、全然違う空気感を感じてほしいです。特に終盤の勝ち負けが決まるギリギリの戦いの場面ですね。例えば藤井先生の場合、終盤が強すぎて、終盤で優勢だとそのまま寄り切ってしまうので、終盤に入るちょっと手前くらいが一番面白いかも。だいたい2日目の午後3時頃が見どころですかね。棋士にも得意分野があり、序盤型と終盤型の棋士がいます。藤井先生はどの場面も強いんですが、特に終盤が強いですから。
──羽生九段も終盤型ですよね?
山口 そうですね。羽生先生も終盤で何度も逆転勝ちをされて、「羽生マジック」と言われていました。ただ、羽生先生は年齢を重ねるにつれ戦い方を変えていくと明言されているので、今はどちらかというとバランス型かもしれません。
──序盤は定跡通りのことも多いので、ほかの棋士の方も終盤型が多いのでしょうか?
山口 そうでもないですよ。藤井先生が終盤で強すぎるので、藤井先生に勝つためには、序中盤で差を付けなくては勝負にならないと序盤を研究する棋士が増えている印象です。
──1人の棋士の戦い方がほかの棋士の戦い方に影響を与えるということですね。山口さん自身はAIを研究などで使われているのでしょうか。
山口 私含め、ほとんどの棋士はAIを研究に使っていますね。メリットしかないので、ほぼ9割だと思います。将棋の研究の最前線はAIで、それをみんなで追いかけているという感じでしょうか。今の時代はAIが指し示す手をすべて理解した後でないと自分の将棋が作れないというか、強くなる上でAIでの研究はやるべきなんじゃないかなと思います。一方で、人間同士の将棋の魅力もありますよ。人と人の勝負は、時間や体力によってお互いがミスを犯すので、そこが面白いところなんだと思います。
──プロ棋士の対局にはドラマがありますよね。
山口 そうなんですよ! 精神的なものが対局中の棋士の表情に出るので、将棋が分からない方も対局者の姿だけでも見て楽しんでもらえるんじゃないでしょうか? 王将戦は囲碁将棋チャンネルで観戦できますし、今回はABEMAでペーパービュー、1月8日・9日の第1局はYouTubeで無料配信もされるのでぜひ!
──山口さんから見て、藤井五冠と羽生九段の盤外でのエピソードなどあれば教えてください。
山口 羽生先生と以前お仕事が一緒になったとき、新幹線の駅のホームで羽生先生が外国の方に話しかけられたことがあって。羽生先生は英語がネイティブ並みに堪能なので、その方と話されていたのですが、突然2人で歩きだしてホームからいなくなってしまって。「どうしたのかな?」と思っていたんですけど、どうやらわざわざ隣のホームまで一緒に行って道案内をしていたらしくて。お優しい羽生先生の人柄がよく分かる出来事でした(笑)。
──ほっこりとしたエピソードですね(笑)。藤井五冠のエピソードはありますか?
山口 タイトル戦の聞き手で地方に行ったとき、みんなで地元のお土産を買いに行ったんですよ。そのお店の棚に「昨日の対局で藤井五冠が食べたお菓子!」というポップが貼ってあって。藤井先生本人がそれを見てなのか、味が気に入っていたのか、並んで買っていたところを目撃しました。
──まさかの本人が購入するという?
山口 とても律儀な方だなと思いました。でもお店の人は藤井先生にまったく気が付いていなかったです(笑)。
──お二方とも将棋の天才ですが、盤を離れた素の顔はとても可愛らしい感じですね。さて、話は変わりますが、2022年を振り返って将棋界はいかがでしたでしょうか。
山口 私自身は『将棋フォーカス』(NHK)という番組のMCを担当していまして、それで初心者向けに解説する仕事が増えました。棋士のキャラや個性が面白いので、もっと1人ひとりの棋士のキャラクターを知ってもらえたらいいなと思いますね。
──2022年の将棋界のニュースですと、アマチュアの小山怜央さんがプロになるための棋士編入試験を受けて、棋士養成機関の「奨励会」で修業した経験のない初のケースで話題になりました。
山口 やはりAIソフトでの研究が自分だけでできるようになったのが大きいかなと思います。またネット対戦の環境など、将棋を勉強する環境が変化したのかなと思いました。
──山口さん自身で印象に残った2022年の将棋界の出来事はありますか?
山口 私は女流棋士なので、やはり里見香奈女流五冠の棋士編入試験が印象に残りましたね。結果は不合格だったんですが、里見さんが資格を得るための公式戦で指された将棋がすごくいい将棋で、「人はこんなに将棋に強くなれるんだ」ととても刺激を受けました。ほかにも奨励会三段リーグで頑張っている中七海三段がいるので、女性のプロ棋士への道が徐々に開けてきているのかもしれません。
──コロナも収まったとは言えませんが、最近ではリアルイベントなどの機会も徐々に増えてきました。2023年は将棋大会や将棋イベントなどはあるのでしょうか。
山口 まさに今、千駄ヶ谷にある将棋会館を新しく建て直すプロジェクトのクラウドファンディングをやっていまして。私は返礼品の方でリアルイベントをやらせていただく予定です(笑)。新・将棋会館は駅近くで、建物も大きくなる予定ですので、皆様のご支援をお待ちしております!
(取材・文/中村佳太)▽山口恵梨子(やまぐち・えりこ)1991年10月12日生まれ、鳥取県出身。堀口弘治七段門下。日本将棋連盟所属の女流二段。激しい攻め将棋の気風から“攻める大和撫子”の異名を持つ。ゆるふわコミックエッセイ『山口恵梨子(えりりん)の女流棋士の日々』(竹書房)が現在2巻まで発売中。
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