【舞いあがれ!】言葉を大事にする脚本が戻ってきたら、「反省会タグ」が沈静化していた!
その涙に、多くの視聴者も想いを一つにしていたようだ。
12月22日放送の情報番組「あさイチ」(NHK)では、毎回恒例の朝ドラ受けで鈴木奈穂子アナが涙ながらに声を絞り出す場面があった。
この日はNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第59回にて、息子の不登校に悩む母親の美知留(辻本みず希)が子育ての辛さを吐露。「どうして、うちの子だけ…」と慟哭しながら涙を流す姿が映し出された。
鈴木アナは「多くの母親がすごく…ね、同じ思いを抱えたんじゃないかなってちょっと」と、目にうっすらと涙をたたえながらコメント。自身も4歳の娘を育てる母親とあって、美知留の気持ちは手に取るように分かるのだろう。
そんな鈴木アナの想いは朝ドラ視聴者たちの心に響いたようで、<こっちも泣きそうになりました><全母親が共感>といったツイートが続出。今週から「舞いあがれ!」の舞台が長崎・五島に変わったことに伴い、登場人物の繊細な心理描写が観る者の心に響いているようだ。
「第8週~11週の『航空学校編』では、それまでの繊細な描写が一気に影を潜め、ドタバタ活劇へと変化。航空学校が舞台ゆえに学園ものテイストが入るのは致し方ないものの、作中で交わされる会話の内容に深みがなく、肝心の恋バナも唐突感ばかりが粗目立ちし、まるで別のドラマに様変わりしたかのようでした。それが今週から脚本家が元に戻ったからか、視聴者の受け止め方も大きく様変わりすることとなったのです」(テレビ誌ライター)
本作では第7週までの五島列島編やなにわバードマン編を、桑原亮子氏が担当。それが航空学校編では航空関連の専門用語が多く飛び交うといった理由から、嶋田うれ葉氏と佃良太の2人に交代していた。
その航空学校編に入った途端、作品に関するツイートは一挙に荒れることに。それまではどんな場面に感動したとか、どんなセリフが刺さったのかをハッシュタグ「#舞いあがれ」を付けてつぶやいていたものが、航空学校編では反省会タグの「#舞いあがれ反省会」が一気に勢いを増し、本タグよりも活性化していたのである。
「ツッコミどころ満載の航空学校編では視聴者の不満や怒りが爆発。作品に対する批判が反省会タグと共に噴出しました。それでも最初のうちはいいねが数十件~数百件程度に収まっていましたが、後半になると1000件以上のいいねが付く反省会ツイートも続出。とくにヒロインの岩倉舞(福原遥)が同期の柏木(目黒蓮)と交際することになってからは《離脱しました》と宣言する視聴者も急増し、まだ全体の半分も放送されていないうちから末期症状を呈していたのです」(前出・テレビ誌ライター)
そんな荒れまくっていた「舞いあがれ!」関連のツイートだが、第12週の「翼を休める島」に入ってからは、またもや様変わりすることに。脚本が桑原氏に戻り、ヒロインの舞も元の性格に戻ったことにより、反省会タグによるツイートも日を追うごとに減っていったのである。
不登校児の朝陽がベランダで南天を並べて星座図を作ったりしている際には、そこに現れた舞があえて朝陽に話しかけることなく、フライトのイメージトレーニングを始めることに。そんな舞に対して視聴者からは、前週までなら舞がしつこく朝陽に話しかけていたはずとの指摘と共に、<本来の舞が戻ってきた>との声があがっているようだ。
「その舞に加え、子育ての苦しさを訴える母親の美知留にしろ、舞の不安を受け止めた祖母の祥子(高畑淳子)にしろ、誰一人として語り過ぎることなく、それでいて自分の気持ちをしっかりと表現していました。そうやって言葉を大切にする物語を視聴者は心待ちにしていたのです。それが実現されたいま、ツイッターでは反省会タグのつぶやきが激減。いいねの数も十分の一以下へと減り、《本タグに戻ります》と宣言する視聴者もいるほどです」(前出・テレビ誌ライター)
いまやすっかり鎮静化した反省会タグ。思えば5年ほど前から朝ドラ界隈ではおなじみになっていた反省会タグだが、本来は本タグの陰でひっそりと、ちょっとした不満や疑問をつぶやくために使われていたものだった。
それが史上最悪の朝ドラと呼ばれた前作の「ちむどんどん」にて、「#ちむどんどん反省会」タグが爆発的に流行。その勢いは今年の新語・流行語大賞にノミネートされたほどだ。
これですっかり市民権を得た反省会タグだが、作品の出来が素晴らしければ、そもそも使う機会が少ないもの。どうやら「舞いあがれ!」の視聴者たちはいまや、反省会タグを使う必要性を感じなくなってきているようだ。
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