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『39歳』ヨン・ウジンが“ロマンス職人”の異名を語る「40歳目前、年齢に合わせた愛の形を出したい」

2022.11.25 07:03
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日本でも人気の高い韓国俳優ヨン・ウジンが主演する映画『夜明けの詩』が、11月25日(金)に全国で公開される。韓国版の『ジョゼと虎と魚たち』が話題となったキム・ジョングァン監督の最新作となる本作は、冬のソウルを舞台にしたヒーリングストーリー。心に深い葛藤を抱える主人公、小説家のチャンソクを演じるヨン・ウジンに作品について、また40代を目前にした今の心境など話を聞いた。

韓国では2021年3月に公開された本作『夜明けの詩』。生と死、時間、記憶という深遠なテーマを描きつつも、心に寄り添う癒しの物語として話題となった作品だ。日本での公開にあたり、ヨン・ウジンも「一人で寂しい思いをしている人の慰めになる作品」だと語る。

「今、喪失を感じながら生きている人たちがとても多いと感じています。空虚感や寂しさのなかで、癒しを求めている人がたくさんいる時代なのかなと。韓国では昨年、新型コロナウイルス感染症の影響が一番ひどかったときに公開され、僕もそのときに初めてこの映画を観たんですが、皆さんの気持ちを柔らかくほぐしてあげられるような映画になっているなと思いました。僕自身もこの映画に慰められましたし、日本でも癒されたいと思っている人に観ていただきたいです」

本作でヨン・ウジンが演じるのは、あることをきっかけに心を閉ざし、7年ぶりにイギリスからソウルに帰ってくる小説家チャンソク。同じように苦悩を抱えながらも人生を歩み続ける人々との出会いと別れから、自分自身と向き合うようになっていくチャンソクの姿が幻想的な世界観のなかで描かれていく。

「夕暮れの公園で、編集者の後輩と一緒にタバコを吸うシーンが好きですね。会話を続けながら、どんどん日が暮れて最終的には二人の顔が見えなくなるほどの暗さのなか、タバコの火だけが赤く燃えている。そのわずかな火の明かりというのが、ある意味“希望”なのかなと。暗闇のなかでも、そういった小さな希望を目指してみるのが大事なんだと、それがあのシーンには集約されているし、この映画の伝えたいことなのかなと思います」

主人公のチャンソクが出会う人々の一人、喫茶店でともに時間を過ごす女性ミヨンは、是枝裕和監督が『ベイビー・ブローカー』への出演を熱望したことでも知られる韓国トップスター、IUことイ・ジウンが演じる。

「キム・ジョングァン監督はリーディングをとても重視する方で、この映画も撮影前にたくさんリーディングが行われたのですが、イ・ジウンさんはそのときから素晴らしく、役者としていろいろなことを発揮できる人だなと感じました。撮影は短時間でしたが、『イ・ジウンさんを信じていこう』という監督の言葉も力になりましたし、信頼感を持ちながらスムーズに撮影できた感覚があります。僕は逆に彼女がこの映画をどう思っているか、とても気になっているんですよ。機会があったら聞いてみたいです」

人々との出会いと別れを繰り返すチャンソク役は「聞き役に徹した感覚に面白みがあった」と話すヨン・ウジン。またひとつ自分が成長できたと感じる作品になったという。

「独特のキャラクターを持っている方々だったので、それぞれのカラーがよく出たシーンになっていると思います。彼らが染料だとすると、僕は水や油のようなそれをうまく溶かすような役割。これまでとはまた違う感覚で演じることができました。演技を通して自分のなかで整理できない、小さなさざ波のような気持ちを見直すような感覚もあり、それは俳優としてだけでなく、一人の人間ヨン・ウジンとしても必要な視点だったなと。それを感じられたからこそより成熟した演技者になれた気もしています。そして、それは監督のおかげでもあり、これからも一緒に作品を作っていきたいと強く感じました」

ラブストーリーの印象が強く“ロマンス職人”という異名も持つ。演じる際に“ロマンス職人”という一面を意識することはあるのか、と尋ねると「僕自身はテーマにあわせた役作りに励んでいるだけなんですけど、ラブコメやロマンスの色合いが強い作品に多く出ているから、日本でもそういう風に言われているのかな」と笑う。

「ただ愛の感情というものは、これからもずっと表現していきたいものですね。演じる役の年齢やシチュエーションにもよって変わりますが、僕ももう40歳になりますし、それに合わせた愛の形を作品ごとに出していきたいと思っています。そんな自分を、日本の方にも末永く愛していただきたいです」

数え年で39歳を迎えた今年は、『愛の不時着』のソン・イェジンが主演したドラマ『39歳』で包容力のある大人の男性を魅力的に演じた一方で、映画『愛に奉仕せよ』での大胆なラブシーンも話題に。40代を目前に「時間の流れに敏感になってきた」と変化を明かす。

「時間の流れを大切にしたい気持ちが強くなったと同時に、最近は仕事と私生活をより分けていった方がいいと思うようにもなりました。仕事だけやっていてもダメだし、私生活にだけ重きを置いてもうまくいかない。混同せずにきちっと分けることで、さまざまな角度から物事が見られるようになり、いろいろなアイデアが生まれてくるんじゃないかなと思っています。僕の仕事の原動力は家族。いい息子であり、いい兄で在りたい。家族の幸せを願う気持ちが演技者として努力するベースだということは、今後も変わらない部分だと思います」

『パラサイト 半地下の家族』のアカデミー賞受賞や、Netflixドラマ『イカゲーム』のエミー賞6冠など、昨今は韓国のエンターテインメントが世界的に人気を博している。その状況をヨン・ウジンは、「これまでの絶え間ない努力が今、大きく花開いたように感じる」と語る。

「そういった素敵な作品が多くある環境で活動できるのは、とても光栄なこと。僕自身は慢心することなく、与えられた役柄をより深く、精一杯演じるように頑張るのみです。それを続けることで、自分にまたチャンスが巡ってくるのかなと。それに期待したいなと思っています」

「『夜明けの詩』はもちろん、今後もより多くの人々に韓国のドラマや映画を愛してほしいです」というヨン・ウジン。本作は「ぜひ劇場で観てほしい映画」だと力を込める。

「最近、濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』を劇場で観たんですが、大泣きして帰ってきたんです。やっぱり映画は劇場で観てこそだと感じました。この『夜明けの詩』も劇場で観てこそ魅力が伝わる作品です。観れば観るほどいろんな視点を感じることができる映画だと思いますので、何度も劇場に足を運んでいただけたら嬉しいです」

(取材・文/吉田光枝)

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