軽度知的障害を持つ女性の恋愛を描いた「初恋、ざらり」が話題

【漫画】軽度知的障害を持つ女性の漫画に共感の声。「存在を知ってほしい」作者の経験を映した恋愛物語

2022.06.17 18:35
軽度知的障害を持つ女性の恋愛を描いた「初恋、ざらり」が話題

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回紹介するのは、軽度の知的障害を持つ女性の恋愛を描いたざくざくろさんの「初恋、ざらり」。同作は2021年3月からTwitterで連載をスタート。回を重ねるごとに人気を伸ばして、2022年1月28日に投稿した最終回(90話)のツイートには、3.2万いいね(6月2日現在)が集まった。また、2022年4月13日に単行本(紙書籍)上下巻が発売され、5月には重版が決まるなど話題を集めている。今回は、作者のざくざくろさんに話を伺い、創作の背景などを語ってもらった。

必要とされたら拒めない25歳女性のリアルな恋愛模様

軽度の知的障害を抱える25歳の有紗。もともとコンパニオンとして働いていたが、とあるきっかけで配送センターの仕事に就くことになる。

配送センターでは、岡村という男性社員に仕事を教えてもらうことになった有紗だが、午前と午後を「AM」「PM」と表記することがわからずミスをしてしまう。そのとき、「オレも最近まで知らんかったし!」とフォローしてくれたことがきっかけで、徐々に岡村のことが気になり始める。

ミスや人間関係が原因でクビになることが多くアルバイトを転々としていた有紗は、自分に強い劣等感を抱えていた。「自分が世界に必要とされるには“普通”でなければいけない」「でも自分はバカだから人より努力をしなければいけない」と思っており、必要とされたら拒めずに、男性と体の関係を持つことで、自分の価値を確認していた。そんな中で岡村の優しさに触れ、恋に落ちる。

不器用ながらもまっすぐな有紗と、戸惑いながらも根気強く有紗と向き合い続ける岡村。ふたりの恋模様を通して「普通とは何か」を問いかける同作。連載回数と共に人気を伸ばし、Twitterで最終回を投稿した際には、「電車の中で泣きそうになりました」「こんな素敵な作品に出会えて幸せです」など読者からの温かいメッセージが数多く寄せられた。コメントには、有紗の抱える“生きづらさ”に対する共感の声も多く、悩みを抱えながら日々を過ごす人たちの心に響く物語になっている。

「感情を妄想で描かないこと」作者自身の実体験や経験を映した物語

――「初恋、ざらり」は「障害」や「生きづらさ」というセンシティブなテーマを扱った作品かと思いますが、創作のきっかけや思いをお教えください。

私自身が発達障害があることや、周りに知的障害・精神障害のある友人も多かったことがきっかけのひとつです。なので私にとっては身近なテーマを描きたかったということがあります。

また、障害をセンシティブなこととは特に思っていません。ときどき、障害を腫物として扱っているなと感じる場面に出会うこともあり、そこも疑問に感じていた部分なので、私の作品をきっかけに障害への理解が少しでも進めばいいなと思って描きはじめました。

――本作を描くうえで、こだわった部分、また特に難しかったことなどがあればお教えください。

第一に、登場人物の感情を細かく描くことにこだわりました。感情に関しては、もちろん自分と向き合い、観察したものも入っていますが、今まで私が出会ったさまざまな方を参考にもしています。それゆえ妄想で描かないことを心がけました。テンプレートの感情表現にしないで描くことを意識しました。一方で感情を細かく描くためには自分の体験や記憶を思い出さなければならず、自分の中の嫌な感情を思い出すのに苦労し、辛かった部分もあります。

例えばわかりやすい例でいうと、電子書籍2巻(コルク版)の描き下ろしに収録した「ある日の夕方」では、元夫に好きと言われて返せない気持ちを、有紗のママに投影して描きました。

――本作は90話で最終回を迎えましたが、最終回までのプロットは連載開始当初から作り込んでいらっしゃいましたか?

感情曲線とざっくりとした展開以外は、そこまで細かくは決めていませんでした。クライマックスで「あれは確かに わたしの初恋だった」というシーンが出てくるのですが、そのシーン自体は決まっていましたが、その前後の展開は特に決めずに描いていきました。

――この作品を通して、読者に伝えたいことはありますか?

伝えたいことがあるから描いたというよりは、「有紗のようなひとたちがこういうふうに生活してるんですよ」という“人間”を描いただけ。一方で、今まで日常で障害にふれる機会があまりなかった方たちに、有紗たちの存在を知ってもらうことで、怖がったり不安に思ったりすることが減るなら嬉しいと思います。

――単行本(紙書籍)の上下巻発売にあわせて「サインキャンペーン」(※)を実施されていましたが、この企画を考えた経緯をお教えください。

同じ事務所に所属する作家・岸田奈美さんが以前実施されていた応募者全員サインキャンペーンがきっかけです。もともと岸田奈美さんの、ファンの方や読者さんへの向き合い方を参考にさせてもらっていたこともあって、後ろに続かせてもらいました。サインと一緒にメッセージカードやポストカードを同封して返送しているのですが、それはオリジナルで作りました。

※購入した書籍を事務所に送付すると、著者がサインを書いて返送する企画。現在はキャンペーン終了

――最後に、応援してくれているファンや読者にメッセージがあればお願いします。

今後は恋愛でないものを描く予定もあります。それもぜひ読んでいただけると嬉しいです。

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