藤ヶ谷太輔(提供写真)

Kis-My-Ft2藤ヶ谷太輔、主演舞台決定 4年ぶりストレートプレイで古典作品に初挑戦<野鴨-Vildanden->

2022.05.25 04:00

Kis-My-Ft2藤ヶ谷太輔が、9月3日~18日に世田谷パブリックシアター、9月21日~25日に兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホールにて上演される舞台『野鴨-Vildanden-』で主演を務めることが決定した。


ヘンリック・イプセン「野鴨-Vildanden-」

ノルウェーの劇作家ヘンリック・イプセン氏は、19世紀ヨーロッパで主流とされていたヴィクトリア朝的な価値観、行きすぎた厳格さや節制を美徳とする偽善的な社会観念を批評し、悪に立ち向かう高潔さを描いた勧善懲悪が期待されていた当時の演劇に革命をもたらした人物。シェイクスピア以後、世界で最も盛んに上演されてきた劇作家とも言われ、そんな近代演劇の創設者が1884年に発表した珠玉の名作が『野鴨』。イプセン氏は、納屋を“嘘”、外の世界を“真実”、そして“野鴨”を我々人間に例えることで、自己欺瞞によって自らを守ろうとする人間の弱さや、独りよがりの正義を振りかざす愚かしさを見事に描き出した。

この偉大な作品に挑戦するのは、戯曲の面白さを最大限に引き出す演出家・上村聡史氏。観客の想像力を刺激する演出とともに、物語のもつ命題にどのように迫るのか。

藤ヶ谷太輔、舞台「野鴨-Vildanden-」主演決定

理想を追い求め、真実こそが正義だと信じてやまない“正義病”のグレーゲルスを演じるのは、アイドル活動に留まらず、俳優として舞台・映画・ドラマで活躍し続ける藤ヶ谷。2018年の舞台『そして僕は途方に暮れる』では平凡な青年が突如、孤独と絶望を経験していくという難役に挑み、静かな中にも圧倒的なエネルギーを舞台上で放ち強い印象を残した。それから4年振りのストレートプレイ挑戦となる今作では、理想を追求するグレーゲルスをどのように演じるのか、歴史的名作戯曲に初めて挑む藤ヶ谷の新境地が期待される。

主演を務める藤ヶ谷は「お芝居をすること、表現をすることが大好きなので、まずはそういった環境を与えてくださり、チャンスに巡り合えたことが嬉しいです。名作なので、もちろんプレッシャーもありますが、怖がらず飛び込んでいければ、と今は思っています」と新境地への本音を明かした。

そして、妻と娘に恵まれ幸せに暮らしているグレーゲルスの幼馴染・ヤルマールを、これまで出演した数多くの映画・ドラマで個性的な役柄を怪演し評判を呼んできた忍成修吾が、豪商ヴェルレと関係のあった過去を持つヤルマールの妻・ギーナを、ドラマ・舞台で活躍し『ブラッケン・ムーア~荒地の亡霊~』(19)、『森 フォレ』(21)から3度目の上村演出を受ける前田亜季が、ヤルマールとギーナの娘・ヘドヴィクを、舞台を中心に活躍しNODA・MAPやこまつ座の公演で演技力を培ってきた八幡みゆきが演じる。

さらに、エクダル老人と過去に確執があるグレーゲルスの父・豪商ヴェルレを、長年演劇界を牽引し続け、多くの演出家から熱い支持を受けるベテラン俳優・大鷹明良が、軍の元中尉という過去の栄光から一転、今は落ちぶれてしまったヤルマールの父・エクダル老人を、舞台はもちろん映画・ドラマと数多くの話題作で視聴者に鮮烈な印象を与えている名バイプレーヤー・浅野和之が演じる。

嘘偽りの上に築かれた幸せが真実に晒されるとき、果たして正義はどこに存在するのか。人々の価値観を根底から揺さぶる悲劇の結末。上村が創り出す劇空間と演技派俳優陣の肉声が融合し、これまでにない演劇体験をお届けする。(modelpress編集部)

グレーゲルス役:藤ヶ谷太輔コメント

お芝居をすること、表現をすることが大好きなので、まずはそういった環境を与えてくださり、チャンスに巡り合えたことが嬉しいです。名作なので、もちろんプレッシャーもありますが、怖がらず飛び込んでいければ、と今は思っています。

僕が演じるグレーゲルスは、“正義病”と言われるくらい正義感が強く、それが裏目に出てしまう役でもあります。彼の信じる正義が物語に大きく関わるのですが、きっと観てくださるお客さまもどこか他人事とは思えないと感じていただけるはずです。

演出の上村さんは、以前作品を拝見したことがあり、空間の使い方や言葉の届け方がとても素敵な印象がございます。また、上村さんと一緒にお仕事をしたことがあるA.B.C-Zの河合郁人くんからは、お芝居を一緒に考えてくださる演出家さんだと伺いました。僕も先日お会いして色々とお話させていただく中で、すでにもう信頼を置いています。

この作品は、「真実」「嘘」「正義」がキーワードで、現代に通ずることがたくさんあります。お客さま自身にも観て、感じて、考えていただけることがたくさんあると思いますので、僕もしっかりそれを演じ届けられるように頑張ります。ぜひ、劇場にいらしてください。

上村聡史(演出)コメント

“近代演劇の父”と言われるイプセンの『野鴨』は、わかりやすく組み立てられた筋立てながらも、貧しさの中での幸福の意味や、信念と孤独の葛藤といった現代人にも通じるテーマが明快で、決して古びない物語性を感じます。

また登場人物が、ある瞬間かなり大胆な行動を起こすあたりに劇的な魅力があり、それを演じる俳優の醍醐味を想像すると一層の面白さがあります。そしてその姿は、儚くも見えれば、笑えてしまうような場面が多々あり、『野鴨』は、まさにお芝居の宝石箱のような作品です。

イプセンが140年程前に創作した“グレーゲルス・ヴェルレ”というキャラクターも中々な人物で、今の時代にもある自粛警察やバッシングにも似た「独善的な正義」を、家族や親友、そして子供にまでふりかざし、三日間の物語時間を暴走します。その暴走は、まさしく心理ホラーといっても過言ではないくらいのスリリングさがあるでしょう。そんなヤバい男を、藤ヶ谷太輔さんと共に創っていくのですが、藤ヶ谷さんの頭の回転の速さ、シャープな立ち姿、クールでありながらもユーモアに満ちた感性におおいに頼らせていただき、ただの“狂気”だけで片付けることのできない、今の私たちの中にある「執念」をしっかりと描いていきたいと思います。

あらすじ

豪商ヴェルレの息子グレーゲルスは久しぶりに山にある工場から戻り、幸せな家庭生活を送っている親友ヤルマールに再会する。そこで父ヴェルレの使用人だったギーナが、ヤルマールの妻になっていることを知り、ある疑惑が芽生える。グレーゲルスとヤルマール二人の父親は、かつて工場を共同経営していたが、ヤルマールの父エクダルがある事件の罪を一手にかぶり投獄され、家族は没落してしまった。

また、ヤルマールの妻ギーナは、過去に父ヴェルレとただならぬ関係があり、その負い目から、父ヴェルレはヤルマール家に援助を与えていた。そのささやかな家族の幸福は、嘘で塗り固められた土台の上に立っていた。友に真実を告げて、真の幸福な家庭を手に入れてほしいと願うグレーゲルスだったが…。
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