

放送作家・オークラ「書くたびにどんどん思い出しちゃって…」担当編集が明かす著書執筆の裏側

バナナマンや東京03らと深い関わりをもつ放送作家・オークラが、昨年12月に著書「自意識とコメディの日々」(太田出版)を出版した。同書は、お笑いコンビとしてデビューしたものの、己の限界を知り作家に転身。バナナマン、東京03、おぎやはぎ、ラーメンズらと出会い、数々のコントなどを生み出してきたオークラのお笑い自伝となっている。担当編集者の続木順平氏は、オークラが著書執筆にあたり、「書くたびにどんどん思い出しちゃって(書くのが)やめられない」と言っていたことを明かす。また、オークラのすごさとして、「“作品を面白くしたい”という志の高さ」を挙げた。
あまりに正確で鮮明だった、オークラが語る「90年代後半のお笑いシーン」
――本書は「Quick Japan」での連載がもとになっていますが、改めて連載スタートの経緯をお聞かせください。
そもそもは2015年に「Quick Japan」でバカリズムさんの特集があった時に、「バカリズムがブレイクした道のり」についてオークラさんを取材したのがきっかけでした。1995年に初めて当時コンビ時代のバカリズムを見た時の衝撃から、テレビでの「ボキャブラ」「爆笑オンエアバトル」「エンタの神様」など、当時求められていたテレビのお笑いとバカリズムの生み出すシステムの笑いとの相性について、裏側では何が起こっていたのかを事細かにお話をしてくださったんです。その時、紙にブワーッと時系列に出来事を書いて説明してくださった内容があまりに正確で鮮明で、「あれ?90年代後半のお笑いシーンについて主観も客観も入れて語れる人ってオークラさんしかいないのでは?」と、連載をお願いしたいと思うようになっていました。
タイトル「20代芸人A君は笑いで天下がとれるのか?」で連載スタート
連載については相談をしながら2016年、「20代芸人A君は笑いで天下がとれるのか?」というタイトルでスタートしました。そのままですが、今この時代のお笑い界で若手芸人が天下をとろうとするならば、どのような立ち回りをすれば実現できるのか、オークラさんなりに見てきたもので「お笑い指南本」を作ってみようというものでした。
しかし連載を進めるうちに「今の時代で言う“天下”って何なんだ?」という、テレビだけではない活躍の舞台が多く登場し、“それぞれの分野で好きなことをするのがいい”というムードに入っていきました。次第に本筋とは違うオークラさんのエピソードトークのほうが面白くなってきたので、オークラさんの人生を書いていれば何かが見えてくるかもと、関わってきた人たちとのお話を書いていただくようになり、今の本に近いかたちに変化していきました。
どの時間帯に連絡しても連絡がくるオークラに「一体いつ寝ているのだろうか」
――書籍化にあたって印象的だったエピソードをお聞かせください。
刊行にあたりオークラさんの半生のストーリーにしていくなかで、5年続いた連載内容を時系列に整理していたのですが、バナナマンさんとの交流やザキヤマさんの変貌事件など同時多発的に起こっていることが複数あり、どうしても説明的になってしまう箇所が出てきました。一度オークラさんと相談したところ、それらがつながり合う未出のお話がどんどん出てきまして、バラバラだったものがひとつの物語になっていくのがイメージできた時、オークラさんの頭の中にストーリーが出来上がってるのだと確信でき、その時はうれしかったですね。
結果2020年に出す予定だったのが、2021年12月まで1年近く延びてしまいましたが、それらを思い出していくのに必要な時間だったと今では思っています。普段の作業で印象的だったのは、どの時間帯に連絡をしてもだいたい返事が来ますので一体いつ寝ているのだろうかと思うことがあります。
――書籍内ではいろんな芸人さんとの交流など、オークラさんのエピソードも多数紹介されています。特に印象的だったお話をお教えください。
ラーメンズ、小林賢太郎さんのお話は印象的でした。ラーメンズについての原稿は事前に受け取っていたのですが、「コバケンには思うところがあるから書き直していいですか」と連絡がありました。その後いただいた原稿には、当時ラーメンズがなぜ他の芸人さんたちより抜きん出ることができたのか、あるひとつのコントをフックにその才能についてより丁寧に触れる原稿になっておりまして、それだけでも十分思いが伝わってきました。さらに、本文の最後にオークラさんから激励ともとれるメッセージが入っており、同じ世代でお笑いに熱中してきた仲だからこそ伝わる言葉の重みに感動したのを覚えています。静かに熱いものを出してくるオークラさんの流儀に触れられた気がします。
オークラのすごさは「“作品を面白くしたい”という志の高さ」
――担当編集者の目から見た、オークラさんのすごさをお聞かせください。
たくさんあるのですが、本に関してですと「作品を面白くしたい」という志の高さでしょうか。原稿執筆時に、「20年以上も前の細かい会話をよく覚えているなあ」とその記憶力にいつも驚くのですが、それをグワーッと書いても面白くなくて、やっぱり書き方・見せ方を工夫しないと面白くならないじゃないですか。それって結構な作業だと思うのですが、常に忙しい方なのに「良きものを作るために」の精神を崩さずに自分の中で面白いと思える合格ラインを目指して書き続けられること、「さらにまだ面白くできるのでは」と上を目指そうと作業をストップしないのがすごいです。
この本も本当にギリギリまで書く作業を続けていました。「書くたびにどんどん思い出しちゃって(書くのが)やめられない」と言って、最終的には当初予定していた文字数の倍になっていまして、さすがにストップしないと本が出せないとなった時は恐怖を感じました(笑)。原稿をいただくたびに面白くなっていくので、「もっと見たい、でも終わらせないと」という心のせめぎ合いが大変でしたが、デザイナーさんや印刷所ともお話をして「ギリギリまでやりましょう」と万全の体制で構えておりました。
――本書の読みどころをお教えください。
メインはオークラさんの自伝的なストーリーなのですが、テーマの核としてあるのは自意識の変化です。「俺が一番面白い!」と息巻いていた人が多くの才能に出会い打ちひしがれるなか、どのように自意識を保っていったのか。自己実現の方法、人脈の作り方、チャンスを形にすることなど、お笑いに限らない仕事の処世術が詰まった1冊ですのでそこにも注目して読んでいただけるとより楽しいと思います。
また、「漫才」ではなく「コント」をベースにそれぞれの生き様も描かれております。「コント」で生計を立てるのがいかに大変か、そしてその価値を上げようと尽力しているオークラさんの奮闘ぶりにも注目いただけますとありがたいです。
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