<最愛>及川光博が“不気味ッチー”を演じる上での苦労を明かす「油断するとキラキラしちゃうんです(笑)」【インタビュー】
吉高由里子が主演を務める金曜ドラマ「最愛」(毎週金曜夜10:00-10:54、TBS系) の第6話が、11月19日(金)に放送される。このたび、同作に出演中の及川光博にインタビューを実施。不気味な存在感のある役どころを演じている及川に、個性豊かな共演者の印象や、放送前から話題になっていた“鼻血シーン”の裏側、そして台本にも書かれていない自身の役柄の“愛おしいところ”などについて語ってもらった。
同作は、金曜ドラマ「アンナチュラル」(2018年)や「MIU404」(2020年)を生み出してきたプロデューサー・新井順子氏と演出・塚原あゆ子氏、そして2人とは金曜ドラマ「夜行観覧車」(2013年)、「リバース」(2017年、4作全てTBS系)でタッグを組んだ脚本家の奥寺佐渡子氏と清水友佳子氏が手掛ける完全オリジナルドラマ。
殺人事件の重要参考人となった実業家・梨央(吉高)と、梨央の初恋の相手であり事件の真相を追う刑事・大輝(松下洸平)、そして、あらゆる手段で梨央を守ろうとする弁護士・加瀬(井浦新)の3人を中心に、15年前の失踪事件から現在の連続殺人事件へとつながる謎に迫るサスペンスラブストーリーだ。
及川は梨央が社長を務める「真田ウェルネス」の専務で、社長の座を奪われたことから梨央とは対立関係にある後藤信介を演じている。
「細かい部分まで気持ち悪くしています」
――オファーを引き受けた理由を教えてください。
プロットを読んだときに“残酷な事件とロマンスの融合を見てみたい”と思ったんです。でも、決定打は塚原監督とご一緒できることでしたね。
「グランメゾン東京」(2019年、TBS系)で初めてご一緒させていただいたんですが、ノンストレスだったんです。楽しい思い出しか頭に浮かばないくらい。打ち上げで(塚原監督に)「ぜひまたご一緒したいです」と伝えたら、今回のようなチャンスが巡ってきました。
後藤は「グランメゾン東京」で演じた相沢と全く違うキャラクターなので、どう料理していただけるか楽しみながら撮影しています。
――ここまで演じてみて “後藤信介”はどのような人物でしょうか?
後藤は4話冒頭のモノローグで端的に現れているように、孤独で会社が大好きな人間だと思っています。恐らくですが、完璧主義で人を信用していません。
そして最近僕が気になっているのは、薬師丸ひろ子さん演じる梓社長に対しての感情は(後藤にとって)ちょっとスペシャルなんじゃないかなと考察しています。梓社長に対してはふと人間的な表情を見せることがあるんです。さあ、どうなんでしょうか?(笑)
――後藤を演じるにあたり“癖のある衣装がいい”ということでマオカラーになったとのことですが、他にこだわっている部分やアドリブを入れたシーンはありますか?
こだわりはメークさんがかなり細かくキャラクターデザインをしてくださって、前髪にわざとうねりを出し、整髪料で嫌なツヤを出して“気持ち悪さ”を演出している部分です。不気味な存在感を出すために、みんなで細かい部分まで気持ち悪くしています。それが僕自身楽しかったりするんですが(笑)。
――お芝居でのアドリブはあるんですか?
アドリブは全くないです。演じるにあたって表情筋も極力使わず、身ぶり手ぶりも封印しています。これは僕が意識してやっていることなんですけれども、動かないからこその感情表現が難しくもあり楽しい部分でもあります。
――新井さんや塚原監督から言われて印象に残っている演出や指示はありますか?
基本的に「無表情で何を考えているか分からない男」「不気味な存在感」という打ち合わせの下、僕も余計なことをしないように努めているので、あまり細かな指示はされません。
強いて言えば第1話を撮影中に後藤の癖を塚原監督と一緒に考えて、せっかくの詰襟なので襟を直すという癖がプラスされました。なので、やり過ぎない程度に襟を直しています。
第5話で井浦新くん演じる加瀬に責められて、肩のあたりをつかまれたときに後藤が(手を)払いながら襟を直すっていうシーンがありましたが、これはアドリブでしたね。演じる中でおのずと出てきました。
「珍しく僕に懐いてくれる後輩」
――「真田ウェルネス」の代表取締役社長・梨央を演じる吉高由里子さんと共演してみていかがですか?
吉高ちゃんは天才です。天才的な瞬間を目の前で何度も見たので、素直に天才だと思います。
――どのような天才ぶりなんでしょうか?
切り替えがすごいです。本番が始まる前はスタッフや出演者と談笑しているのですが、本番が始まった瞬間の演技には引き込まれる素晴らしいものがあるなと思います。
――「真田ウェルネス」の弁護士・加瀬を演じる井浦新さんはいかがですか?
井浦さんはマイペースで、物事の掘り下げ方が深い方だなと。学者肌というか。基本ニュートラルでいて、自分で自分の色を決めないからこそ、いろんな役柄にはまるんだろうなと思います。
――そして真田グループの闇を追う、フリーライター・しおりを演じる田中みな実さんはいかがですか?
田中みな実さんは頑張り屋さんだなと思います、集中力がすごい。楽屋でごあいさつするときはもちろん朗らかに笑顔でお話するんだけれども、現場に入るとずっと役のままですね。セルフプロデュースできる方ですから、現場に入った瞬間から意識を変えているんだと思います。
――事件を追う刑事・大輝を演じる松下洸平さんとはあまり共演シーンがないですよね?
洸平は仲が良いのに全然絡むシーンがないんですよね(笑)。珍しく僕に懐いてくれる後輩なのに。
――現場でもお会いすることはないんですか?
擦れ違ったりはします。ただ、前に共演したときと比べて日焼けしているし、むきっとしているし、マスクをしていたから最初誰か分からなかったんです(笑)。洸平は人の目を見てちゃんと話を聞く、いいやつです。
――第4話での鼻血シーンは放送前から話題になっていましたが、放送後反響はありましたか?
家族は大変喜んでいました(笑)。とにかく絵的にインパクトがあるじゃないですか。後藤を演じていて少しでも爪痕を残せたという点では (鼻血を)出してよかったです!
――鼻血を出すというのはいつ頃から決まっていたのですか?
この話は結構早いうちに監督から相談されていました。もちろん「全く問題ないです」と回答しましたが、何度も本番ができるシーンではないので「全集中!鼻血の呼吸」で出しました(笑)。
「心変わりができるように備えています」
――今回、後藤の不気味な存在感から“不気味ッチー”と呼ばれていますが、このワードについてファンの方たちから何か反響はありましたか?
うちのベイベーたちはもう慣れたものですよ。嫌味な役をやれば“嫌味ッチー”、キザな役をやれば“キザミッチー”、朝イチのロケで顔がむくんでいたら“むくミッチー”。バリエーションをみんな楽しんでくれていると思います(笑)。
――“不気味ッチー”は演じていて楽しいですか?
(即答して)楽しいです。ただ1クールでいいかなとは思っています…(笑)。この役どころがずっと続くのはつらいなっていうのはあります。顔の筋肉を動かさないってそれなりにストレスなんですよ。
――ヒール役を演じる楽しさや難しさがあれば教えてください。
日常の自分と切り離せるところです。役に引っ張られたりするタイプでもないので切り替えて楽しんでいます。逆に難しいところは佇まいや所作に自分らしさを出さないことです。かなり意識をしないとにじみ出てしまうので…。
――油断すると自分が出てきてしまうんですか?
油断するとキラキラしちゃうんです(笑)。
――ドラマでは主人公の仲間を演じることもあれば、対立する役どころを演じることもあるかと思います。及川さんはどちらにより面白さを感じますか?
どちらも役を演じるという意味では面白いです。僕の場合、親友役や仲間側にいてもいつ裏切るか分からないというパターンが多いんですよね(笑)。毎回最初の打ち合わせで「今回は裏切りますか?」って聞きたくなるくらい。
なので、敵対しようと仲間であろうとエンターテインメントとして多くの人に楽しんでもらえるようにいつでも心変わりができるように備えています。
――今回のドラマのタイトルにちなんで後藤の“最も愛おしいところ”を教えてください。
(少し前のめりになりながら)後藤って、会社の中やその周辺ではマオカラーのジャケットなんですが、帰宅するときや外出の際は普通にスーツとネクタイなんですよ。ここが最愛ポイント! 後藤は会社に来てわざわざ着替えているんです(笑)。
「どんなこだわりだ!」と思うんですが、マイルールなんでしょうね。きっと後藤の美学なんですよ。なので、専務室にはマオカラーがハンガーラックにずらりと並んでいるんです。これは台本上どこにも説明されていないんですけど、僕は気付いてしまって。そこが人として愛おしいなと思います(笑)。
――最後にドラマ後半のご自身の見どころと、読者へメッセージをお願いします。
しつこく付きまとってくる、フリーライターのしおりとどう決着をつけるか。そして、後藤が最も隠したかった真実とは何か。さらに次の鼻血チャンスはいつか(笑)。楽しみにしていてください。
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