<おかえりモネ>西島秀俊、“ヒロイン導く存在”で魅力発揮!内野聖陽と「何食べ」コンビ対面にも期待
“朝ドラ”こと連続テレビ小説「おかえりモネ」(毎週月~土曜朝8:00-8:15ほか、NHK総合ほか※土曜は月~金曜の振り返り)の第7週「サヤカさんの木」で主人公・モネこと百音(清原果耶)は登米に来て2年、森林組合の仕事にもやりがいを感じるが気象予報士への興味も捨てられず迷っていた。そこに再び現れた気象予報士・朝岡(西島秀俊)が百音に手を差し伸べた。百音の進路決定に重要な役を果たす朝岡を演じる西島秀俊の魅力を、フリーライターでドラマ・映画などエンタメ作品に関する記事を多数執筆する木俣冬が解説する。(以下、一部ネタバレが含まれます)
西島秀俊の語る言葉は刺さるというより染みいってくる
百音が登米にやって来たのは、震災の被害を受けたとき、地元にいなかったことで「でも、あの日、私……何もできなかった」と無力感に苛まれたから。
彼女の気持ちを受けて、朝岡は「何もできなかったと思っているのは、あなただけではありません」と励ます(第33回)。
「何もできなかったと思う人は、次はきっと何かできるようになりたいと強く思うでしょ? その思いは私達を動かすエンジンです」(朝岡)
朝岡もまた震災のとき、気象予報士として役に立とうと宮城で活動していた。4年経過してもなお、自分なりにできることを模索している。
朝岡は、気象予報によって、事前に天気を察知し、被害を避ける準備をできるようにしようと考えている。「大切なものを守る時間」を「リードタイム」と呼ぶ朝岡に百音は感化されていく。
朝岡は染みる名言をよく言う。第5回で、朝岡が百音に言った「霧は、いつか晴れます」も名言だった。
西島秀俊の語る言葉は刺さるというより染みいってくる。登場人物の情がじわじわとひたひたと心に波及していく効果が西島秀俊の魅力のひとつである。
内野聖陽との共演作「きのう、何食べた?」がヒット
西島秀俊は、1993年、愛と青春の群像劇・ドラマ「あすなろ白書」(フジテレビ)で注目され人気俳優となった。1994年、「居酒屋ゆうれい」で初映画出演。大衆的なエンタメ作品から作家性の高い映画作品まで幅広く出演、2011年アミール・ナデリ監督作「CUT」では海外の映画賞を受賞し、実力を確たるものにする。
昨今のヒット作は、「おかえりモネ」で百音の父・耕治役を務めている内野聖陽が演じる美容師との同居生活を描く「きのう、何食べた?」(テレビ東京)通称“何食べ”で、劇場版も11月3日(水)に公開予定。同作の脚本は「おかえりモネ」と同じく安達奈緒子だ。
現在は、主演ドラマ「シェフは名探偵」(テレビ東京)で名シェフを好演中。一時期、「MOZU」シリーズや「奥様は、取り扱い注意」などで公安のイメージが強かったが、最近は料理上手のイメージに。
体幹の整った姿勢の良い身体が扱う武器や調理器具はその機能美を存分に発揮して見える。でも本人は「圧倒的に強いよりも、ぼろぼろになりながらも勝つようなアクションが好みなんです。だからあえてやられている箇所を作りたくなってしまうんですよね(笑)」と劇場版「奥様は取り扱い注意」の取材(「クロワッサン」2021年3月10日号より)では語っていた。
やっぱりすぱっと一撃で刺すかっこいいアクションより、ぼろぼろになりながら戦い続けることもじわじわの美学である。
朝ドラ「純情きらり」「とと姉ちゃん」でも重要な役
朝ドラは「純情きらり」(2006年度前期)、「とと姉ちゃん」(2016年度前期)に続き、「おかえりモネ」が3作目となる。西島の朝ドラの歴史を振り返ってみよう。
西島が初めて朝ドラに出演した「純情きらり」では、主人公・桜子(宮崎あおい※「崎」は「たつさき」)の姉(寺島しのぶ)の夫を演じた。
東北出身の画家で信念が強く、戦争時、協力を求められても応じず我が芸術道をゆく。
この自分の道をゆくところが曲者で、妻がいるにもかかわらず、主人公と芸術を通して特別な心を通わせていくのである。
そこは良心が咎める部分もあって、あくまで気持ちだけなのだが、芸術や人生のありようを共有することは何よりも深く、ある種罪深く、その背徳感がドラマを盛りに盛り上げた。
複雑な心模様を西島はみごとに演じたのである。ここでもまたじわじわと想いが伝播していった。
続いて「とと姉ちゃん」では主人公・常子(高畑充希)のお父さん役。真面目に働いてきたが、結核にかかって妻子を残して亡くなってしまう。
そのとき、常子に父代わりになるよう遺言を残したため、常子は生涯独身を貫き、妹たちを嫁に出し、家を建てるという家長の責任を全うしようと奮闘することになる。そんなつもりはなかったであろうが、娘の生き方を規定してしまったわけだ。
でも穏やかな善人のイメージを最後まで貫いた。出ていなくても、常子たち家族を見守るやさしい眼差しを感じるような存在感を前半で作り出していた。
三度目の朝ドラ「おかえりモネ」では主人公の仕事の面をリードする先輩的役割。
言ってみれば仕事の面での父のような存在である。今後、百音が気象予報士になって東京に出ると、百音を見守るのは朝岡の役割になるだろう。
前述のとおり、百音の父・耕治を演じている内野聖陽とは「きのう何食べた?」で息のあった共演をしている。
「おかえりモネ」ではまだ、耕治がテレビ画面越しに朝岡が天気予報を伝えている姿を見ている場面があるのみ。でもそのとき百音に「こういう人がタイプか」と聞いて、百音より自分のタイプであろうというツッコミを視聴者からはSNSでされていた(第16回)。
ぜひとも、どこかで、画面越しでなく直接共演してほしい。
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