乃木坂46・清宮レイ、初のコメディ舞台に「“この子も面白いじゃん”って思っていただけるように」
舞台『3年B組皆川先生~2.5時幻目~』が、6月17日(木)より東京・本多劇場で上演される。
大人計画の皆川猿時と荒川良々らが出演、細川徹が作・演出を手掛けた『あぶない刑事にヨロシク』シリーズ2作品の後継となる本作では、皆川や荒川ら前作・前々作の主要キャストが再集結、引き続き細川の作・演出で“2.5次元的”学園モノの舞台を届ける。
そして今回、新キャストとして同シリーズに参加するのが、乃木坂46の清宮レイ。6月9日リリースの27thシングル『ごめんねFingers crossed』でも選抜メンバーに選出され勢いに乗る清宮は、本作がグループ外部の舞台初出演となる。今回、2.5ジゲン!!では清宮にインタビューを実施、本作に懸ける意気込みやこれまでの演技歴について話を聞いた。
――今回、「大人計画」の方々が主体となったシリーズの最新作『3年B組皆川先生~2.5時幻目~』に出演されます。大人計画や共演される俳優の方々について、どんなイメージがありますか?
大人計画に所属されている宮藤官九郎さんの作品をよく見ていました。私はドラマや映画を見る時に、監督さんや脚本の方のお名前から興味を持つことが多くて。宮藤さんが脚本を担当されたドラマ「ごめんね青春!」(TBS系)がとても好きなんです。それと今回、出演させていただくことになって改めて劇団の方々を調べてみて、いろんな場所で活躍されている俳優さんがたくさんいらっしゃって、すごいなあと思いました。あとは、生田絵梨花さんが出演された舞台『キレイ』ですよね。生田さんが『キレイ』で結果を残して道を作ってくださって、そこに今回は私が呼んでいただけたと思うので、その道を閉ざさないようにと思っています。
――今回、清宮さんが出演されるシリーズは、『キレイ』ともまた少しテイストが違いますよね。過去2作から考えても、やはり笑いが絶えない作品になりそうです。
そうなんですよ! 本当に面白くて。もう台本を見せたいくらい(笑)。早く観てほしいですね。
――その個性的な作品に、清宮さんご自身がキャストとして入っていきます。どんな雰囲気になりそうですか?
どうなるんでしょう…(笑)。共演者に世代の近い方もあまりいないですし、大丈夫なんだろうか、っていう不安は大きいですね。でも、その不安がちょっと楽しみ、みたいなところもあります。なんて言ったらいいんだろうな、わくわく系の不安です(笑)。
――清宮さんが演じられる役は、作品の中でどんな役割を担うのでしょうか?
まだ、かっちりと決まっているわけではなくて、これからお稽古の中で柔軟に役が作られていくとは思うんですけど、今のところは真面目な学級委員です。しっかりしていて、変わり者の生徒たちの中で1人だけまとも。だけどちょっと変な人、みたいな(笑)。根本は真面目で正義感が強い役なので、共演する皆さんの演じる変な人具合をより際立たせるために、普通の人を精一杯演じようと思います。他のキャストの皆さんは本当に癖が強いので、私が基準になるというか、皆さんの癖がしっかりと伝わるようにしたいですね。
――清宮さんの舞台活動といえば、乃木坂46に加入したばかりの頃に、『3人のプリンシパル』(2019年)がありました。当時、人前で演じる経験をしてみて、どのような感想を持ったか覚えていますか?
あの時はなんかもう、舞台に出ることで必死でした。自分でよくできたと思ったことは一度もなかったかもしれないですね。『プリンシパル』は第一幕がオーディション形式になっていて、観客の皆さんの投票で選ばれたメンバーが、第二幕の舞台に立って劇を上演することができるんですけど、二幕に出られたときも…どうだったかな。うまくできなかったなっていう不安だった記憶が強いですかね。
――第一幕の方はオーディションでありつつ、オーディション参加者を演じている芝居のような雰囲気もありました。印象に残っていることなどはありますか。
「携帯電話をお切りください」などの諸注意を事前にみんなで録っていて、それを開演前に会場に流すんですけど、その放送が流れている間、私たちは舞台上で雑巾がけをしてステージをきれいにしておくという演出があったんです。全員で横一列に揃って、雑巾がけしながら進んでいくのがすごく難しかったんですね。この間、公演当時の動画が公式動画サイト「のぎ動画」で公開されたので、初日と最終日の映像をみんなで見たんですよ。そうしたら、初日はバラバラだったのに、最終日にはきれいに一列になっていて。自分たちでは気付かなかったけど、そのシーンも他の台詞なども含めて、うまくなっていっていたんだなと思って。
あと、私たちを審査する役の方が灰皿を投げる演出があったんですけど、一度、灰皿を強く投げ過ぎちゃって、観客席の方に飛んで行っちゃったんです。そこでアドリブで「ごめんね」みたいな台詞を観客の方に言っていて。それでちょっと気持ちがほぐれて、楽しかった思い出があります。とはいえ、基本的には『プリンシパル』は難しくて…。
――キャストそれぞれに特定の役が決まっておらず、公演当日の観客投票で第二幕の配役を決定する『プリンシパル』は、かなり特殊な舞台だと思います。
特殊ですよね。初めてだったこともあって、まだ台詞の覚え方も知らない状態でした。なので、制作のスタッフの方がすごく私たちに寄り添ってくださって。自分たちが舞台上に立っていない時間はモニターで舞台の様子を見ていたんですけど、そのときにスタッフの方が冷凍のチャーハンを買ってきてくださって、みんなで集まってチャーハンを食べたりして(笑)。その後も、当時食べていたものを食べるたびに、「ああ、プリンシパル…」って思い出しますね(笑)。
――清宮さんが演技をする機会としては昨年、ドラマ「猿に会う」(dTV)で、同じく4期メンバー・賀喜遥香さん、柴田柚菜さんとともに主演されています。3人の会話や振る舞いがとてもナチュラルだったのが印象的ですが、どのように演技を作っていったのでしょうか?
アドリブなどはほぼ入っていなくて、台本がしっかりありましたね。監督さんから、役に入り込むというよりは、自分が喋っている言葉みたいにしていこうというお話がありました。なので、台詞を言っているというより、本当に2人に話しかけているような感じが多かったです。普段のままの3人の関係性とあまり変わらない役だったというのもあると思うんですけど。賀喜遥香ちゃんがすごくナチュラルで上手だったこともあって、そのおかげで普段通りやれたのかもしれません。
――演技について、3人で話し合ったりもされましたか?
撮影が始まる前日にライブがあって、翌日から3~4泊くらい泊まり込みで撮っていたので、一緒にいる時間は本当に長かったですね。(栃木県の)日光で撮ったんですけど、泊まる部屋も3人一緒だったんですよ。なので、夜に撮影が終わってから寝るまでの間、台本の確認をしたりしていました。「ここはこういう感情じゃない?」「ここでこういう顔をするのは違うんじゃない?」と、結構話し合って。自分一人ではなかなか読み取れないことも多くて、3人で言い合いながら撮影が進んでいきました。でも私、「猿に会う」を第2話までしか見られてないんです…。なんか、自分が出てくるって分かっているから、見るのが恥ずかしくて(笑)。ナチュラルな演技に見えていたなら良かったです(笑)。
――第2話まで見てみて、ご自身の演技はどう見えましたか?
そんなにたどたどしくはなかったというか。棒読みになったり目線がキョロキョロしてしまったりということを気にしていたんですけど、そういうことはそんなになかったかな。でも、自分で見てどう思ったかというと、…うーん、良くもないけど悪くもない(笑)。
――この一年ほどは新型コロナウイルスの感染拡大もあり、乃木坂46の活動としても有観客でのイベントが難しい状況が続いています。舞台演劇は比較的、対策の環境が整っていることもあり、『3年B組皆川先生~2.5時幻目~』ではお客さんを目の前にしての公演になりますね。
乃木坂46のライブも、有観客の予定だったものが無観客になってしまったこともあり、とても残念でした。ライブの他に音楽番組などの収録でも、本当ならいらっしゃるはずの観覧の方々がいなかったりという状況で。なかなか目の前で観てもらえる感覚がなかったので楽しみです。どのくらい笑ってくれているのかなども、画面越しより直接のほうが伝わりやすいですし。でも初のコメディの舞台ということもあり、直に観客の方の反応を受けるので、ちょっと不安でもありますけど。
――ここしばらくは、他の乃木坂46メンバーの方々の舞台を観ることも難しかったですね。
そうですね、観に行く予定だった作品も急遽、観られないということになったりして。でも最近だと、(樋口)日奈さんが出演された『フラガール』を観に行かせていただいて、久しぶりの生の舞台だったのでテンションが上がりましたね。フラダンスで舞台に立つ方々の物語だったので、芸能をやっている自分たちの感覚と少し重なるところもあって、すごく響きました。
――『3年B組皆川先生~2.5時幻目~』と同じ時期には、他の乃木坂46メンバー出演の舞台も多数上演されます。他の舞台に出演されるメンバーと話し合ったりすることはありますか?
私は筒井あやめちゃん(6~7月に舞台『目頭を押さえた』出演)とよく一緒にいるので、やっぱり舞台の話にはなります。公演期間が本当に重なっているので、観に行くのはちょっと難しいのかもしれないんですけど…。あやめちゃんは訛(なま)りとかもある役で、すごく頑張っていますね。お互いに作品のジャンルは全く違うんですけど、お互いに乃木坂メンバーのいない舞台に出演するのが初めてなので、不安に感じることが結構重なったりするんです。同じ気持ちを持っている人が近くにいるっていうだけでちょっと楽になりますし、二人でよく話していますね。
――清宮さんご自身は、今回の舞台で何を見せていきたいですか?
観に来てくださった方が、「この子も面白いじゃん」って思っていただけるところまで持っていけたらと思います。シリーズのファンの方々は、3作目で急にアイドルが出るの? どんな子なんだろう? と様子を見るような感じもあるかもしれないですし、とにかく共演者の皆さんの空気感にうまく溶け込めたら。期待に応えられるかはまだ分かりませんが、作品を楽しんでもらえたらなと思います。あと、普段は言わせてもらえないだろうなという台詞を言えるのも、ちょっと楽しみです(笑)。
文:香月孝史/撮影:梁瀬玉実/ヘアメイク:森柳伊知/スタイリスト:鬼束香奈子
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