異例のヒット見せる女性誌「LARME」が今、支持される理由 原点は“リア充”へのアンチテーゼ
2016.05.19 13:05
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【LARME/モデルプレス=5月19日】出版不況が叫ばれる中、異例の売れ行きを記録する女性誌がある。「甘くて、かわいい 女の子のファッション絵本。」をコンセプトに2012年9月に創刊された『LARME』だ。“絵本”のように世界観のあるビジュアルでファンを増やし、“LARME系女子”という1つのトレンドを創出。約1年間で発行部数20万部の人気雑誌に成長させたのが、雑誌『小悪魔ageha』の編集者を経て創刊当時26歳で編集長に就任した中郡暖菜氏。17日、都内にて中郡編集長によるトークショーが開催され、「博報堂ケトル」の嶋浩一郎氏が聞き手となり、「『小悪魔ageha』とギャル文化、そして『LARME』が生まれるまで」をテーマにトークを展開した。
同誌は隔月刊で、白石麻衣(乃木坂46)、中村里砂、菅野結以、渡辺美優紀(NMB48)などがレギュラーモデルとして活躍。ターゲットは10代後半から20代の女性。
一見すると全く異なるターゲットのように思える雑誌の編集者から、どのようにして同誌のコンセプトに行き着いたかを問われると、創刊した2012年のファッション誌はスナップが全盛期だったことに言及。表紙には笑顔が溢れ、合コン必勝法などが定番のテーマ…いわゆる“リア充”と呼ばれる人たちが目立っていた当時、「幸せな生活をしていなきゃいけないプレッシャーを感じていた」と明かす。
「ハッピーで充実した部分だけを発信したい女の人って、結構多いと思う」と中郡編集長が言うように、周りの女性誌がそういった女性像に寄り添っていたのに対し、同誌がイメージするのは「等身大で自分の世界に没頭すること」で、「外に出かけなくてもお家の中で写真集を読む感じで楽しんでもらいたい」と願う。それは雑誌名にも表れていて、“LARME”はフランス語で「涙」を意味し、「涙の代わりとして女の子を癒やせる存在になれたら」という思いが込められている。
さらに中郡編集長は「乃木坂の新しいコンセプトは最初からすぐに受け入れられたわけではなく、徐々に時代がそういう流れになっていって、どんどん人気が出てきて、今や乃木坂はAKBに負けない勢いがある」と分析。前のめりで話を聞いていた嶋氏も、「LARMEが受け入れられる感じと乃木坂がヒットする感じは結構シンクロしているんだね」と理解を示していた。
そのため、女性誌では彼氏役などとして登場することが多い男性モデルの起用が少ないことも同誌の特徴。積極的に男性を出演させる傾向にあるギャル雑誌を例にあげ、読者の年齢層が近いながらもターゲット層の違いを認識。男性が表紙を飾った雑誌の売上が好調で、求められる読者層は確実に存在することを前提に置きつつ、「LARMEは男の人を表紙にすることは一生ないですね」とぶれないスタンスを表明した。
童話のヒロインをモチーフにテーマを組むことも多いというが、特に同誌の読者が共感するのは、アリス(ふしぎの国のアリス)やドロシー(オズの魔法使い)。「両方とも少女のアイコンとして強くて、他のヒロインとは違うんですよ。白雪姫でも、シンデレラでもない」と、ヒーロー的存在を抜きに戦うところが、男性を必要としない読者と通じるものがあるという。
SNSの使い方も、遊びに行った様子やセルフィーを投稿するといった一般的な使用法とは一線を画しているそうで、「自慢するためとかリア充アピールではなく、ひたすらかわいい小物をアップしたり、自分の好きな世界を収集するために使っている人が多い」と説明。「加工のフィルターを統一するために以前の投稿を全部削除する子とかいるんですよ」と、自分の好きな世界観に統一したいというコレクター的感覚でSNSを使いこなす読者が多いことを明かした。
独自路線を貫き通す同誌には今までのファッション誌のセオリーを覆す企画が溢れており、このほか、その特性を生かし、これまでヒットした企画も紹介。
ファッション誌で定番の人気を誇るのが、限られたアイテムで何日間ものコーディネートを形成する「着回し企画」。プレゼンの日、女子会の日、デートの日、とシチュエーションに合わせたコーディネートを提案するのが一般的なものだが、同誌では「ロリータガール」をテーマに貫き通す「着回しだけど全部同じテイスト」という異例の内容で実施。それが読者に好評を博し、掲載されたアイテムは店頭で飛ぶように売れたという。
「タイトルはデザインに溶けこませるのがセオリー」で「一枚の絵として可愛いかが重要で、文字が読めるかどうかは重要視していない」のが同誌のため、嶋氏は「ノンバーバル(非言語的)コミュニケーションというか、LINEスタンプと同じだね」と同誌の新しい可能性に期待を寄せた。
2時間以上に及んだこの日のトークショーには、同誌の読者を中心に多数の観客が集結。最後には中郡編集長に様々な質問が寄せられ、イベント後も中郡編集長と議論を交わしたい観客が列をなすなど、盛り上がりを見せていた。(modelpress編集部)
“リア充”へのアンチテーゼ
『小悪魔ageha』編集者時代から企画を準備していたという中郡編集長。「ずっと自分の本が作りたかった」とそのコンセプトは早い段階から固まっていた。一見すると全く異なるターゲットのように思える雑誌の編集者から、どのようにして同誌のコンセプトに行き着いたかを問われると、創刊した2012年のファッション誌はスナップが全盛期だったことに言及。表紙には笑顔が溢れ、合コン必勝法などが定番のテーマ…いわゆる“リア充”と呼ばれる人たちが目立っていた当時、「幸せな生活をしていなきゃいけないプレッシャーを感じていた」と明かす。
「ハッピーで充実した部分だけを発信したい女の人って、結構多いと思う」と中郡編集長が言うように、周りの女性誌がそういった女性像に寄り添っていたのに対し、同誌がイメージするのは「等身大で自分の世界に没頭すること」で、「外に出かけなくてもお家の中で写真集を読む感じで楽しんでもらいたい」と願う。それは雑誌名にも表れていて、“LARME”はフランス語で「涙」を意味し、「涙の代わりとして女の子を癒やせる存在になれたら」という思いが込められている。
『LARME』は「AKBじゃなくて乃木坂」
中郡編集長いわく、同誌のテーマと合致するのが、白石が属するアイドルグループの乃木坂46。「乃木坂は今までになかった新しいアイドルグループで、そんなに笑わないし、水着にもならないし、スカートも長いし…“女子校感”があって上品でおとなしい、LARMEもそういうかんじなんです」と語ると、嶋氏は「AKB48じゃなくて乃木坂ということだね」と例えに深く納得。
さらに中郡編集長は「乃木坂の新しいコンセプトは最初からすぐに受け入れられたわけではなく、徐々に時代がそういう流れになっていって、どんどん人気が出てきて、今や乃木坂はAKBに負けない勢いがある」と分析。前のめりで話を聞いていた嶋氏も、「LARMEが受け入れられる感じと乃木坂がヒットする感じは結構シンクロしているんだね」と理解を示していた。
男性モデルは滅多に起用せず
さらに、中郡編集長は、“LARME系女子”は“女子校”と通じるため、男性に向けた目線は少なく、徹底した自分の好きなことへの追求心が強く「男の人を必要としていない読者が多い」と語る。
そのため、女性誌では彼氏役などとして登場することが多い男性モデルの起用が少ないことも同誌の特徴。積極的に男性を出演させる傾向にあるギャル雑誌を例にあげ、読者の年齢層が近いながらもターゲット層の違いを認識。男性が表紙を飾った雑誌の売上が好調で、求められる読者層は確実に存在することを前提に置きつつ、「LARMEは男の人を表紙にすることは一生ないですね」とぶれないスタンスを表明した。
童話のヒロインをモチーフにテーマを組むことも多いというが、特に同誌の読者が共感するのは、アリス(ふしぎの国のアリス)やドロシー(オズの魔法使い)。「両方とも少女のアイコンとして強くて、他のヒロインとは違うんですよ。白雪姫でも、シンデレラでもない」と、ヒーロー的存在を抜きに戦うところが、男性を必要としない読者と通じるものがあるという。
異例の“着回し企画”がヒット、セオリーを覆す企画の連続
読者で一番多い年齢は18歳。ファッションやメイクへの意識が高く、そこにあるのは「モテたい」という男ウケの意識ではなく、自分が楽しめるかどうか。可愛い女子が好きな女子や、女子同士で遊ぶことが好きなどという特徴が存在する。
SNSの使い方も、遊びに行った様子やセルフィーを投稿するといった一般的な使用法とは一線を画しているそうで、「自慢するためとかリア充アピールではなく、ひたすらかわいい小物をアップしたり、自分の好きな世界を収集するために使っている人が多い」と説明。「加工のフィルターを統一するために以前の投稿を全部削除する子とかいるんですよ」と、自分の好きな世界観に統一したいというコレクター的感覚でSNSを使いこなす読者が多いことを明かした。
独自路線を貫き通す同誌には今までのファッション誌のセオリーを覆す企画が溢れており、このほか、その特性を生かし、これまでヒットした企画も紹介。
ファッション誌で定番の人気を誇るのが、限られたアイテムで何日間ものコーディネートを形成する「着回し企画」。プレゼンの日、女子会の日、デートの日、とシチュエーションに合わせたコーディネートを提案するのが一般的なものだが、同誌では「ロリータガール」をテーマに貫き通す「着回しだけど全部同じテイスト」という異例の内容で実施。それが読者に好評を博し、掲載されたアイテムは店頭で飛ぶように売れたという。
海外進出に意欲
今後は「日本のカルチャーとして海外で勝負したい」と意気込み。既に海外に読者がいるといい、「雑誌のカラーが強いからそこがいいかなと」と自信をのぞかせる。
「タイトルはデザインに溶けこませるのがセオリー」で「一枚の絵として可愛いかが重要で、文字が読めるかどうかは重要視していない」のが同誌のため、嶋氏は「ノンバーバル(非言語的)コミュニケーションというか、LINEスタンプと同じだね」と同誌の新しい可能性に期待を寄せた。
2時間以上に及んだこの日のトークショーには、同誌の読者を中心に多数の観客が集結。最後には中郡編集長に様々な質問が寄せられ、イベント後も中郡編集長と議論を交わしたい観客が列をなすなど、盛り上がりを見せていた。(modelpress編集部)
中郡暖菜(なかごおり・はるな)プロフィール
1986年生まれ。学生時代から出版社で編集の経験を積み、大学卒業後、女性誌の編集部員を経て、2012年女性向けファッション誌 『LARME』創刊。徳間書店最年少の26歳で編集長に就任する。出版不況が叫ばれる中、約1年間で同誌を人気雑誌に成長させた。嶋浩一郎(しま・こういちろう)プロフィール
1968年生まれ。1993年博報堂入社。コーポレート・コミュニケーション局で企業のPR活動に携わる。2001年朝日新聞社に出向。スターバックスコーヒーなどで販売された若者向け新聞「SEVEN」編集ディレクター。2002年から2004年に博報堂刊『広告』編集長を務める。2004年「本屋大賞」立ち上げに参画。現在NPO本屋大賞実行委員会理事。2006年既存の手法にとらわれないコミュニケーションを実施する「博報堂ケトル」を設立。
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