波瑠が1位、志田未来の怪演も話題…春ドラマ『演技が凄かった女優』トップ5
いよいよ佳境を迎える2026年の春ドラマ。その中でも必見演技を見せてくれたMVP女優をトップ5形式で筆者が選定する。
5位は月9『サバ缶、宇宙へ行く』(フジテレビ系)で、女子高校生役から教師役へと成長する菅原奈未を演じた出口夏希。地方の水産高校を舞台に、教師と生徒、町が一体となってサバ缶を宇宙食にするため奮闘する。
奈未は明るさと芯の強さを併せ持つヒロインで、出口がその透明感で鮮烈に体現。リーダー役が似合う若手としての魅力が際立った。家業を継ぐべきか夢を追うべきかで揺れる繊細さも、儚い表情で描いている。途中、高校を卒業し教師として戻ってくるまで数話、奈未は回想以外登場しなくなる。この華のある出口不在は青春物語としてかなり異例のことで、彼女の存在がいかに大きなものであったかをあらためて痛感させることとなった。
1人の女性の成長を描くにあたり、完成されたスター性というより、今この瞬間にしか放てない剥き出しの輝きで体当たり演技を見せた出口。今後彼女がどう変わっていくのだろうと多くの視聴者が目で追いたくなる俳優となった。
4位は日曜劇場『GIFT』(TBS系)で、過去のトラウマを抱えながらも、弱小車いすラグビーチームとの出会いにより、前を向く雑誌記者・霧山人香を演じた有村架純。
心に壁を抱き感情の揺れを表現することに長ける有村だけに、今作のような日常の中の痛みや小さな優しさを描く作品でその存在が強く効いている。同時に、その奥にある簡単には折れない芯の強さが、大きな言葉より、小さな仕草で提示されるため、その沈黙の雄弁さを一つも取りこぼすことなく見届けたいと思わせてくれる。
車いすラグビー選手役の本田響矢ら若手も多く出演しているが、有村の柔らかさ、包容力と安定感が物語に落ち着きを与えていた。
3位は『銀河の一票』(関西テレビ/フジ系)で、スナックのママから都知事を目指すことになる月岡あかりを演じた野呂佳代。
もともと野呂が持つ人を落ち着かせ安心感を与える力は、ただの素人を都知事にさせたいと思わせるあかりの魅力に説得力を持たせ、政治という難解な世界を身近に感じやすくさせている。生活に苦しむ若者に、失敗したわけではないと伝える「穴に落ちただけ」という言葉、刃物を振りかざす男に「大丈夫、話そう、聞かせて?」「生きてよ?念のため」と真摯に問いかける姿は、観る者の心を動かした。人々の心の声に耳を傾ける政治家本来の素質が、あかりに備わっていたことが伝わる。
もはや野呂が単なる元AKB48のバラエティ担当やスポット的な面白さを与えるバイプレイヤーではなく、主演級の女優となったことを示すのに十二分な作品となった。
2位は『エラー』(ABCテレビ・テレビ朝日系)で、自分の母の死に関わった中田ユメ(畑芽育)と、そうとは知らず深い友人関係になった大迫未央を演じた志田未来。
第6話で、ユメに裏切られていたことに気づき怒りを露わにした狂気の熱演は、子役出身で33歳にしてベテランの域に入っている志田の真骨頂が発揮されていた。同回放送日には、Googleトレンド上で「志田未来」のウェブ検索数が著しく跳ね上がっていることも、それを証明している。ただ、同回が際立ったのは、それまで普通の女性として懸命に生きながらも、違和感に気づき、平静を装い言葉を飲み込んできた「崩れる寸前」を、志田が静かに丁寧に紡いできたからだ。
償いと赦し(ゆるし)がテーマの作品の中で、志田の細部に渡る緻密な表現が輝いた。
1位は、『月夜行路 -答えは名作の中に-』(日本テレビ系)で、艶と透明感がありながらチャーミングな野宮ルナという新たな愛されキャラを生み出した波瑠。
文学オタクのバーのママ・ルナは、麻生久美子演じる専業主婦と“異色バディ”を組みながら、毎話起こる事件に対して淡々と、何かを見透かしたように接し、解決の糸口を見出していく。トランスジェンダー女性であるルナとして、孤独や影を抱きつつ、内に秘める凛とした強さもしっかりと描き出した波瑠。大きな感情をあえて抑え、観る者に託す姿勢は、今作の少し切なく、どこか幻想的な物語に月明かりのような美しい質感を与えていた。
以上のトップ5に挙げたMVP女優たちが春ドラマで提示したのは、記号化されたキャラクターではなく、血の通った一人の人間の葛藤そのもの。それぞれの場所で、それぞれの光を放った彼女たちは、次なるステージでどのような姿を見せてくれるのだろうか。
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