『102回目のプロポーズ』は見るべきか? 前作ヒロイン不在がもたらす影響と名シーン継承の行方
ドラマ『102回目のプロポーズ』(フジテレビ系/以下同)が、4月1日より放送をスタートした。1991年に放送された月9ドラマの金字塔『101回目のプロポーズ』の続編として放送前から注目を集めていたが、果たして往年のファンも見るべき作品に仕上がっているのか、それとも……。
同ドラマは、『101回目のプロポーズ』の‟35年後”を描く物語。前作では矢吹薫(演:浅野温子)と星野達郎(演:武田鉄矢)が結ばれる形で幕を閉じたが、その後ふたりは結婚し、娘をもうけていたという設定だ。今作では、その愛娘「星野光(演:唐田えりか)」と彼女に一目惚れする「空野太陽(演:せいや)」を中心としたラブストーリーが展開される。
実際にドラマが放送され、まず視聴者を驚かせたのが‟薫の設定”だろう。同ドラマには達郎や薫の妹「矢吹千恵(演:田中律子)」など前作のキャストも登場するが、薫の姿が確認できるのは写真のみ。というのも、彼女は病ですでに他界しており、公式サイトには「享年47」と記されている。
『101回目のプロポーズ』当時の薫の年齢設定が30歳だったことを踏まえると、達郎と結ばれてからともに過ごせた時間はわずか十数年ということになる。35年越しに語られたこの事実は、往年のファンには衝撃的であり、浅野温子の出演が難しい点についても「出てほしかった」と惜しむ声が少なくない。
とはいえ、前作を知るファンの心に刺さる描写も随所に見られる。例えば星野家の自宅には薫の写真とともに「ナット」が置かれているが、これは前作を知る視聴者であれば、最終回のクライマックスに登場した‟ナットの指輪”であることが分かるだろう。主題歌にもCHAGE and ASKAの「SAY YES」を起用するなど、同ドラマにはとにかく粋な演出が多い。
また先述した通り、武田鉄矢や田中律子といった前作キャストが、当時と変わらない温度感でやり取りを交わしている点も、ファンにとっては微笑ましい要素である。達郎の弟「星野純平」を演じた江口洋介も今のところ若かりし頃の写真のみの登場にとどまっているが、公式サイトの人物紹介に「江口洋介 ※特別ゲスト出演」と記載されているところを見るに、純平の登場回が用意されている可能性も十分にありそうだ。
もっとも、作品全体の雰囲気は前作とはやや異なっており、現代的な解釈を加えた続編として描かれている印象が強い。それだけに批判的な声も決してゼロではないが、少なくとも前作とのつながりを意識しつつ、新たな物語として成立させようとする姿勢は感じられる。そんな『102回目のプロポーズ』を語るうえで欠かせない人物が存在する。お笑いコンビ・霜降り明星のせいやが演じる「空野太陽」だ。前作では何度も交際を断る薫に対し、達郎が諦めずアタックを続ける構図だったが、今作では達郎のポジションにこの太陽が位置づけられている。
彼は女性にフラれ続ける人生を送っており、失恋の回数は第1話時点で実に99回にのぼる。かつての達郎と同様、100人目に惚れた相手が唐田えりか演じる「星野光」になるわけだが、彼女にはすで「大月音(演:伊藤健太郎)」という婚約者がいた。
そうとも知らず、太陽が「好きになってもいいですか」と真っすぐに気持ちをぶつけるシーンは、在りし日の達郎と重なった視聴者も多いのではないだろうか。ファッションや立ち振る舞いに加え、光の勤めるチェロ教室に突撃する距離の詰め方も、どこか達郎らしさがにじみ出ていた。
そうなると気になってくるのが『101回目のプロポーズ』屈指の名場面「僕は死にません!」の扱い方だろう。このセリフは第6話において、達郎が自ら走行中のダンプカーの前に飛び出し、命懸けで告白した際に放ったものだ。もちろん今作でこのオマージュが描かれない可能性も否定できないが、ここまで前作を意識し、達郎に太陽を重ねる構図を踏まえると、「令和版『僕は死にません!』」に期待が高まるのも無理はない。
ただし、前作では過去に婚約者を亡くした経験から、人を好きになることに恐れを抱く薫の背景があったからこそ、このシーンは成立していた。それに対し、今作のヒロインである光は、大切な人を失っているどころか結婚目前の状況にある。婚約者の音が実はモラハラ気質で、光の結婚も自らの利益のために進めているといった悪人設定であれば話は別だが、第2話までを見た限りでは彼女を心から愛している様子がうかがえ、光もまた音に好意を寄せているように見える。
果たしてこの状況から、どのように「僕は死にません!」へとつなげるのか。まるで脈がない太陽がどのように逆転していくのか、その手腕が問われるところである。
作品に対する賛否はありつつも、今後の展開次第では否定的な意見を覆す可能性も感じさせる『102回目のプロポーズ』。引き続き、物語の行方を見守っていきたい。
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