「デスマッチの痛みは数分耐えればいいが、病気の痛みは24時間365日、ずっと続くから辛かった…」と過酷な闘病生活を振り返る松永光弘

「死んだほうがマシ」元プロレスラー松永光弘を襲った“足底腱膜炎”の地獄

2025.10.16 08:03
提供:ENTAME next

作家の鈴木おさむ氏が先日「足底腱膜炎」に罹患したことを告白。その想像を絶する痛みをSNSで発信し、話題を集めた。

 足底腱膜炎とは足の裏にある“足底腱膜”と呼ばれる組織に炎症が起こった状態で、歩いたり走ったりするときに、かかとを中心に足の裏が痛くなる病気。ほとんどの場合、軽症で終わり、そのケースでは病院で診察を受ける前に症状が治まってしまうため、自分が足底腱膜炎にかかったことを気づかない人もたくさんいる、とのこと。ただ、これが重症に発展すると一転、治癒が難しくなり、それこそ歩行だけでなく、立っているだけでも激痛が走るのだという。

 じつはその病気に罹り、長きに渡り闘病生活を送ってきた男がいる。元プロレスラーの松永光弘、だ。現在、都内でステーキハウス『ミスターデンジャー』を営んでいる松永だが、行列のできるステーキ店として評判になり、連日、厨房でステーキを焼き続ける日々の中で突然、足が痛みだした。

「いまはちょっと状況が変わっていると思うんですけど、当時は足底腱膜炎という病気についての情報がネットを検索しても、ほとんどヒットしなかったんですよ。これが誰も知っている病気であれば、ここが名医だ、とか、根本的な解決法とかすぐに見つかるんでしょうけど、本当になんにも情報がなかったんです」

 かかとに異変をおぼえたものの、我慢できないほどでないし、普通に歩けるし、と最初は楽観視していた松永だったが、徐々に痛みが強くなり、ついには歩行も厳しくなった。店から駐車場までの数十メートルが地獄の長さに感じられるようになり、帰宅してリビングからキッチンまでの数歩ですら激痛でままならなくなったときには「もう死んだほうがマシだ」と自暴自棄になった、という。ファイアーデスマッチや五寸釘デスマッチなど、過酷すぎる闘いを乗り越えてきた男は「どんなデスマッチでも死んだほうがマシだ、なんて思わなかったけれど、それだけ辛かったんですよ」と振り返る。

「この病気の難しいところは、パッと見ただけではわからないってこともありますよね。どれだけ足が痛い、歩けないと説明しても、周りの人からしたら、いつもと変わらないようにしか見えないし、そもそも足底腱膜炎という病名がそんなに知られていないので、大変さがまったく伝わらない。買い物中に激痛が走り、レジの前でうずくまってしまったときには店員さんもびっくりしていましたけどね。

 私の場合、元プロレスラーなので『そりゃ、あれだけ激しい闘いをしてきたら、引退後に後遺症も出ますよ』とよく言われましたが、大きな怪我は現役時代に手術をして完治していますし、そもそもセカンドキャリアに影響が出ないように、ボロボロになる前にリングを降りているので、足底腱膜炎と私のプロレスラー人生にはまったく因果関係がないんですよね。これもなかなか理解していただけなかった」

 松永は自身が経営するステーキハウスで毎日、肉を焼いてきた。よくある有名人の名前を掲げてはいるものの、店に行くと本人はいない、という形では絶対にうまくいかない、と悟っていた松永は客席から見える場所で肉を焼き、時間が許せばサインや記念撮影にも応じてきた。その姿勢が店への信頼にもつながり、行列ができるステーキハウスとして開店から29年経った今でも繁盛している。だから、どんなに足が痛くても厨房に立たない、という選択肢は見つからなかった。

「チェーン店ならまだしも個人店ですからね。店を休んだら、すぐに立ち行かなくなってしまう。じつは北海道にいい病院がある、という情報も入手したんですけど、何日も店を閉めることができないので通院は諦めました。 ただ、とてもじゃないですけど、何時間も立ち仕事ができるようなコンディションではなくなっていって。仕方がないので厨房に小さな椅子を用意して、そこにヒザをついて、足が地面につかないようにしてステーキを焼きました。その態勢自体、かなり無理があってしんどいんですけど、それでも足の痛みよりは耐えられるレベル。いやぁ、あのときは個人店ならではの辛さを味わいました」

紆余曲折の末、2019年に完治し、現在は元気に厨房に立っている松永光弘。11月には5年ぶりの新刊『令和のステーキ店経営デスマッチ〜コロナ禍に完全勝利も物価高地獄でリングアウト寸前?!』(西葛西出版・刊)をリリースする。タイトルの通り、コロナ以降の飲食店経営のデスマッチぶりを赤裸々に描いた一冊なのだが、本人の強い希望で足底腱膜炎の闘病記をまるまる一章つかって克明に書いた、とのこと。

「あのまま足底腱膜炎が治らなかったら、店を閉めていたかもしれないわけで、そういう意味では経営の話でもあるんですよ。完治がもう少し遅れていたらコロナ禍と丸被りになってギブアップしていたかもしれないですからね。 なによりも足底筋膜炎だけでなく、世間的にあまり知られていない病気に罹り、情報がなさすぎて苦しんでいる方たちに少しでも希望を与えたい、という思いで書きました。自分でも書いていて、どんどん絶望の淵に立たされていくのがわかったんですけど、そこで諦めなかったからこそ、今、こうやって健康を取り戻せたわけで。完治までめちゃくちゃ遠回りをしたんですが、ちょっとでも参考になるのであれば、そのすべてを書き残しておこう、と」

 痛みがひどくなり、最終的には公共交通機関での移動をあきらめざるを得なくなった。愛知県出身の松永は新幹線移動ができなくなり、帰省や同窓会出席も断念。空手の師である青柳政司さんが亡くなったときも、お別れ会に参列できず、辛い思いもしたが、完治したことで昨年、名古屋で開催された永遠のライバル・斎藤彰俊の引退試合には顔を出すことができた。今、日本中が苦しめられている空前絶後の物価高で飲食業界はとんでもないダメージを食らっていて、安くて旨いがウリだった『ミスターデンジャー』も値上げを余儀なくされた。

「値上げしないと潰れてしまいますからね。本当に厳しい状況ですし、まったく先行き不透明ですけど、足底腱膜炎の激痛を乗り越えてきたことを思えば……がんばりますよ!」

 伝説のデスマッチファイターは、過酷な経営デスマッチで今も奮闘している。

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