(C)練馬ジム | LINE マンガ・2025 映画「おっパン」製作委員会

今の世界に必要な”優しさ”を描いた傑作『映画 おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』

2025.07.10 19:03
提供:ENTAME next

近年、テレビドラマの映画化と聞いても、侮れない作品が増えてきた。なかでも、“土ドラ”こと東海テレビ制作・フジテレビ系土曜深夜ドラマ枠から生まれた作品群のクオリティは、ドラマ版・映画版ともに目を見張るものがある。

“土ドラ”は、もともと「ライオンのごきげんよう」の後に放送されていた昼ドラ枠から派生したもの。初期はそのコンセプトを受け継ぎ、サスペンス要素の強い愛憎劇や復讐劇、かと思えばハートフルな人間ドラマなど幅広いジャンルを扱っていたが、近年は“コメディ仕立ての社会派”という独自路線を築いている。現在放送中の『浅草ラスボスおばあちゃん』もその系譜にある。

そんな中、2024年1〜3月に放送された『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』の映画化である本作は、今の日本社会に必要な作品といっても過言ではない。映画版はドラマの雰囲気をそのまま受け継ぎ、エンタメ性を過度に強調することなく、テーマ性を丁寧に掘り下げている。

ドラマ版では、「男らしく」「女らしく」といった曖昧な“らしさ”に縛られて生きてきた主人公・沖田誠(原田泰造)が、ゲイの青年との出会いを通じて家族との関係を見つめ直し、少しずつ変化していく姿を描いていた。映画版ではその流れを引き継ぎつつ、過去に自分が知らず傷つけてしまった人々と、どう向き合い、癒していくかという“アフターケア”に焦点をあて、多角的で優しい視点を提示している。

「主観と客観」は対義語とされるが、本当にそうだろうか。客観とは、本来“他人の立場になって考える”ことを意味するが、その思考自体が結局は主観に基づいているのではないか。ならば、自分自身の限界を認めた上で、他者の意見に耳を傾け、理解しようとする姿勢が最も重要なのかもしれない。すぐには理解できなくても、小さな歩み寄りが、世界を少しずつ変えていく。今作は、そんな可能性を静かに提示している。

LGBTQ+に限らず、マイノリティを取り巻く偏見や固定観念に満ちた社会において、“わからないものをわからないまま”放置するのではなく、相手の思考の背景にまで踏み込み、互いの理解と尊重を模索していく。本作は、そうした視点を排除せずに描いた、誠実で温かなヒューマンドラマだ。

現実社会がここまで理想的に機能するわけではないかもしれない。それでも、この作品は、「人は本来、優しさを持っている」と信じたくなる、静かで力強い変化を与えてくれる。『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』は、人間の本質にそっと触れてくる、静かな感動作である。

▽ストーリーゲイの大学生・五十嵐大地(中島颯太)との偶然の出会いによって、時代遅れの“昭和脳”から令和の価値観にアップデートしつつあった、「銀杏事務機器リース」の営業戦略室・室長・沖田誠(原田泰造)52歳。ボーイズグループ「RANDOM」のオタ活のため、お弁当チェーン「QUQU弁当」の店舗パートから本社勤務の正社員になった妻・美香(富田靖子)。「大胸筋デカパイン」名義で、二次創作のBL同人活動をしている、大学生の娘・萌(大原梓)。そして、メイクや可愛いモノ好きである自分を解放し、不登校から復帰した高校生の息子・翔(城桧吏)。誠にだけ懐かない飼い犬のコーギー・カルロス(こまち)。そんなそれぞれの「好き」を謳歌する4人の家族関係が順調に見えていた。

▽クレジット監督・二宮崇脚本・藤井清美出演:原田泰造、中島颯太(FANTASTICS)、城桧吏、大原梓、東啓介、渡辺哲、曽田陵介、トータス松本、松下由樹、富田靖子ほか原作:「おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!」練馬ジム(「LINE マンガ」連載)製作幹事・配給:ギャガ7月4日(金) 全国ロードショー

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