

妻夫木聡が『あんぱん』で挑む新境地、パブリックイメージを覆す“静”の演技が刺さる理由
今田美桜がヒロインを務める連続テレビ小説『あんぱん』(NHK総合・月曜~土曜8時ほか)。第12週「逆転しない正義」では、嵩(北村匠海)を仲間との死別や飢えの苦しみが襲う。そして第59回では、常に冷静沈着な八木(妻夫木聡)が、ついにその感情を爆発させる場面が描かれた。
妻夫木が演じる八木慎之介は、極めて情報が少ないキャラクターだ。私たちが彼に関して知っていることといえば、上等兵であること、あえて昇進の道を選んでいないこと、嵩と同じく井伏鱒二の詩集が好きなこと、中国語が喋れることくらいだろうか。年齢、出身、家族構成、職業…すべてが不明で、小倉連隊の中でもとりわけ謎めいた存在として描かれている。
第59回、八木は初めて嵩の前で怒りの感情をあらわにした。この怒りのシーンは、きわめて表現が難しい場面だったのではないだろうか。前述したように、八木は謎が多すぎる人物であり、これまで自分の感情を表に出すことをしなかった。つまりは、怒りの経路が分かりにくいということでもある。
だが、妻夫木の巧みな演技によって、八木の怒りは突発的な衝動”はないことがひしひしと伝わってきた。八木は仲間の死を前にして、衝動的に叫んだのではない。むしろ彼は怒りの感情をはっきり認識していたはずだ。長く押し殺してきた戦争への憤りや、理不尽さ、卑怯者になり切れない自分への葛藤……その全てがあの“怒り”に込められていたからこそ、視聴者の心に残るシーンになったのだろう。
正直、妻夫木が八木のような“静”のキャラクターを演じるのは少々意外であった。というのも、妻夫木がこれまで演じてきたのは、少しヤンチャなお兄さんや、嵩に似た雰囲気の内向的でややどんくさい青年など、“温度”のある役柄が多い印象だったからだ。そして妻夫木本人も「優しい」「明るい」「人懐っこい」といった、親しみやすいイメージを持つ俳優だと感じている。
となると、八木のように寡黙で孤高なキャラクターは、妻夫木のイメージと真逆ともいえる。だが、実際に作中で彼が演じる八木を見ていると、不思議と納得感があった。佇まいはもちろん、感情を抑えた声の出し方や所作、嵩をじっと見つめる眼差しまで、妻夫木が八木を体現していることにまったく違和感がない。
むしろ、その徹底された“静”の演技によって、八木の言動には深みと説得力が宿っている。「なぜ、自分より位が高い人から敬われているのか?」「なぜ、福建省の上官と顔見知りなのか?」「なぜ、中国語が喋れるのか?」など、彼に関する謎はいくつもあるにもかかわらず、視聴者は「八木ならあり得るな」と納得してしまうのだ。
さらに、八木が感情をぶつけた唯一の相手である嵩には、かつて妻夫木が演じてきた不器用でまっすぐな若者の面影がある。だからこそ、嵩と向き合う中で心が揺れ動く八木の葛藤が、よりリアルに伝わってくるのだ。妻夫木がこれまでの俳優人生で積み重ねてきた「誠実さ」や「人間味」といったパブリックイメージは、“静かなる男”八木に効果的なギャップと深みを生み出す、強い武器になったに違いない。
『あんぱん』を通して、妻夫木聡という俳優の新たな魅力に触れたという人も多いのではないだろうか。今作の公式サイトによると、八木は「戦後、嵩と思わぬ再会を果たし、のぶと嵩の人生に大きな影響を与えるようになる」とのこと。今後明かされるであろう数々の謎も含めて、妻夫木演じる八木から目が離せない。
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