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バンド「ムーンライダーズ」柔軟で先鋭的な音楽を奏でる名バンドが歩んできた半世紀
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スピッツ、Mr.Children、エレファントカシマシ…デビューから20年、30年を超えてなお、人々から長く愛され続けるバンドがある。先日活動50周年を迎えたTHE ALFEEに続くのが、1976年にデビューしたムーンライダーズだ。ジャンルの垣根を超えて、常に新しい要素へ挑戦してきた同バンド。ムーンライダーズが飲み込んできたあらゆる変遷を、デビュー50周年を控えたこのタイミングで振り返りたい。
紆余曲折を経てきたバンド「ムーンライダーズ」
ムーンライダーズが結成されたのは1975年。前身バンド「はちみつぱい」のメンバーだった鈴木慶一、岡田徹、武川雅寛、かしぶち哲郎に加え、椎名和夫、鈴木慶一の実弟である鈴木博文がそのメンバーだ。
同バンド最大の特徴は、「全員が曲も詞も書ける」というところ。彼らの音楽はジャンルも構成も多岐にわたり、発表された年代によって楽曲に強いグラデーションを感じさせる。
アメリカン、ヨーロピアン、ブリティッシュ・ロック、ニューウェイヴ、パンクにまで触れる多彩な音楽センス。年代ごとに社会を取り巻いていた空気感を如実に反映した楽曲は、後進にも大きな影響を与えてきた。
バンドのサポートメンバーとしてライブに帯同するスカート・澤部渡は、曽我部恵一らとともに同バンドのトリビュートアルバムも制作。過去のインタビューでは「ムーンライダーズはその時代の最先端の音を追ってきた人たち」と評し、彼らへの強いリスペクトを語っている。
特に澤部がアツく語るのは、歌詞に宿る物語性と音楽構成の複雑さ。良い意味でジャンルとジャンルの間にある中途半端な楽曲もあれば、極端な設計とデザインの曲もある。何回も何回も聞いて、なお味わい尽くせない妙味があるのだという。
そんなムーンライダーズは、当初「火の玉ボーイズ」という名前で活動をしていた。しかしアグネス・チャンのバックバンドを務める際に、スタッフから「ボーイズって寄席じゃあるまいし」「明日までに変えてこい」と言われたことでムーンライダーズという名前に変更したという経緯があるそうだ。
日本語歌詞に宿る魅力
世相を映すように曲調もメンバーも変化していったムーンライダーズ。もう1つの特徴として、欧米のロックに影響を受けながらも日本語の歌詞にこだわっていた点だ。ヴォーカル・ギターの鈴木慶一は、当時すでに日本語ロックで知られていた遠藤賢司や高田渡などの楽曲を聴いて「日本語なら自分にも作れるかもしれない」と作曲を始めたと明かしている。
日本語の歌詞は当然歌に乗せたときに意味がわかりやすく、かつ詞を書く側にも相応しい英語を探す必要がないというのがメリット。一方で英語に比べて圧倒的に意味1つあたりの音節が多い日本語は、音に乗せてリズムを取るのが難しい。しかし鈴木は過去のインタビューにおいて、作詞の難度を挙げて「難しいからこそ挑む意味があったし、やりがいがあった」と語っていた。
とはいえ驚くほどの柔軟性を持ち合わせているムーンライダーズ。日本語歌詞を“縛り”として頑迷に守るのではなく、1978年に発表された「ジャブ・アップ・ファミリー」などには英語歌詞も登場する。そのほか外部からのライター陣を迎えた曲にも英語歌詞は存在するなど、あくまで“こだわりの1つ”に過ぎない。
欧米のロックから影響を受けながら、オリジナリティあふれる邦ロックの立ち位置を見出してきたムーンライダーズ。従来のロックバンドの形式にとらわれず、柔軟な発想によって自由に音楽を生み出すことで、ムーンライダーズのオリジナリティを確立させてきた。ライブでステージにバケツを置き、なかの水をすくって音を出すといった“サンプリングでどうにでもなる部分”をあえてアナログでやるなどの挑戦的な試みも同バンドならでは。
複雑な音楽性が混然一体となった彼らの音楽は、“噛めば噛むほど味がする”音楽ファンをこそ離さない魅力がある。そんな彼らのライブ映像を収めた番組「ムーンライダーズ/Special Live『カメラ=万年筆』」が、2月23日(日)昼3時45分から「衛星劇場」にて放送。前述のバケツパフォーマンスを実施したライブで、2020年8月25日に東京・渋谷クラブクアトロで無観客で開催した40周年記念スペシャルライブだ。
さらに2022年3月13日に日比谷野外音楽堂で開催された「moonriders LIVE 2022」が2月23日(日)夜5時から、2024年11月1日に東京国際フォーラム ホールCにておこなわれた「moonriders AMATEUR ACADEMY and more 2024」が2月23日(日)夜7時30分から放送される。
約50年もの間、メンバーとの死別を乗り越え、混沌の世相を映し、そして最先端の音楽と向き合ってきたムーンライダーズ。温故知新とは良く言ったもので、彼らの音楽には令和の世に聞いてもなお“発見”がある。全員がエースとなり得るスーパーバンドの音楽を、いまだからこそ耳にしてほしいものだ。
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