東京女子プロレス・身長152cmの小柄レスラー鈴芽、荒井優希のベルトに挑戦「ライバルだと思ってほしい」
東京女子プロレスの鈴芽が、2025年1月4日後楽園ホール大会でインターナショナル・プリンセス王者の荒井優希とタイトルマッチを行う。今回、なぜ挑戦を表明したのか、荒井優希に対してどんな思いを抱いているのか話を聞いた(前後編の前編)。
荒井優希が2025年3月31日でSKE48を卒業することを発表した。
今年に入って念願の選抜復帰を果たし、カップリング曲ながらセンターを務めることもできた。ある意味、アイドルとしてやるべきことはやりきっての卒業になるわけで、素直に「おつかれさまでした」と送り出せるタイミングでの発表だったと思う。
しかし、荒井優希の場合、2021年から女子プロレスラーとの「二刀流」として活動している。卒業発表の際、プロレスラーとしての今後の活動については一切、言及がなかったため「アイドル卒業と同時にプロレスラーも引退か?」「3月の大田区体育館で東京女子プロレスのビッグマッチがあるから、それで引退試合をするのか?」とプロレスファンがイッキにザワついた。
これによって俄然、注目を集めることになったのが東京女子プロレスの鈴芽(すずめ)だ。
彼女は2025年1月4日、後楽園ホールで荒井優希が保持するインターナショナル・プリンセス王座に挑戦することが決まっている。というか、アイドルを卒業するとは知らずにみずから挑戦表明をし、その場で荒井優希が受諾している。
もし、アイドルと同時にプロレスからも卒業してしまうのであれば、これが聖地・後楽園ホールでの最後のタイトルマッチになるかもしれない(後楽園ホールはプロレスラー・荒井優希のデビューの地でもある)。ただでさえ、プロレスファンからの注目度が高い『イッテンヨン』がさらに幅広い層から注視されそうな流れ、である。
ところが当の鈴芽は「?」という表情を浮かべていた。
「たしかに11.22新宿で挑戦を表明したときは、優希ちゃんがアイドルを辞めることなんて知らなかったので、卒業発表を聞いてびっくりしました(卒業発表は5日後の11月27日だった)。でも、プロレスも辞めちゃうとは全然考えていなかったから、1月4日のタイトルマッチに臨む気持ちはまったく変わらなかったです。優希ちゃんが東京女子プロレス大好きなのを感じていたから、いなくなっちゃうなんて想像できなかったのかもしれないです。そして何より大切な決断をした荒井優希はさらに強いだろうから、より一層気を引き締めて挑まないと、って思っています」
鈴芽が確信したとおり、荒井優希は12月3日に「SKE48を卒業後、プロレス一本で生きていく」と公式に発表。1月4日の時点では、まだバリバリの二刀流だが、その先の継続参戦も決まったことで、2025年を占う意味でも非常に重要な一戦となってきた。
アイドルとの兼任や、元アイドルからの転身組が多い東京女子プロレスだが、鈴芽は純プロレスラーだ。アマチュアスポーツで活躍してきたという実績もない。まさに叩き上げ、である。
「運動神経もけっしていい方じゃないんですけど、たぶんプロレスと相性がよかったんですよね。マット運動は得意だったり。バレーボールをやっていて、床に飛び込むことや転ぶことが怖くなかったのも受け身の練習をするには近道だったと思います!
あと、殴る、殴られるということももちろん初めてなので難しかったりするんですけど、東京女子を観てプロレスを好きになった私は『闘いは愛がないとできない』と感じていたから攻撃が怖いという思いはあまりなかったんです。恐怖心で躓かなかったのは大きいと思います」
身長は152㎝と小柄だが、身軽に動き回って、華麗に宙を舞うファイトスタイルで着々と実績を積み重ねてきた。ちなみに「すずめ」とは鳥のスズメではなく、スズメバチに由来する。まさに華やかに跳び、鋭く刺すスタイルだ。
いまやいろんなタイプ、いろんなスタイルの選手が増えた女子プレス界だが、鈴芽はまさに「女の子」がプロレスをやっている、という感じ。女子なんだから当たり前のことかもしれないが、女子プロレスラーの多様化が進む現在では、一周まわって新鮮だし、ついつい目で追ってしまう存在。
それこそ、普段、あまり女子プロレスを見ない女性が彼女の試合を見たら、感情移入したり、憧れてしまうのではないか? 「私もプロレス、やってみたい!」と女の子に思わせて、次世代のスター候補を呼びこむことが3年後、5年後の女子プロレス界のさらなる繁栄には、とても大事なこと。そういう意味でも鈴芽は無限の可能性を秘めた選手なのである。
デビューは2019年8月25日。今年でキャリア6年目に突入したが、荒井優希のプロレスデビューは2021年5月だから、鈴芽のほうが約2年弱、先輩ということになる。
「そうなんですけど、優希ちゃんを“後輩”と考えたことはあんまりないんですよね。やっぱり強いし、初めて闘った日から私はずっと追いかける立場だったので。
本音をいうと、優希ちゃんみたいにキラキラした背中が前にいてくれることに安心してしまっていた部分もあった思うんです。でも、そうやって甘えているだけじゃなくて並んで立ちたい。ライバルだって思っているし、思ってほしいんです。それに私にはどうしてもインターナショナル・プリンセス王座のベルトがほしい理由もある。だから、このタイミングで挑戦を決めました!」
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