「家系」「二郎系」の厚い牙城を崩せるか? 九州発信スープが透明な"ニュータイプ豚骨ラーメン"とは
日本全国のラーメン店の発掘と紹介をライフワークとし、年間700杯以上のラーメンを食べ続け、生涯実食杯数は20,000杯超という日本屈指のラーメンフリーク、通称「ラーメン官僚」こと、かずあっきぃ氏がラーメンについて語り尽くす短期連載。第2シーズンでは「豚骨ラーメンの今までとこれから」について3回にわけて語ります。(前中後編の中編)
豚骨ラーメンを出すお店は、どうして街中にたくさんあるのでしょうか。
もちろん例外はありますが、誤解を恐れずに申し上げれば、概して、作り手に求められるハードルがそれほど高くないからです。豚骨の各部位から採れる出汁の特徴を頭に叩き込んだ上で、個々の店舗の方針に従って豚骨を注意深く炊き上げれば、一定水準のスープができる。作り方を具体的にマニュアル化すれば、熟練の作り手がいなくても、店を回すことができるわけです。複数の人員が作り手となれるわけですから、営業時間も延ばせるし、店の数も増えます。
しかし、魚介出汁のラーメンを作るとなれば、事はそう簡単ではありません。魚介スープの素材は、節・煮干し・昆布・鮮魚など、動物系とは比較にならないほどバラエティ豊かです。数多くの選択肢の中から、何を、どれだけ、どのように使うのか。じっくりと考えて、素材を足し引きしながら、スープを創り上げていきます。場合によっては、この季節の旬の素材は何かといったことにも思いを馳せながら、造り込んでいく必要があるので、当然、作り手を選びます。
魚介を用いたラーメンは、今申し上げた理由によって、作り手ごとに出来上がりの味が全く異なるものとなります。言い換えれば、様々なタイプの味を食べ手に提示できるということです。そういう事情も相まって、率直に申し上げれば、今、完成時の味がある程度予測できる豚骨ラーメンの人気は、やや押され気味です。「豚骨ラーメン」というジャンルの中で元気なのは、「家系」と「二郎系」くらいでしょうか。
「家系」と「二郎系」の現状について、少し説明しておきましょう。2000年代、『ラーメン二郎』が注目を浴びたことがキッカケで、ガッツリ系ラーメンブームが到来しました。それを受けて『ラーメン二郎』の味やスタイルを模した「二郎インスパイア系ラーメン」が大流行しましたが、ブーム過熱化の陰で粗悪品も乱造されました。ブームから10数年が経過し、今では、質が悪い「二郎インスパイア」を出す店は淘汰され、生き残っているのは大体優良店です。
「家系」については、2010年代半ば頃から、都内を中心にチェーン店舗化が急速に進み、各駅に一店舗とでも言わんばかりの勢いで、『町田商店』などのいわゆる「商店系」の店舗ができました。今では、それに、新中野の『武蔵家』、大塚の『野中家』などが展開する店舗群が加わり、一都三県(東京・神奈川・千葉・埼玉)のどこでも、ある程度のクオリティの家系ラーメンが食べられる状況となっています。
現状、一都三県の豚骨ラーメン市場は、「二郎インスパイア系」と「家系」が2トップとして君臨し、それ以外の豚骨ラーメンを出す店舗は、それぞれの店にコアな固定ファンが付いている、というのが実態だと思います。
他方、豚骨ラーメンの本場・九州では、事情は全く異なります。九州においては、ラーメン=豚骨ラーメンだと認識されています。九州のラーメン屋では、わざわざ「豚骨ラーメンをください」と言わなくても、ラーメンを注文すれば豚骨ラーメンが出てきます。
特に、老舗と目されるお店は、そもそも、自分たちが「熊本ラーメン」や「佐賀ラーメン」などと呼ばれるご当地ラーメンを作っているという感覚すら持ち合わせていません。これら老舗の多くは、豚骨ラーメンが全国各地でブームになる前から日々営業を続けてきたわけです。創業数十年の歴史を誇り、親・子・孫の三代にわたって通い続ける常連に支えられている店も珍しくありません。そんな彼ら(九州の人たち)にとっては、豚骨ラーメンは、ご当地ラーメンではなく、昔からある伝統的なラーメンに他ならないのです。
ただ最近、そんな九州ラーメンシーンにも、大きな変化が到来しつつあります。スープをあえて濁らせない「清湯豚骨ラーメン」が、ニュータイプの豚骨ラーメンとして、注目を浴び始めているのです。
例えば、中洲に本店を構える『豚そば月や』。同店は、丼の底が見通せるほどクリアな豚骨ラーメンを提供していますが、東京・銀座の中心部に進出し、舌の肥えたお客さんからの絶大な支持を獲得しています。
また、特に福岡県において、東京の最先端のラーメン店のような、魚介系・創作系のラーメンを出す店舗が増えています。ちなみに、このような「波」は、九州のみならず、同じく豚骨タイプのご当地ラーメンが存在する広島県、徳島県などにも押し寄せており、これらの県では、創作ラーメンを手掛ける小洒落た店舗が続々とオープンしています。
構成/大泉りか
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